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(連載2)アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由 ← (連載1)アフリカに北朝鮮制裁の「違反国」が目立つ理由  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・40-49歳) [投稿履歴]
投稿日時:2017-11-11 13:17 [修正][削除]
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No.3407
 第ニに、アフリカには北朝鮮と歴史的に深い関係にある国が多いことです。特に国連報告で取り上げられた11ヵ国の政府・与党の多くは、冷戦時代に東側陣営から支援を受けた経験をもちます。例えば、アンゴラの与党・アンゴラ解放人民運動(MPLA)、エリトリアの与党・エリトリア人民解放戦線(EPLF)、モザンビークの与党・モザンビーク解放戦線(FRELIMO)、ナミビアの与党・南西アフリカ人民機構(SWAPO)、ジンバブエの与党・ジンバブエ・アフリカ民族同盟・愛国戦線(ZANU-PF)などはいずれも、もとをただせば冷戦時代に西側が支援する政府や組織と戦火を交えたゲリラ組織で、その時期に北朝鮮を含む東側から軍事・民生の両面で援助を受けた経験をもちます。また、タンザニアの革命党(CCM)は内戦こそ経験していないものの、冷戦期に東側から援助を受けていました。冷戦期に北朝鮮は「中国の後ろにくっついて」アフリカへの進出を開始。軍事援助やインフラ整備などを通じて、各国政府との関係を築いてきました。一方、奴隷貿易や植民地化だけでなく、独立後の政治的・経済的な介入もあって、西側先進国からの投資・援助を期待しながらも、その影響力が大きくなりすぎることに警戒感をもつアフリカの国も少なくありません。北朝鮮との関係を指摘された国のほとんどは、必ずしも西側先進国と敵対的ではありません。しかし、この歴史的な関係に基づく人的ネットワークと西側からの「独立志向」は、アフリカで「違反国」が目立つ大きな背景になっているといえます。

 第三に、多くのアフリカ諸国が軍事力の強化の必要に迫られている一方、西側諸国が必ずしも軍事援助を強化していないことがあげられます。アフリカでもイスラーム過激派の台頭は目立ち、テロ事件は増加傾向にあります。アフリカを根拠地とするテロ組織がヨーロッパ方面に勢力を拡張することへの警戒感から、例えばEUは今年末までに5000万ユーロ(約6000万ドル)の資金協力を約束しており、フランスとドイツはニジェールなどに約5000人の兵員を派遣する計画です。その一方で、欧米諸国は人権侵害の目立つアフリカ諸国の軍隊に兵器を提供することに慎重です。例えば米国には、人権侵害が疑われる国に軍事援助を行うことを禁じる国内法があります。そのため、アフリカ各国にとって、相手を構わず軍事援助を提供する北朝鮮は、少なからず存在意義があるといえます。国連報告で取り上げられた11ヵ国のうち、例えば国内にISが勢力をひろげつつあるコンゴ民主共和国に関しては、北朝鮮軍が兵員の訓練や9ミリ砲の提供などを行ってきたと報告されています。これに加えて、資源開発によって経済成長が進むアフリカ各国では軍の近代化が進められており、そのなかで北朝鮮はミサイルなど国際的に取り引きが規制されている軍需品を輸出しています。モザンビークやタンザニアでは、北朝鮮のHaegeumgang Trading Corporationが対空ミサイルS-125やレーダーを納入していたといわれます。

 第四に、そして最後に、アフリカにおける中国の影響力が、これら各国が北朝鮮との関係を維持することを間接的に後押ししてきたことです。2000年代以来、中国はアフリカ進出を加速。最近ではユーラシア一帯をカバーする経済圏「一帯一路」構想にアフリカの一部も含まれており、アフリカにとっては中国が影響力を伸ばすほど西側先進国の影響力をかわしやすくなります。その中国が北朝鮮制裁に慎重な姿勢を保ってきたことは、国連制裁に率先してつき合わないアフリカの国を生みやすくしてきたといえます。さらに、アフリカで活動する中国系企業には現地の法令違反などが目立ちますが、中国政府はこれをほとんど管理できていません。8月25日、日本はナミビアで活動する中国系企業の青建を北朝鮮制裁の対象に加えましたが、中国政府による管理の限界に鑑みると、これが「氷山の一角」である可能性は大きいといえます。その場合、中国系企業の関与には北朝鮮に対するアフリカ諸国の警戒感をさらに押し下げる効果があります。

 国連報告やそれを踏まえた国際メディアの報道を受けて、「違反国」では北朝鮮との関係を見直す発言が相次いでいます。9月13日、モザンビーク政府は国連制裁への協力を約束。10月20日にはAP通信が、ウガンダ副外相が北朝鮮の軍関係者などの国外退去を発表したと報じています。多かれ少なかれ、「違反国」とみられる国には国際的な圧力がかかっており、アフリカにおいて北朝鮮がこれまで通り活動することは困難とみられます。ただし、その一方で、制裁がアフリカで十分履行されるかは不透明です。例えば、ウガンダの場合、2016年にも今回と同様、北朝鮮との軍事協力を打ち切ると発表していましたが、今回の報告書によるとその後も北朝鮮との関係は残っていたことになります。ナミビアなど、その他の国でも同様の傾向があります。アフリカに限らないことではありますが、アフリカ各国政府の場合も、公式の声明と実行との間に少なからずギャップがあります。まして、冒頭に述べたように、アフリカにとって北朝鮮問題は縁遠いものです。それらに自発的な協力を促さない限り、形式的な取り締まりでは効果が薄いことは言うまでもありません。その意味で、北朝鮮制裁をめぐる問題は、関心の乏しい者の関心をいかにしてひくかという課題を浮き彫りにしているといえるでしょう。(おわり)

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