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2025-04-15 00:00
「トランプ関税」問題をどうみるか
真田 幸光
大学教員
米国発関税戦争の余波を受けて、ニューヨーク株式市場が暴落した中、国際原油価格も2日間急落した。また、安全資産として挙げられる金の価格も一時3%近く下落した。ニューヨーク商業取引所ではテキサス産原油(WTI)が直前の取引日より7.4%下がり、1バレル当たり61.99米ドルで取引を終えた。これは新型コロナウイルス感染拡大の時期であった2021年4月以来4年余りで最も低い水準である。WTI価格は2日連続急落していた。
この所謂「トランプ関税」問題は、景気低迷に繋がる可能性があるという懸念が、少なくとも、一旦は高まったと見られている。トランプ大統領が相互関税を発表した後、中国本土は対応に乗り出しており、ヨーロッパも対応を準備するなど貿易戦争の懸念が大きくなっていることは間違いない。これと共に3日、サウジアラビア、ロシア、イラクなどOPEC+(OPECPLUS)主要産油国が5月から1日生産量を41万1,000バレルずつ増やしていくことにしたのも原油価格下落の原因に挙げられよう。こうした中、エネルギー問題の専門家の中では、「WTI基準では、短期的には原油価格が1バレル当たり50米ドル台半ばから後半に引き下がる可能性もある。」との見方も出てきている。
もし、こうした状況となれば、「世界的インフレ懸念」が払しょくされていき、米国の基準金利を引き下げることは可能となり、金利高による利払い不能者の発生を押さえると共に、トランプ大統領が目指す製造業を軸とした実体経済の拡大に繋がり、米国景気が改善する、更に、日米金利差が縮まり、キャリートレードが解消されることから円米ドル相場が適正相場水準になるよう動く、即ち、米ドル安・円高に転じる可能性もあり、こうした結果、国際金融市場は中期的には落ち着き、米国経済も安定化、その結果、株価も堅調に戻る可能性もある。尚、今回はトランプ政権が報復関税姿勢を示さず、「米国とのDealをする姿勢を示している国」に対しては、トランプ政権は、90日間様子見をすると言う姿勢を示したことから、国際金融市場はまだ揺れたままでいる。
即ち、トランプ大統領は4月9日、ほぼ全ての国・地域に対して全面発動した「相互関税」について、税率の一部の適用を90日間にわたって停止すると表明しており、米国に対して、報復措置を講じていないことが条件となる措置を示したことにより、国際金融市場は振り回される状態となっている。一方、トランプ政権が世界各国に課した「相互関税」に対して、今や、米国と双璧をなす大国となってきていると自他共に認める中国本土は、一歩も引かない姿勢を崩しておらず、報復措置を繰り出している。習近平指導部は、国内に向けては毅然とした対米姿勢で団結を呼びかけつつ、国際社会では米国の信用低下に乗じて影響力の強化を狙う動きをちゃっかりと示している。いずれにしても、今後の動向を短絡的にではなく、じっくりと見ていく必要があろう。
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