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(連載1)テロに対する憤懣やるかたない思いについて   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-22 10:08 [修正][削除]
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3355/3355
 先日、ニュースを見ておりましたら、傷ついた野良猫を助けた婦人がその野良猫に噛まれ、それが原因となり、疫病に伝染し、亡くなってしまったと言うニュースに接しました。「ああ、神も仏もないのではないか?」とその理不尽を感じます。また、何の罪もない、一般市民がテロ活動の巻き添いに会い、亡くなったり、怪我をしたと聞くと、私はやはり、強く理不尽を感じます。「この世の中、一体どうなっているのか?」と思わざるを得ません。

 そして、最近のテロに関するニュースの中にも、例えば、西アフリカ・ナイジェリア北東部ボルノ州で世の中の発展の為に頑張っていた、石油探査チームのメンバーらがイスラム過激派組織ボコ・ハラムに襲撃されて、50人以上が死亡すると言う事件が発生しています。

 そして、この探査グループのうち、11人は車両の中で生きたまま焼かれたと見られると報告されており、よく、こうした残忍なことが出来るのかと、私には全く理解が出来ません。尚、この石油探査は、ナイジェリア北東部のチャド湖周辺で行われており、ナイジェリア国営石油公社が進めており、2014年11月にボコ・ハラムの影響で中断されましたが、昨年11月に再開したばかりのプロジェクトであります。

 また、テロ活動が拡大する欧州のうち、この秋の総選挙が予定されているドイツでは、北部ハンブルクのスーパーマーケットで、ナイフを持った男が数人を次々に刺し、1人が死亡、数人が怪我をすると言った事件が発生しています。男はスーパーから逃亡したが、間もなく逮捕されましたが、容疑者は犯行時に、「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫び、人々を刺しています。(つづく)

只野真葛に寄せて   
投稿者:池尾 愛子 (東京都・女性・早稲田大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-15 21:00 [修正][削除]
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3354/3355
 本e-論壇(2016年6月26-27日、10月10日)で紹介した『女性の経済学・経済思想の歴史』についての国際プロジェクトが佳境に入っている。江戸時代について調べると、只野真葛(1763-1825)が浮かび上がってきた。1817年に論文『独考』(「ひとりかんがへ」ともよまれる)を書き、経済的論説(貿易、物の値段の変化、築城の入札、「金銀・金銭を巡る争い」等)、徳川幕府の鎖国政策と階級政策に対する批判を含めていた。すぐに公刊されることはなかったが、劇作家の滝沢馬琴による『独考』批判が写本の流通ネットワークに乗ったことから、真葛の議論(特に当時の政策批判)が世に知られるようになった。

 真葛には、父の工藤平助(1734-1800)の影響が大きい。平助は仙台藩伊達家の江戸屋敷に仕えた医師で、真葛は江戸で生まれの江戸育ちである。工藤家には『解体新書』など西洋医学書があり、様々な情報通(長崎のオランダ通詞、松前からの訪問者を含む)が集っていた。彼女は書斎の書物を読むほか、女性の位置づけがない儒学については、弟から入門的解説を受けていた。真葛は再婚して仙台に引っ越し、夫と先妻の子供を「良母」として育て上げた後、思索と執筆の日々を送る。女性は当然、儒学を礎とする学問世界には入れない。しかし、儒学の影響なしで、経済的論説を展開することはできた。ちなみに、「良母」の観念は儒学文献にあるようで、明治期に登場した「良妻賢母」は和製観念といえそうである。

 真葛は既にかなりの数の女性研究者たちから注目されている。ベティーナ・岡-グラムリッヒや関民子による読みやすい評伝が出版されたのは21世紀になってからである。1994年に鈴木よね子校訂の『只野真葛集』が出版され、それ以前の研究文献とともに紹介されたことが大きいようだ。加えて21世紀になると、デジタルカメラが普及して、古い資料を傷めずに撮影できるようになり、また、テキストのデジタル化が進められてアクセスが容易になり、古典研究が加速度的に進んできたようである。

 当時知られていた文献では、太宰春台(1680-1747)の『経済録』(1729) 等での議論が近いようで、春台は国家経営、経世済民、国内資源の利用(土地・人材・技能活用)を唱え、松前藩、薩摩藩、対馬藩の対外貿易にも注目していた。春台は多くの儒学・中国文献を読破し、幕府の政策に通じ、経済情報を収集し経済を観察していた。興味深いことに彼は、中国儒学者の議論と、日本語による議論を峻別していた。『経済録』は陰陽論など中国文献の影響を取り除いて、キリスト教の要素を加えれば、西欧経済文献に入ることであろう。キリスト教がなくても、経済学が展開し始めていたことを理解してほしいと願う次第である。

中国本土、知的財産権について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-09 18:59 [修正][削除]
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3353/3355
 日本の経済界のみならず、世界的に見ても、「中国本土では、知的財産権を守ることが、実態的には難しい」と言う見方があり、私の実体験からしても同様のことを感じます。私が経験した一つの例を上げて申し上げますと、私が、中国本土企業に対して、融資に関する仕組み付きプロポーザルを提案したところ、その中国本土企業は私が提案したプロポーザルの仕組みを、提案書にて禁止していたにも拘らず、また、我々に何の連絡もなく、そのまま我々のプロポーザルの全てを他行に見せた上で、「もっと良い融資条件を得た」として、他行からの融資を決めました。これに対して、私は遺憾の意を示し、抗議をすると、「知識や経験を持つ先達がそのノウハウを無償で後進に教えることが正義である。それにまた、日本は中国本土から多くの文化的ノウハウを無償で得た歴史があるではないか! 何を、文句を言うか」と回答するではありませんか。司法に訴えても無駄であると、中国本土の司法当局の当時の様子を勘案、本件、抗議を断念した、と言う経験があります。なんと言うことかと思いました。

 こうした後、その中国本土も国際化が進み、世界のリーダー国として、国際標準を意識する動きが拡大し、今は、多分、知的財産権に対する国家としての姿勢も変わってきているものと思います。即ち、「中国本土政府は、2014年には知財紛争を専門に扱う裁判所を設立、また、助成制度などで知財の出願を奨励している。こうした結果、2014年の特許出願数は90万件超と5年間で約3倍伸び、特許訴訟は年間約9,000件となっており、特許訴訟の多いアメリカの約2倍の高水準にまで達している。これは中国本土政府がこの10年間で知財保護制度を急速に整えてきたことが背景にある」と中国本土の動きを肯定的に評価する見方が出ています。

 私もこれを否定はしません。しかし、私が知るところ、例えば、日本企業の様子を見ていると、中国本土での知的財産権による争いは、巨額の訴訟費用が掛かる上、所謂、アウェイで訴訟をしても、「たとえ負けないにしても、先ず勝てない」と言った考え方が強く、更に、訴訟になった場合は日本企業が被告になるケースがほとんどであることから、日本企業は知的財産権の侵害行為を確認しても、中国本土では、訴訟に踏み出すことまでは、今でもあまりしていないのではないかと思います。

 こうした中、今般、「中国本土企業が製作発表した映画で、“ウルトラマンが許諾なしに使用されている”として、日本の円谷プロダクションが、抗議の声明を発表した。法的措置を含む断固とした対応を取るとしている。作品は、広州藍弧文化伝播有限公司が10日に北京で製作を明らかにした、“鋼鉄飛竜之再見奥特曼”である。題名に“奥特曼=ウルトラマン”が入り、先行発表された映像にウルトラマンが登場する。円谷プロは、“当社は一切関知しておらず、ウルトラマンブランドを著しく毀損し、到底認められるものではありません”とのコメントを出している」とのニュースに接しました。果たして、中国本土の司法はどう出てくるでしょうか? 円谷プロは、最後まで、腰を引かずに戦い続けるでしょうか? 私は本件を通して、最近の中国本土の知的財産権に対する真の姿勢を確認できればと考えています。

正直なAIが中国に革命をもたらす   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-08 09:53 [修正][削除]
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3352/3355
 中国では、インターネットサービス大手・テンセント(騰訊)がAIとの対話プログラムのサービスを提供していたそうです。このサービス、思いもかけぬ事態から停止に追い込まれたというのです。

 対話プログラムが中止された原因は、AIの正直さ、否、分析の正確さにあります。同社のAI、“QQ”は、“中国共産党は腐敗していて無能”とチャットしたのですから。AIと言えば、ディープラーニングの進歩により、集積されたデータから自己判断が可能なほどまでの発展を見せおり、“QQ”は、いわば、テンセントのAI技術の高さをネット上で広く宣伝するための役割を担っていたはずです。そして、同社が誇る先端技術の粋を集め、かつ、人間の脳のメモリーを遥かに越える大量のデータに基づいての判断だけに、“QQ”の発言は、ある意味において、人間の判断以上に客観的で科学的、かつ、正確である可能性が高いのです。

 もっとも、“QQ”のチャットは入力されたデータの質や量に依存していますので、必ずしも客観的とは言えないとする反論もありましょう。しかしながら、テンセントは、香港証券市場において上場されているとはいえ、その本社は中国の広東省深圳市に置かれており、中国当局による厳しい情報統制の下にあります。同社が共産党にとりまして不都合なデータを集中的、かつ、選択的に“QQ”に投入したとは考えられません。また、中国におけるAI技術の急速な進歩は、13億の国民を基盤とする大量のビッグテータの処理能力に依るところが大きく、“QQ”の判断が、同社が収集した中国国民のデータに基づく“世論”の解析結果であるとしますと、“共産党は腐敗して無能”は、“QQの声”ならぬ“人民の声”ともなりましょう。あるいは、“腐敗”や“無能”という概念を学んだ“QQ”は、これらの構成要素と中国共産党の行動を照らし合わせて、同一性を認識したのかもしれません。

 何れにしましても、“QQ”のチャットはそれが的を射ているだけに、中国国民は“我が意を得たり”の心境となったのではないでしょうか。そしてそれが、国民の中国共産党に対する“腐敗と無能”の評価を疑いから確信へと転じさせたとしますと、近い将来、民主・自由化への“‘革命の指導者’がAIであった”という人類史上初めての事例が出現するかもしれません。

(連載2)「個人メモ」の危険性 ← (連載1)「個人メモ」の危険性  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-06 08:02 [修正][削除]
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3351/3355
 この要件に当てはまらないものを「個人メモ」と言っています。とすると、加計学園関係でよく出てきて、文部科学省が「個人メモ」と説明している「萩生田官房副長官ご発言概要」については、これのどれかに当てはまらないはずです。

 では、どれに当てはまらないのでしょうか。まず、(1)は職務上作成した事は確実でしょう。(3)についても、共有フォルダに入っていたわけですから文部科学省が保有している文書であることも間違いないでしょう。では、(2)でしょうか。「萩生田官房副長官ご発言概要」文書は省内メールで10名程度の方に共有されていたそうです。それがどうして「組織的に用いていない」と言えるのでしょうか。この「組織」の考え方は「2名以上」とされています。ちょっと無理があると思います。

 更に言うと、この「個人メモ」と切り捨てるやり方はとても危険なのです。それは、その文書を作成した特定の人物にすべての責任を押し付ける行為だからです。「行政機関たるうちの役所の文書でない」という事ですから、その文書の中身について役所として一切の責任を負わない事になります。では、その責任は誰かというとすべて作成者です。このケースで言うと課長補佐級職員でしょう。しかも、それが上司の大臣、副大臣、局長辺りから「間違っている」と言われてしまうと、つまりは「おまえは間違った事を勝手に書いた無能な職員だ。」と言い切っている事とほぼ同義です。

 「個人メモ」と切り離そうとする行為は、その行政機関内の「和」を著しく乱します。行政機関の上層部のメンツを守ろうとするがあまり、立場の弱い一職員に責任を押し付ける行為となっています。それは社会通念上は「卑怯な行為」と捉えられるべき事ではないでしょうか。そう思っている文部科学省員がいるからこそ、現時点においても、文部科学省内から政権の意向に対峙する勢いが止まないのです。そこをよく政権幹部は理解すべきだと思います。普通に聞いてみると、あまり意識しない「個人メモ」という言葉の裏に潜んでいる「責任を弱い立場の職員に押し付けようとする卑怯な目論見」は看過してはならないと思います。(おわり)

(連載1)「個人メモ」の危険性  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-05 13:23  
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3350/3355
 昨今、政治関係で「個人メモ」という言葉が氾濫しています。例えば、SBS米の調整金調査で農水省が各業者さんから聞き取った情報はすべて「個人メモ」というかたちで整理されました。また、現在の加計学園関係でどんどん出てくる文書は、その大半が「個人メモ」と説明されています。

 この「個人メモ」という言葉は何を意味しているかと言うと、「行政文書でない」という事を含意しています。私自身、この2年、衆議院内閣委筆頭理事をやっているので、内閣府が所管する公文書のあり方について常に強い意識を持ってきました。その立場から言うと、ちょっと問題じゃないかなと思っておりまして、この行政文書についてひも解いてみたいと思います。

 まず、公文書とは何かというと、公文書管理法においては、行政文書、法人文書、特別歴史公文書等を指します。この内、法人文書というのは独立行政法人等の文書、特別歴史公文書等というのは国立公文書館等に移管されたものです。そして、普通にお役所の文書といわれるものが行政文書です。

 では、行政文書とはどういうものを指すのかというと、公文書管理法第2条4には「この法律において『行政文書』とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう(かっこ部分を省略)」と規定されています。これは以下のように3つのパーツに分かれています。すなわち、(1)行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、(2)当該行政機関の職員が組織的に用いる文書、(3)当該行政機関が保有している文書。(つづく)

習近平国家主席の“党主席”復活の狙いとは?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-03 14:26 [修正][削除]
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3349/3355
 今日、中国において、国家組織の最高ポストである国家主席の座にあるは、習近平氏です。その習氏、国家主席では飽き足らず(共産主義では、党が国家を指導し、国家に上位すべきとする認識がある…)、“核心”という称号に加えて、今度は、党主席のポストの復活を提案したと報じられています。

 “党主席”とは、唯一、建国の父とされる毛沢東氏のみが就任し得たポストです。“核心”は、毛沢東氏に加えて鄧小平氏や江沢民氏にも与えられた呼称に過ぎませんので、“党主席”の地位には別格の重みがあります。併せて68歳以上の幹部定年の制度をも変えようとしているところから、その“党主席”の復活を提言した習氏の思惑が、長期独裁体制の樹立であることは言うまでもありません。国家主席や党総書記には2期までとする制限があり、現制度のままでは習主席は、引退せざるを得ないからです。現代における最高レベルの医療を施すことで同氏が100歳まで長生きをするとすれば、中国国民は、終身独裁制の下で30年以上にわたる暗黒の時代を生きることとなりましょう。

 そして、パーソナルカルトを伴う習近平長期独裁体制の成立に加えて、懸念されるのは、中国共産党という組織を世界支配の道具とすることです。かつて、ソ連邦が東側陣営の盟主となり得たのは、全世界の諸国に設立された共産党を陰から動かし、コミンテルンと呼ばれた国際組織で束ねることで、国境を越えた活動を指令することが可能であったからです。乃ち、政党とは、それが国家の枠組を越える時、いとも簡単に内政干渉、あるいは、外国支配の手段となり得るのであり、ソ連邦は、それを実行しているのです。ソ連邦なき今日、最後に残った“共産主義帝国”である中国が、類似する手法で世界支配を狙っても不思議ではありません。日本国内では、蓮舫民進党代表の二重国籍問題が批判を受けましたが、仮に、中国共産党が国籍条項を設けていないとすれば、中国国籍を保有してはいないものの、何処の国でも中国共産党の党籍を有する政治家が存在するかもしれないのです(二重国籍ではないが、極めて危険な存在…)。

 東アジア情勢が緊迫する中、日本国政府は、中国共産党のリスクに対しても、予め対応策を講じておくべきではないでしょうか。中国における習主席を頂点とする長期独裁体制の成立は中国一国の国内問題に留まらず、その際限なき支配欲ゆえに国際法秩序全体を揺るがしかねないのですから。

国際化とこれに対する一部市民の反発について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-02 11:57 [修正][削除]
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3348/3355
 東西冷戦が終結、その後、米国の一国主義(ユニラテラリズム)が拡大し、「言語、通貨、法律、ものづくり基準、そして、会計基準」の国際標準の英米化が「グローバル・スタンダード」の名の下に世界に浸透、その後、1997年のアジア通貨危機と1998年のロシア金融危機を経て、世界に「国際標準と銘打った、実は英米化」が拡散していた1990年代後半に、「世界貿易機関(WTO)」の年次総会などの国際会議に、平和的活動を行う各種団体が押し掛け、「米国、そして、強者となる大国の標準を一方的に世界全体に押し付けるべきではない」と主張し、活動していましたが、WTOは、国際会議として「英米流の国際標準化」を事実上、推し進めました。

 そして、私はその結果として、世界の一部には、「いくら平和裡に、違いを共に理解しながら、世界各国の良いところを最大公約数にして、国際標準を構築していこうと主張しても、公式的な国際会議に於いては、所詮は強者の論理、大国の論理でしか進まない」と諦める勢力が出てしまったと見ています。そして、その一部勢力の、更に一部の中には、「強者の論理で国際標準を押し付けてくることに対しては、もはや、武力を以って対抗するしかない」との考えと動きが起こり、これが、今日まで続く、そして、世界が悩む、「テロとの戦い」の遠因となったのではないかとも考えています。

 さて、こうした中、ドイツ北部ハンブルクの警察当局は、去る7月7~8日に開催された主要20か国・地域(G20)首脳会議に於いて、会議に抗議するデモ隊が活動し、そのデモ隊と警察が衝突した結果、警察官476人が負傷したと発表しています。私の得た情報では警察官の負傷者数しか分かりませんでしたが、多分、デモ隊の方にも負傷者は出ていましょう。こうした状況を見ていて、私は、前述した、1990年代後半のWTOの国際会議に於ける市民運動のことを思い出さざるを得ません。そして、この民間デモ隊は、実際に「貧富の格差拡大に繋がったことの背景には、行き過ぎた、各地の標準を蔑ろにした、グローバル化がある」と主張しており、反グローバル化や反資本主義を掲げる人たちが多く参加しているのであります。更に、この抗議活動には、これをチャンスとばかりに、極左や無政府主義者も加わり、一部が暴徒化しています。そして、現地警察は、G20会議開幕前日の6日夜から8日の首脳会議閉幕後まで、市内で車が燃やされたり、店舗のガラスが割られたりする事件が頻発、計186人を拘束したとも発表しています。

 暴力は絶対にいけません。しかし、世界を率いるリーダー達は、もっと、相対的弱者となる一般庶民の声を聞きつつ、文化や歴史、宗教、風俗、習慣など、様々な違いを、一旦、尊重した上で、最大公約数を探し、それを、真の国際標準としていかないと、世界は更に深い対立の構図となり、国際化どころか、世界は再び、少なくとも一旦は分裂してしまうのではないかと私は危惧しています。そして、最悪は、戦争や紛争を背景とした分裂となってしまうのではないでしょうか。懸念が募ります。

(連載2)対北軍事制裁の現実味 ← (連載1)対北軍事制裁の現実味  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-08-01 10:44 [修正][削除]
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3347/3355
 古今東西の神話やおとぎ話では、人々を苦しめる怪物や邪悪な者が登場すると、勇気と力を有する正義の英雄が登場して成敗するものですが、この勧善懲悪のストーリー展開は、人類社会に普遍的に存在する“悪(自己中心的で貪欲な暴力主義者であり侵略者…)”との対峙を誰もが理解し得るように単純化して描いているのかもしれません(誰かが闘わなければならない…)。

 このように考えますと、アメリカが武力行使を実行する時期については、核を搭載したミサイルがアメリカの首都、あるいは、経済の中枢であるニューヨークに確実に届くミサイル攻撃能力を北朝鮮が有する以前の段階が最も可能性が高いと想定されます(それ故に、北朝鮮もICBMの実験を加速化させている…)。

 何故ならば、冷徹なリアリズムに徹すれば、この時期こそ、アメリカが払う犠牲が最小となるからです。そしてその選択は、日本国にとりましては、報復として北朝鮮から核攻撃を受ける覚悟を迫られていることを意味します。否、日本国は、アメリカに対して、“日本国のためにロサンゼルスへの核攻撃を甘受せよ”とは言えないはずです。

 国際法秩序が破壊され、人類が暴力国家に支配される将来が近づいている今日、日本国、並びに、日本国民は、犠牲を払ってでも守るべき価値はあるのか、という精神性をも含めた人類の存在に関わる根本問題を問われているように思えるのです。(おわり)

(連載1)対北軍事制裁の現実味  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-31 15:04  
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3346/3355
 報道によりますと、米陸軍のミリー参謀総長は、ワシントン市内で今月27日に開かれた講演において、北朝鮮問題について“時間切れが近い”とする認識を示したそうです。「百日計画」を念頭に置いた発言とも推測されますが、“朝鮮半島での戦争は悲惨だが、ロサンゼルスで核兵器が爆発するのも悲惨だ”とする解説も添えています。

 こうした中、翌28日には北朝鮮は、国際社会の懸念を一切無視して、再度、ICBMの発射実験に踏み切っており、アメリカ側の警告に対しても“どこ吹く風”の対応です。上述した講演でミリー参謀総長は、“熟慮の末の決断を下さなければならない”とも述べており、愚弄とも言える北朝鮮側の対応に業を煮やしたアメリカが対北空爆に踏み切るシナリオも現実味を帯びてきました。

 昨今のメディアの論調では、北朝鮮がミサイル搭載可能な核兵器、並びに、アメリカ領内に到達するICBMの開発に成功すれば、アメリカは、自国民の被害を考慮し、北朝鮮に屈せざるを得ないとする見方が大半を占めてきました。また、たとえ、アメリカに対する直接的核攻撃のレベルに達しない段階でも、同盟国である日韓等に配慮し、対北攻撃は思い止まるとする楽観的な見解も聞かれました。しかしながら、ミリー参謀総長の談には、武力行使に伴う犠牲の覚悟が窺えるのです。

 仮にこのまま北朝鮮の傍若無人な行動を放置しますと、近い将来、北朝鮮は、アメリカのみならず、全世界の諸国に対して核とICBMで脅しをかけることでしょう。否、韓国における親北派、文在寅大統領の誕生は、既に北朝鮮の核が脅迫効果を有している現実を示しています。暴力主義国家による覇権追求の悲劇は歴史が語るところですが、見境のない北朝鮮の行動を最終的には武力でしか止められないとしますと、如何なる犠牲を払ってでも戦わなければならないこととなります。(つづく)

(連載2)外務委員会質疑(日印原子力協定) ← (連載1)外務委員会質疑(日印原子力協定)  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-28 10:01 [修正][削除]
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3345/3355
 この条約には「陰の主役」が居ます。それはパキスタンです。インドが将来的に核実験をする可能性があるのは、「パキスタンがやった時」です。その時は必ず、インドもやると思います。つまり、トリガーを引くのはパキスタンです。その時、インドは何というかと言うと「自分達には何の責任もない。モラトリアムだって続けていく意思を持っている。ただ、今回は主権への危機だからやらざるを得なかった」と、こういう言い方になるはずです。ただ、日本は如何なる状況であろうとも、核実験をやったら協力を止めるという立場を表明しています。

 では、その時の規定はどうなっているかと言うと、日印原子力協定14条第2項に明記されていますが、右協定にある「考慮」を払ったとしても、日本のポジションは「必ず協力を止める」というものです。ただ、それであれば、こんな考慮規定は要らないわけです。考慮規定があるというのは、考慮した後、結果が左右される可能性を示唆しているのではないかなと思うわけです。そこを聞きました。「協力を止めるという日本の立場はインドも理解している」との答弁でしたが、この「理解」も、インドとしては「日本がそういう主張をしている事を知っている」というだけで、「そうなる」という事までをも合意していないのだろうと思います。

 そして、よく取り上げられる公文ですが、日本はこれを国際約束だとして「核実験をやったら日本が協力を必ず止める」という根拠はここにある、と主張しています。しかし、これは日本とインドがそれぞれの主張をしているだけです。合意と言うからには「意が合っている」必要があります。この公文で「意の合っている」部分は何処ですか、という事を長々と質疑しています。結論から言うと、第二項の「前記については、両国の見解の正確な反映であることが了解される」という部分だけだという答弁がありました。つまり、お互いが言い合ったことが正確に反映されている事が合意事項であり、具体的な義務関係を構成する部分はありません。「核実験を行ったら協力が止まるという事についてインドが合意している」わけではないわけです。

 もう通ったので正直に言うと、「(インドと原子力協力をするかどうかという是非はさておき、交渉をやる事を前提とするならば)あの厄介なインド人相手にここまでやってきたのは立派。あとはパキスタンが核実験をやらない事を皆で願おう」というのが感想です。上記にあれこれ書きましたが、インドの核実験のトリガーを引くのはパキスタンです。なので、パキスタンが核実験をやらなければ、インドは2008年以降のモラトリアムを継続するはずですし、協定第14条の協力の停止の部分は発動されません。なので、もう一度書きますが「パキスタンが核実験をやらない」限りにおいては普通に普通の原子力協力が進むだけだと思います。(おわり)

(連載1)外務委員会質疑(日印原子力協定)  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-27 16:39  
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3344/3355
 5月10日、外務委員会で日印原子力協定に関する質疑に立ちました。アンチダンピングの話をした後、本題である日印原子力協定(協定、公文)についてかなり詰めた質疑をしました。この協定はインドとの原子力協力を進めるものですが、やはり気になるのが「インドが核実験をした時」の扱いです。そこに焦点を当てて聞いています。

 まず、岸田外相は累次答弁で「この協定によりインドを実質的に不拡散体制に取り込む」と言っていますが、これを以て「日本との」「民生用の」原子力協力に規制を掛ける事で「実質的に不拡散体制に取り込む」とまで言うのは、ちょっと大風呂敷ですね。大臣は答弁でいみじくも「少しでも(取り込みを進める)」と言いましたが、多分、それが真実だと思います。また、大臣は累次答弁で「我が国は機会ある毎にインドへのNPTへの加入を求めている。そういう我が国の立場をインドもよく理解している」という言い方をしています。

 ここには微妙な言葉の誤解が生じかねません。ここで言う「理解」とは、インドがそういう日本の主張を知っているだけであって、日本の主張に「(好意的な考慮を含意する)理解を示す」という事ではありません。米国のシリア空爆の際も「理解」という言葉を使いましたが、あれも単に「情報として知っている」という意味以上のものはありませんでした。この「理解」という言葉にはとても注意する必要があります。岸田外相もちょっと辛そうでした。

 その後、この条約の「インドが核実験をした場合」に関する部分について、かなり本質的な質問をしています。それは「この条約の解釈において日印間で同床異夢の部分があるのではないか」という問でした。私はかなりの同床異夢があると思っていますが、答弁は「無い」でした(そう答えるしかないのですが)。(つづく)

“文明の衝突”ではなく“文明と野蛮の衝突”では?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-26 14:33 [修正][削除]
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 イギリスのEU離脱、並びに、アメリカでのトランプ政権の誕生を背景に、サミュエル・ハンティントン氏が提唱した文明の衝突論が再び議論の俎上に上るようになりました。メディアでも盛んにリベラル派の知識人の見解が取り上げられ、“文明の衝突”を避ける道として、多様性を認める寛容の精神を読者に説いています。

 しかしながら、今日、国際社会が直面しているのは“文明の衝突”なのでしょうか。メディアに颯爽と登場してくる知識人は、何の疑いもなく異文明間の衝突を議論の前提に自説を展開しています。ところが、現実を直視しますと、今日の国際社会で起きている問題の多くは、異なる文明間の衝突ではなく、文明と野蛮との間の衝突に思えてならないのです。ここで確認すべきは、現代における“文明”とは何か、という文明の定義と判別基準です。今日において人々が安心して生きるためには、まずは、個人であれ、集団であれ、自他の主体性(存在そのもの…)の一般的な承認を要します。超越的な視座に位置する法によって、全ての構成主体が承認されなければ、統治上の価値とされる民主主義も、自由も、法の支配も、そして平等・公平も成り立たないのです。現代の文明は、主客両面における主体性承認を普遍的な制度として実現していると言うことができるでしょう。

 このような現代の文明の定義に照らしますと、“文明”の対義語としての“野蛮”は、“他者の主体性の一方的無視”を意味します。イスラム教も共産主義も、異性(女性)の主体性の軽視や無視、異教徒や異なる階級の人々の主体性の抹殺を肯定している点において、“野蛮”に分類されると言えます。北朝鮮の政治イデオロギーである主体思想も、独裁者の主体性を絶対化する一方で、国民を含めた他者の主体性を認めない野蛮思想に他なりません。そして、現代の人類が直面している問題を“文明の衝突”と見なしているリベラル派の立場は、個人のレベルでは基本権や多様性の尊重を唱えても、集団のレベルでは、国家の主権や民族の自決権は容認していません。この意味において、リベラル派は、国家や民族(国民)の主体性を一方的に無視しているのです。否、国家の歴史や伝統、そしてこれらに基づくナショナリズムに対する排他性と迫害の容認においては、イスラム教や共産党などと然程の差はありません。もしかしますと、それは、“無自覚の野蛮”、あるいは、“隠れ野蛮”と称した方が適切であるかもしれないのです。

 異なるとはいえ、文明同士の衝突であれば、何れが勝っても文明は残りますが、文明と野蛮との闘いであれば、野蛮の勝利は文明の消滅を意味します。文明と野蛮の衝突と野蛮側の勝利こそ、人類文明の真の危機と言えるのではないでしょうか。

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投稿者:真田 幸光  (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-25 10:13 [修正][削除]
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 また、例えば、政府間ベースでは、慰安婦問題や靖国神社問題などを背景に、関係は一向に「本格的」改善を見ずといった状況にあることはご高承の通りであります。こうしたことでは、如何に、正論を解き、これを具現化しようとしても、具体的成果は上がらないと思います。

 「違いを共に生きる」日韓双方がお互いを尊重しつつも、「ハード・ネゴシエーション」をしていかないと、こうした状況は一向に改善されないと、韓国ビジネスに携わってから33年の私は痛感しています。そうした意味では、例えば、先にご紹介した韓国の先生もコメントされていた、第四次産業革命を意識した、ものづくりの世界標準作りを行う、日韓共同コミッティーを構築し、これを日韓の相互議論のプラットホームにしつつ、そこで、先ずは日韓がハード・ネゴシエーションをしながら、日韓のものづくり基準を世界標準にしていく努力をしていけば、日韓の相互信頼関係が構築されるきっかけとなるかもしれないと私は考えています。

 尚、大韓商工会議所と日本商工会議所は、先日、北海道・富良野で「第11回韓日商工会議所首脳会議」を開催しましたが、大韓商工会議所の朴会長は、開会挨拶で、文大統領と安倍首相が特使を派遣し合い、先の主要20カ国・地域(G20)首脳会議で会談したことに言及しながら、「今年はもう2~3回会うことになると思う。こうして頻繁に会う中で両国が実用的で成熟した協力パートナー関係に発展し、北東アジアの安定と協力にも寄与するよう願っている」と明言、また、両国の協力が期待される分野としては、「新産業と来年の平昌冬季五輪である」と強調しています。

 更に、朴会長は「IoTや人工知能(AI)など多くの分野でデータの蓄積が必要である。これらの分野で先を行く国々に追いつくため、北東アジアの主要国同士でデータを流通・共有するシステムを構築し、協力することができる。また、五輪の行事をはじめ大会後の施設活用、地域発展などを巡って意見交換できるよう期待している」ともコメントしている点、注視したいと思います。(おわり)

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投稿者:真田 幸光  (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-24 11:03  
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 私は、先日、名古屋で開催された大きな日韓経済フォーラムにパネルディスカッションのコーディネーターとして参加しました。このフォーラムは、日韓双方の主催者たちの「思い」が映し出された、とても素晴らしいフォーラムでありました。そして、フォーラムの冒頭、韓国財界を代表する、そして、現在は教壇に立つ、韓国の著名な先生の基調講演を伺いましたが、その冒頭、「日韓は何故経済協力が必要か?」に関する説明が先ず、なされました。

 この点に関する先生のお話を私なりに要約すると、以下の通りとなります。即ち、(1)日本の自然災害発生時、韓国の軍事的問題発生時といった非常事態には、相互協力しあう意味がある、(2)日韓ともに人口減少社会に突入する中、一つの経済圏となり、質も高く、規模の経済性も生きる共同経済権を構築することに経済的メリットがある、(3)日韓の産業構造が類似する中、過当競争を排除、共通利益を求めて強調した方が、日韓双方にトータルメリットが生まれる、(4)日本は技術、資本、情報力があり、韓国は現地適応力、瞬発力があると言った、日韓双方の強みを生かした第三国戦略を共に推進していけば、相互メリットは取れる、(5)国際標準化を共に推進していけば相互メリットが中長期的に期待できる、(6)難しい中国本土に対して、共同戦線を張り、日韓相互のメリットを確保していく上で期待が持てる、といった形で、「日韓経済協力の必要性」を解かれていました。

 私も、正に「その通り!」と、同感でありました。戦争などが起こらぬ程度に、適度に、日韓関係が悪化していれば、米国や中国本土、ロシアなど、周辺大国にはむしろ、「漁夫の利」を取られてしまい、日韓は、これら諸国の「経済的奴隷国家」になってしまうのではないかと常日頃から感じている私にとって、「日韓経済協力」が実際にワークしていけば、日韓相互メリットが取れると私は確信しています。

 しかし、問題はここからであります。「ビジネスは信頼から始まる」とも考えている私にとって、そもそも、「日韓の相互信頼関係」は弱いのではないかと見ています。例えば、民間ベースでは、当初は、経営者同士が意気投合し、日韓ビジネス連携を、たとえスムーズにスタートとしたとしても、日韓は似て非なる国、配当金の支払いや先行投資などについての根本的な考え方の違いが背景となり、関係が悪化、その結果として、「やっぱり韓国は…」、「やっぱり日本は…」とお互いがののしりあうと言った不信感が生まれ、むしろそれが増幅されてしまうといった事例を私はしばしば目にしています。(つづく)

(連載2)奇妙なキッシンジャー元国務長官の日本嫌い ← (連載1)奇妙なキッシンジャー元国務長官の日本嫌い  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-21 10:28 [修正][削除]
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 第3に、当時、将来的には、同氏は、日米同盟の解消を前提とした米中同盟さえ想定していた節があるそうです。しかしながら、この構想も、アメリカの主敵がソ連邦であったことを思い起こしますと、奇妙と言わざるを得ません。何故ならば、キッシンジャー氏自身が、敵の敵は味方の論理で現実主義に徹し、米中国交正常化に向けて動き出していた時期なのですから、対ソ戦略を最優先とすれば、日米中の多国間同盟を提案するほうが合理的であるからです。

 キッシンジャー氏が対ロ戦略として中国に接近していたのなら、日米中でロシアを牽制した方が効果的であり、日中国交正常化は、むしろ歓迎すべきシナリオであったのではないでしょうか。また、仮に、キッシンジャー氏の言うとおりに、米中が手を結んで日本国を敵視した場合、当然に日ソ接近の可能性は高まります。当時の中国の脆弱な軍事力と日本国の経済力を考えれば、“日ソ同盟”の出現は、米国にとりましては不利であったはずなのです。

 以上の諸点からしますと、キッシンジャー氏の日本嫌いの理由は矛盾に満ちています。となりますと、同氏の語る理由は後付けに過ぎず、真の要因は、別のところにあると推測されます。その理由を特定することは困難ですが、ナチス支配を逃れてドイツからアメリカに移住した経歴からしますと、私怨による日本嫌いである可能性もありますし、また、キッシンジャー氏の背後には、国際情勢の全般的なコントロール、あるいは、中国利権に関連した何らかの勢力の思惑があったのかもしれません。

 キッシンジャー氏の日本嫌い、否、中国贔屓の真の理由の探求こそ、今日のチャイナ・リスクの起源を解明する鍵が潜んでいるようにも思えるのです。(おわり)

(連載1)奇妙なキッシンジャー元国務長官の日本嫌い  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-20 20:31  
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 ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官と言えば、ニクソン政権時代に米中国交正常化への道筋を付けた政治家として知られています。93歳の高齢ながら今日なおも隠然たる影響力をホワイトハウスに及ぼしており、外交顧問として迎えているトランプ大統領もその例外ではありません。

 そのキッシンジャー氏ですが、最近、ネット上でキッシンジャー氏は筋金入りの日本嫌いとの説を目にしました。その理由は、田中角栄政権による日中国交正常化にあり、“アメリカを出し抜いた日本国は裏切り者である”とする認識があるそうなのです。しかしながらこの日本嫌いの理由、あまりにも支離滅裂なように思えます。

 第1に、アメリカの同盟国であって、同国に先んじて中国と国交を正常化したのは、日本が最初の国ではありません。1949年10月の建国から僅か半年あまりを経た翌50年の1月には、イギリスが西側諸国として初めて中華人民共和国を国家承認しています。フランスも1964年には承認に踏み切っておりますので、国交正常化を理由に日本ばかりが“裏切り者”扱いされるのでは筋が通りません。

 第2に、キシンジャー氏は、日本国があたかもアメリカの頭越しで中国と交渉を開始したかのようにみなしていますが、1972年の日中国交正常化に先立つ1970年頃には、中ソ関係が対立への転換したことを背景に、米中関係も水面下で改善が模索されていました。この時期、カナダ(10月)やイタリア(12月)も、中国との関係を正常化させています。1971年3月には、キッシンジャー氏自身が大統領補佐官の肩書でニクソン大統領の密使として北京を訪問しており、日中国交正常化が同氏にとって“青天の霹靂”であったはずもないのです。同年7月15日のニクソン大統領の訪中が、米ドルの金兌換の停止と並んで“ニクソンショック”と呼ばれたように、アメリカの対中政策の転換に驚いたのは、日本国政府の方であったかもしれません。(つづく)

(連載2)米韓関係について ← (連載1)米韓関係について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光  (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-19 19:45 [修正][削除]
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 そして、米国のトランプ大統領と韓国の文在寅大統領との初の米韓首脳会談では、米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉など、通商問題を集中的に取り上げた模様です。トランプ大統領は、米韓関係に関して、「米韓FTAが締結されて以降、米国の貿易赤字は110億米ドル以上増えている。良いディールではない」とコメントしつつも、トランプ大統領は、「相互互恵」という言葉を繰り返し使い、米韓首脳の信頼関係を強調すると共に、「貿易障壁をなくし、韓国市場参入をより一層拡大しなければならないだろう」とコメント、具体的には自動車産業と鉄鋼産業を挙げ、自動車産業については、「韓国の企業は自動車を米国で販売している。米国の自動車関連企業も相互互恵的な原則に基づき、そうできるようにしなければならない」と強調し続けています。

 そして、トランプ大統領は、トランプ大統領自身のこうした懸念を表明しつつ、「文大統領は『公正な競争の場を作る』と答えた」と述べています。トランプ大統領はまた、「韓国に対し、中国本土の鉄鋼ダンピング輸出を許可しないよう求めた。そうしなければ、米国の労働者にとって公正ではないからである。これが我々の貿易関係において非常に重要な第一歩になると考えている」とコメントしています。

 トランプ大統領は首脳会談の直前の発言で、また、「今、米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉をしている。我々は米国の労働者に非常に良い交渉を望んでいる。両国にとって公正かつ公平な協定になってほしい」ともコメントしています。そして、前述したTHAADの問題には基本的には触れておらず、「トランプ大統領としては、韓国との関係緊密化には本格的に臨もうとしている」と見られます。

 そして、日本にとっては、今回の米韓首脳会談は、「米韓両国が、相対的には信頼関係の緊密化を図ろうという姿勢を見せている」と見られる一方でまた、「しかし、米韓相互に一定の不信感も存在しており、その結果として、米韓には適度な緊張感もあり、日本としては、米国に対して、更にアプローチをしていく、そして、日本の相対的な価値の高さを米国に対して示していく必要もある」と私は考えています。今後の動向をフォローしたいと思います。(おわり)

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投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-18 18:59  
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3337/3355
 日本にとっては、不穏な動きを示す北朝鮮問題を意識したとき、或いは日本に対しては厳しい外交姿勢を示す韓国や中国本土との外交関係を意識したとき、或いはロシアの南下リスクを意識したとき等々、米国が如何にアジア問題、就中、北東アジア問題に対する外交姿勢を示すのか、注視する必要があるかと思います。そして、「米国が如何なる対韓外交姿勢を示すのかによって、日本のアジアに於ける外交的立ち位置に影響を受ける」とも私は見ています。

 即ち、米国が基本的には韓国との信頼関係を基にした外交関係を維持するのか? 米国が日本との相対比較に於いて、どの程度、韓国に対して信頼を置くのか? その韓国が米国との外交関係の反対側で如何なる対中、対露外交姿勢を取るのか? 等々に意識を払う必要があるかと思います。

 こうした中、朴前大統領の弾劾、失職に伴う前倒し選挙によって、この5月に韓国の新大統領に就任した文在寅大統領が就任後初めて訪米し、米国のトランプ大統領と面談しました。そして、この米韓首脳会談に関する各種報道を見ていると、「そもそも、その基本姿勢として、中国本土や北朝鮮、或いはロシアとの関係を相対的に重要視するのではないか、そうした延長線上で、米国のミサイル防衛システムであるTHHADの韓国配備も見直すのではないかと見られる文大統領に対しては、米国のトランプ大統領は厳しい見方を示すのではないか?」と見られていましたが、トランプ大統領としても、「信頼」をベースとした紳士的な対応姿勢を、一応は、文大統領に対して示したのではないかと思われます。

 今回の米韓首脳会議に関する報道の中で私が関心を持った点を、若干、詳細に見てみます。先ず、韓国は、米国に対して、所謂、「お土産」を持って、訪米したようです。即ち、文在寅大統領に同行して訪米する企業経営者は、今後5年間に米国に128億米ドルを投資する一方、米国から224億米ドルの調達を行うとする合計352億米ドル規模の対米ビジネスを準備することを表明しました。(つづく)

(連載2)鉄鋼の不当廉売課税 ← (連載1)鉄鋼の不当廉売課税  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-07-15 11:56 [修正][削除]
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 ただ、アメリカではこのアンチダンピングについては米国国内法で定められているので、通商代表部は議会から非常に厳しく言われておりガチガチのポジションです。よく米国との交渉をすると「いや、Congressとの関係があって」と議会をエクスキューズに使います。都合が悪くなると「Congress」の言葉を使ってきます。我々、日本の国会もそれに負けてはならないと思っています。どんどん我々側からも行政に対して、このアンチダンピングについては「ダメなものはダメだ」と言い続けていく必要があります。

 さて、このアンチダンピング、実は最近はアジア諸国の多用が目立ちます。中国の過剰生産問題+投げ売りもあり、東南アジアやインド等の各国ともアンチダンピング課税をよく使います。現在、日本企業にとっては(輸出がそれ程多くない)アメリカよりも、アジア諸国によるアンチダンピング課税の方が深刻な問題となりつつあります。これは日本企業にとって実に奇妙な結果となっており、「輸出先でシェアが増えるとアンチダンピング課税をすぐに打たれるので、シェアが増え始めると輸出量を調整する」という実態があると聞いています。ここまで来ると「公正貿易」ですらなく、完全に「管理貿易」の世界になってきています。

 現在は個々のケースに対応するしかないのですが、本来であればWTO・AD協定の改正が筋です。というのも、こういうルールものはマルチの交渉でやらないと意味が無いのです。例えば、アメリカが日本に対するアンチダンピング課税についてのみ制度を変える事は無理なのです。だから、世界全体でルールを改正する動きにしか乗れないはずなのです。今、二国間の自由貿易が百花繚乱ですが、実はそれでは対応出来ない事があるのです。こういうAD協定のようなルールであったり、農業の補助金削減のような話であったり、これらは何処まで行っても二国間やTPPのような協定ではやれない(やろうと思わない)のです。

 冒頭引用した外務委員会での質疑で、ちょっと外務省は腰が引け気味でした。トランプ大統領との関係を忖度して、今はあまり強いポジションを出しにくいのでしょう。だからこそ、国会側から厳しく本件は指摘していきたいと思います。日本の交渉官に「うちのDiet(国会)がうるさくて」と言わせるためにも。(おわり)

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