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一帯一路構想と南シナ海囲い込み   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-26 22:27 [修正][削除]
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3323/3323
 中国は、近年の急速な経済発展とそれに伴う軍事力の増強を背景に、経済面では自国中心の経済圏構想、即ち、一帯一路構想を掲げる一方で、政治面では、国際仲裁の判決を無視する形で南シナ海の軍事拠点化を強行しています。しかしながら、中国は、政経両面の二つの政策が矛盾していることには気が付いていない、あるいは、気付いていないふりをしているようです。

 中国の説明によれば、一帯一路構想とは全世界に開かれた経済圏であり、モノや人等の自由、かつ、活発な往来が経済圏全体を豊かにするとしています。インフラ投資を目的として設立されたAIIBも、この構想の一環と言えます。アメリカがトランプ政権の下で保護貿易色を強める中、中国は、グローバル経済の盟主を自負しており、経済面では、“移動の自由”の促進を謳っているのです。AIIBに参加している、あるいは、一帯一路構想に賛同している諸国は、中国の掲げるグローバリズムの理想に共鳴しているのでしょう。しかしながら、中国が、本心から開かれた広域経済圏を目指しているのか、と申しますと、これは、相当に怪しくなります。何故ならば、南シナ海では、自らの説明とは真逆の行動をとっているからです。

 常設仲裁裁判所における判決において問題視されたのは、中国が、歴史的、並びに、法的根拠を欠くにも拘わらず、国連海洋法条約を無視し、「九段線」の主張の下で一方的に南シナ海を囲い込もうとしたところにあります。国際レベルでの海洋法とは、海洋における自由な航行を約するために締結された条約であり、いわば、“海の交通ルール”の側面があります。つまり、公海や領海等の範囲を定めたり、航行のルールを明記することで、一国による特定海域の囲い込みや外国船舶に対する航行阻害行為を禁じているのです。こうした海洋法の意義に照らしますと、中国の南シナ海における行動は、航行自由の原則に対する挑戦に他なりません。中国が南シナ海の軍事拠点化を進める目的としては、アメリカが秩序を維持している太平洋への自国勢力範囲の拡大、東南アジア諸国に対する軍事的威圧、そして、南シナ海をシーレーンとする諸国に対する経済封鎖手段の獲得などが挙げられています。南シナ海が“中国の海”として閉鎖されれば、当然に、自由貿易も露と消えることでしょう。

 中国は、グローバリズムの衣を纏って一帯一路構想の実現に向けて邁進しようとするのでしょうが、南シナ海での行動は、それが本心ではないことを証明しております。仮に、真に開かれた経済圏を標榜するならば、それを法的に保障する海洋法に違反するような行為は決して採らないはずなのです。中国の一帯一路構想、並びに、AIIBが信頼されない理由は、まさに、言葉では開放を唱えながら閉鎖を追及している中国の言行不一致にあると思うのです。

(連載2)「みちびき」について ← (連載1)「みちびき」について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-24 11:24 [修正][削除]
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3322/3323
 そしてまた、これは、日本にとっては、ミサイル防衛やミサイル誘導という、実は安全保障上の目的にも使い得るものであり、日本にとっては大きな財産となると期待されます。こうしたことから、日本が今般導入した「みちびき」のプロジェクトは多角的な視点から注目していくべきものであると私は考えています。

 しかし、こうした日本が米国と連携してミサイル防衛とミサイル誘導のシステム強化を図ることに対しては、中露とも警戒感を示しており、中国本土は、日米の日本海や東シナ海海域・上空近くで展開される合同軍事演習を懸念したり、韓国に配備された米国のTHAADなどを厳しく批判しています。

 そして、ロシアに関しては、プーチン大統領自ら、北方四島問題に関連する形で「日本の主権下に入れば、これらの島に米軍の基地が置かれる可能性がある」と述べつつ、日米安保条約が適用される現状では日本への返還は難しいとの認識を示し、制宙権を意識した日米連携を危惧する発言をこの時期に行ってもいます。

 上述したような平和利用としての「みちびき」の効果を期待する一方で、中露がこうした警戒感を示していることを私たち、日本の民間人も一応、念頭に置いておく必要がありそうです。(おわり)

グローバル化推進機関   
投稿者:池尾 愛子 (東京都・女性・早稲田大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-24 10:31 [修正][削除]
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3321/3323
 欧州連合(EU、本部ブリュッセル)と経済開発協力機構(OECD、本部パリ)はグローバル化推進をめざして協力し合っている。ユーロ圏(ユーロを採用する19カ国)の平均1人当りGDP水準は、先進国クラブとみなされるOECD加盟35カ国の同水準を越えた。ギリシャはEUとOECDの両方に加盟しているが、同国の債務問題はEUの方により大きな問題になっている。それにもかかわらず、ユーロ圏全体の経済的躍進はめざましい。関税撤廃、共通通貨導入という過程を経て、「ルール違反国」が出ても、競争力を強化してきた成果が出ているようだ。

 OECDのウェブサイト(www.oecd.org)では加盟国を中心とした経済・金融・産業・社会の統計データが比較可能な形で利用可能である。関連する授業では学生たちにそのデータの利用を強く勧めている。OECD東京センターのウェブページから、「国内総生産(GDP)」をクリックすると、英語の統計データのページにジャンプし、国別1人当りGDP水準の棒グラフが現れる。日本の1人当りGDP水準はOECD平均を下回り、加盟国ではない中国の同水準はそのグラフには登場しない。

 「OECD企業・金融業アウトルック2017」(Business and Finance Outlook、英語、5月30日公表)も刺激的である。要旨が中国語を含む26の言語で提供されていて、OECD主導で、英語でのグローバリゼーションひいては社会科学での議論を標準化したいようにみえる。日本語要旨は次のように始まる――「グローバル化は、先進国においても途上国においても、社会の大部分にとってうまく機能しておらず、格差を拡大させ、低技能労働者に辛い思いをさせている、という見方が強まっている。成果を改善するために国内政策でなすべきことは多いが、国内政策と国際政策の連携の改善や国境を越えた企業活動の競争条件をより平等にすることも強く求められている。」

 同アウトルック要旨では、「国有企業と過剰能力」と題する一節があり、「助成その他の優遇措置を国有企業(SOE)に付与すると、往々にして、民間企業に付与する場合より大きな歪みが生じる。国有企業は主要な世界の産業部門においてシェアを高めているが、大半はアジアの国々の国有企業である」と指摘している。アウトルック本文を読むと要旨だけ読む時より印象はずいぶん穏やかに変わる。しかし、「アジアでSOEが多い国では、市場規模の大きいことのメリットが活かされていないのではないか」との示唆が、市場規模を拡大することで域外との競争力を向上させて1人当りGDPの上昇を実現したユーロ圏の経験に照らして、投げかけられていることに変わりはないであろう。そして、こうした示唆への反論や対応策も議論され、進められているのではないか。

(連載1)「みちびき」について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-23 14:28  
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3320/3323
 世界は「制空権ならぬ制宙権」を強く意識して、パワーゲームを展開することを意識し始めています。「宇宙を制する者は世界を制す」であり、中国本土などは、自国単独で宇宙開発を推進し、着々とその権益を広げているものと思われます。これに対して、我が国・日本は米国の庇護の下、「制宙権は米国任せ」といったところがありました。

 しかし、こうした一方で、日本でも、カーナビやGPS機能がついた携帯電話の普及によって、人工衛星を使った測位情報は私たちの暮らしに欠かせないものとなってきています。そして、測位衛星により位置を特定するためには、最低4機の人工衛星から信号を受信する必要がありますが、これまで日本国内の都市部や山間地では、高い建物、山などが障害となって4機の人工衛星からの測位信号が届かないことがあり、測位結果に大きな誤差が出ることが度々ありました。

 こうした中、今般、日本政府が主導となり開発、遂行された「準天頂衛星システム・みちびき」は、「準天頂軌道」と言う日本のほぼ天頂(真上)を通る軌道を持つ人工衛星を複数機、組み合わせた衛星システムとなっており、現在、運用中のGPS信号やアメリカが開発を進めている新型のGPS信号とほぼ同一の測位信号を送信することで、日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも、測位できる場所や時間を広げることができるようになりました。

 準天頂衛星システムは、補強信号の送信等により、これまでの数十メートル程度の誤差だったGPSに比べて、1メートル程度、更にはcm級へ測位精度の向上を目指して作られたものです。普段カーナビを使っている方の中には、現在でも十分実用に耐え得ると思われる方もいるかもしれませんが、「みちびき」と言う衛星測位システムは、カーナビ以外にも、(1)地図作りや建築作業に欠かせない測量、(2)子供や高齢者の見守りサービス、(3)農業機械等の自動制御、(4)地震や火山の検知、(5)天気予報など、応用範囲が広がっており、それに伴い精度や信頼性の向上等の高度化が求められていることから、今後、これまでにない位置情報を活かしたサービスも生まれるかもしれません。(つづく)

(連載2)テロ等準備罪 ← (連載1)テロ等準備罪  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-22 10:37 [修正][削除]
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3319/3323
 しかし、繰り返しますが、「国際組織犯罪とテロリスト犯罪との間には強い連関性がある」事は事実です。ここから読み取れるのは何かというと、国際組織犯罪防止条約はテロ防止を「目的」としたものではなく、「結果」としてテロ防止に資する部分がある、こういう事だと思います。この「目的」でなく、「結果」であるという部分が重要なのです。

 これ、あえて簡単に言ってしまうと、「豆腐を作ろうと思って作ったら、おからが出来た。」というのを、「実はおからを作るのも目的だった」と言い換えているわけです(実はこれはTPPの著作権章でも同じ議論をしました)。「国際組織犯罪防止を行おうと思ったら、(部分的に)テロも防止できる事が判明した」という事を、大転換して「実はテロ防止も元々の目的だった」と言い換えているわけです。

 結果で引っ掛かるものを目的に転換していいのであれば、その呼び方はもう何でも可能です。究極、「殺人等準備罪」でも何でもよくなってしまいます。なかなか気付かない所ですが、上記のような理由から私は「テロ等準備罪」という呼称には無理があると確信しています。しかも、それを前面に立ててしまったので、冒頭書いたように「主義主張」を無効化する必要があり、結果として、世界の何処にも存在しない広範なテロの定義を作ってしまったのです。

 何故、そんな事をしたのか。簡単です、「テロと言っておけば、国民は反対しないだろ」という思惑があるからです。それを私は質疑の冒頭で「hard cases make bad laws」と形容しています。今回の法律の評価はここではしませんが、手法として「hard case」を挙げておけば国民へのアカウンタビリティーが軽減されるという思いを政権幹部が持つのだとしたら、それはとてもとても危険な事だと思うのです。今回は法律が通ってしまいましたが、将来的にこういう手法が横行しないようにする必要があります。「真正保守」の方は、普通、こういう手法には激しく抵抗するはずなのですが。(おわり)

(連載1)テロ等準備罪  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-21 13:21  
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3318/3323
 共謀罪法案について、私は一度委員会質疑に立ったことがあります。この法案に際し、テロを押し込もうと無理をしたため、結局「主義主張」の部分を無効化しないといけなくなった経緯があります。テロ犯罪集団が持っている主義主張は、すべてテロの定義における特定の主義主張になるわけですから、結果としては無効化されてしまいます。世界の様々なテロの定義を私も学びましたが、主義主張の所が欠落している定義はありません。そういう意味で、今回、日本は恐らく世界の何処にも存在しない極めて広範なテロの定義を採用したことになります。

 しかも、他法令においても、横並びで意味合いをそろえなくてはならないので、特定秘密保護法等の他法令においても、主義主張の部分を無効化する事をやらざるを得なくなりました。今回の共謀罪法案に無理をしてテロを押し込んだ事は色々な歪みを生じていると思います。では、国際組織犯罪防止条約とテロとの関係は本当の所どうなのか、という根源的な問いが出て来ます。私の質疑ではその部分も勿論、聞いています。

 まず、大前提として「国際組織犯罪条約とテロリズム犯罪との間に強い関連性(link)がある」という事を私は否定していません。ただ、「関連性がある」というのは双方は別概念であることを示唆しており、国連事務総長も「区別されるけど、その違いは不明確である。」と言っています。であれば、「テロ犯罪を含む国際組織犯罪」という言い方は誤解を招きます。何処まで行っても「テロ犯罪の一部を含む国際組織犯罪」でないとおかしいのです。

 また、国際組織犯罪防止条約の前文にはテロリズムと言う言葉は一度も出てきていません。前文に無いという事は「テロ防止」を目的とはしていないという事です(これは国際約束や安保理決議の常識です)。更には、国際組織犯罪防止条約には、通常のテロリズム関連条約に含まれる、テロの対象となる人々の心理に関連する文言(例えば「intimidate」)が出て来ません。つまり、条約の作り全体がテロ防止を目的とはしていないという事です。(つづく)

マクロン大統領のEU路線では仏国民負担増では?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-19 12:52 [修正][削除]
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3317/3323
 フランス下院選挙では、共和党、並びに、社会党の左右両党から有力幹部を引き抜いて閣僚に据えたことから、“マクロン新党”である「共和国前進」が圧勝するシナリオも現実味を帯びてきました。7割を越える議席を獲得するとの予想もあり、既存政党は、一党支配の阻止に全力を挙げているとも報じられています。ところで、7割という数字からすれば、“マクロン新党”は圧勝と言えるのですが、フランス国民は、マクロン大統領の政策を積極的に支持しているのでしょうか。第一回投票の投票率が最低であることも然ることながら、マクロン大統領の掲げるEU政策は、フランス国民にとりましては財政面では負担増となる可能性があります。

 同大統領は、大統領選挙時よりEU深化を基本方針として掲げており、特にユーロ圏共通予算の設立や経済財務相ポストの新設が、財政統合路線として注目されてきました。共通予算の下でEUの財政基盤が強化され、財政権限も拡大すれば、南欧諸国等の債務危機に陥った加盟国を救済したり、加盟国への投資も増やすことができるとする主張です。財政統合は、ソブリン危機を思い起こせば、EUの安定化に貢献するのでしょうが、それは同時にEU内における加盟国間の財政移転の強化を意味します。言い換えますと、豊かな加盟国のEUに対する財政支出が増加する一方で、財政的に苦境にある諸国は、EU予算から支援を受けることができるようになるのです。

 マクロン大統領の主張は、豊かなドイツからのフランスへの財政移転を念頭に置いているとする説もありますが、EUの財政の現状を見ますと、フランスは、財政的にはEUに対して出超国です。しかも、同様にEU予算を支えてきたイギリスが離脱するとなりますと、地域政策等の下で現在実施されている南欧や中東欧諸国への財政移転も、他の国が肩代わりする必要があります。となりますと、フランスは、EUから財政支援を受ける側ではなく支援を行う側となる公算が高く、それはとりもなおさず、フランス国民の肩に財政負担が重くのしかかることを意味するのです。

 財政統合については、ドイツ国内でも財政負担増から反対の声が根強いのですが、フランス国民は、この問題をどのように考えているのでしょうか。そして、仮に財政統合を実現させたとしても、予算や負担をめぐって、加盟国のみならず、EUレベルの各種利益団体や業界が入り乱れる熾烈な争いも起きないとも限りません。マクロン大統領のEU路線は、フランス国内においても、また、EUにとりましても、波乱含みではないかと思うのです。

(連載2)NATOと米国トランプ大統領、そしてロシアと中国本土について ← (連載1)NATOと米国トランプ大統領、そしてロシアと中国本土について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-16 10:18 [修正][削除]
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3316/3323
 そしてまた、ソ連の崩壊によりソ連の影響圏に置かれていた東欧諸国が相次いでNATO加盟を申請し、結果として、旧ワルシャワ条約機構加盟国としては、バルト三国を除く旧ソ連各国(ロシア・ベラルーシ・ウクライナ・モルドバ)を残し、その他、全ては、所謂、西欧圏に取り込まれることとなりました。そして、2000年代後半に入ると、アメリカが推進する東欧ミサイル防衛問題や、ロシアの隣国であるジョージア、ウクライナがNATO加盟を目指していることに対し、経済が復興してプーチン政権下で大国の復権を謳っていたロシアは強い反発を示すようになり、2008年8月にはグルジア紛争が勃発、NATO諸国とロシア関係は険悪化し、「新冷戦」と呼ばれるようにまでなりました。ロシアは2002年に設置されたNATO・ロシア理事会により準加盟国的存在ではありましたが、このようなことから、NATOとロシアは未だ緊張関係にあるとも見ておくべきかと思います。

 さて、こうしたNATOに対して、米国のトランプ大統領は、先般、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長と会談し、会談後の記者会見では、「NATOは、もはや時代遅れではない」と述べました。先の米国大統領選中からNATO不要論を繰り返してきたトランプ大統領の姿勢に、NATO加盟国は危機感を示していましたが、今回のトランプ大統領の姿勢の変化によって、国際金融市場には、「現状の世界秩序維持」と言う視点から、安心を与える材料の一つとなりました。具体的には、ストルテンベルグ事務総長をホワイトハウスで迎えたトランプ大統領の、「テロの脅威がNATOの同盟関係の重要性を強化した。イラクやアフガニスタンといったパートナーに今まで以上に協力して欲しい」と言う発言に繋がったと見られてもいます。

 そして、トランプ大統領は、これまでNATOについて、その存在意義を疑問視し、米国の拠出金負担が過剰で偏っているなど、不満を声高に繰り返していましたが、事務総長との共同記者会見で、その考えも変わったと表明しつつ、「事務総長と私は生産的な話し合いをもち、テロとの戦いでNATOが今まで以上に何ができるか協議した。ずっと前に私はその点について文句を言ったが、NATOは対応を変えテロと戦うようになった。NATOは時代遅れだと私は言ったが、もう時代遅れでなくなった。米国が帳尻を合わせてくれるだろうと依存するだけでなく、ほかの国々も公平に負担を分担すれば、全員がもっと安全になる」とコメントしたのであります。トランプ大統領は、こうした反面、モスクワにティラーソン国務長官を送り込み、プーチン大統領、ラブロフ露外相との会談も実現させています。この会談では、主にシリア問題について協議したようですが、まだまだ、NATOを脅威と認識するロシアを意識し、特に、ロシアのプーチン大統領が、「米ロ関係が悪化している」との認識を示していることなども受けて、NATOに対する警戒感が必要以上にロシアに出ないようにも動いているのではないかと思います。

 米国にとっては欧州との大切な架け橋であるNATOへの配慮もしつつ、ロシアを刺激し過ぎないようにも意識を払い、また、そのロシアが軍事的には中国本土に近寄り過ぎないように作戦を張り巡らし、更には、中国本土にNATOの絆を崩されないようにも警戒しながら、トランプ政権は巧みに動いていると思います。米英中露仏独と言った大国を含めた動きに、NATOと言う組織にも重ね合わせて、今後も動向を注視したいと思います。(おわり)

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投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-15 10:57  
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3315/3323
 世の中には今、通称、NATO、即ち、北大西洋条約機構というものがあります。NATOは、北大西洋条約に基づき、アメリカ合衆国を中心とした北アメリカ(=アメリカとカナダ)およびヨーロッパ諸国によって結成された軍事同盟であり、その前身は1948年に締結されたブリュッセル条約であります。第二次世界大戦が終わり、東欧を影響圏に治めた共産主義の旧ソビエト連邦との冷戦が激しさを増す中で、イギリスやフランスが主体となり、1949年4月4日締結の北大西洋条約によりNATOは正式に誕生しました。こうした背景もあって、NATOは、結成当初は、旧ソ連を中心とする共産圏(東側諸国)に対抗するための西側陣営の多国間軍事同盟の性格を強く持つものでありました。

 また、アメリカを引き込み、ロシアを締め出し、ドイツを抑え込む=反共主義の封じ込め、と言う理念を持ち、ヨーロッパ諸国を長年にわたって悩ませたドイツの問題に対するひとつの回答であったとも言われています。そして、加盟国は集団的安全保障体制構築に加えて、域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する集団的自衛権発動の義務を負っており、相互扶助を原則としています。そしてまた、当初はアメリカなどの一部で、ドイツの徹底した脱工業化・非ナチ化が構想され、また連合軍占領下ではドイツは武装解除され、小規模な国境警備隊や機雷掃海部隊以外の国軍を持つことは許されず、アメリカ・イギリス・フランス・旧ソ連の4カ国が治安に責任を持つという体制からスタートしました。

 しかし、冷戦の開始とともに西ドイツ経済の復興が求められ、主権回復後の1950年には西ドイツの再軍備検討も解禁、西ドイツは新たな「ドイツ連邦軍」の創設とNATOへの加盟の準備を始め、フランスなどはドイツ再軍備とNATO加盟に反対などを受けて、紆余曲折はありましたが、ドイツ連邦軍が1955年11月12日に創設され、西ドイツはNATOに加盟しました。

 こうした一方、旧ソ連が、旧ソ連を中心とする東側8か国によってワルシャワ条約を締結してワルシャワ条約機構を発足させたことから、ヨーロッパは2つの軍事同盟が存在することになりました。この後、1989年のマルタ会談で冷戦が事実上、終焉し、続く東欧の動乱と1991年のソ連崩壊によりNATOは大きな転機を迎え、新たな存在意義を模索する必要性に迫られることとなりました。1991年に「新戦略概念」を策定し、脅威対象として周辺地域における紛争を挙げ、域外地域における紛争予防および危機管理(非5条任務)に重点を移していき、今日に至ります。(つづく)

フランス政治における「せり上げ」   
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-14 10:25 [修正][削除]
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3314/3323
 フランスでは、急進左派からキャリアをスタートするものの、より左派の勢力が出てくる結果、どんどん中道から右派に押し出されていく現象がある(政党レベルでも、政治家レベルでも)。これを政治学者モーリス・デュヴェルジェは「せり上げ」と呼んだ。

 大統領選挙でも分かる通り、もう社会党は左派の理念を体現しているとは思われていない。また、共和党も極右国民戦線からどんどん右派の領域を侵食されている。結果として、中道の領域が大交通渋滞を起こしている。これは「せり上げ」が左からも、右からも生じているという事ではないかと見ている。そして、アメリカでトランプ、サンダース現象も同様の見方が出来ると思う。

 中道勢力がやりにくくなっている。何故、そういう事になるのか。それはグローバリゼーションが進み、世界的な競争が進む中、世界的に「ゆとり」が無くなってきている事がある。そして、人は気持ちのいいメッセージを聞きたがっている。それが実現できるかどうかはともかくとして、ともかくエッジの利いたメッセージを聞いて留飲を下げたいという思いが世界に広がっている。穏健なメッセージを100聞くより、都合のいいメッセージを1つ聞きたいという思いが、この「せり上げ」を生んでいるのではないかと思う。

 日本ではまだ有力な極右、極左勢力は出てきていない。しかし、足音は聞こえている。何故、政治的に有力にならないかと言えば、それは国民を引き付ける巧みさを兼ね備えてないからだけである。

証明されていない地球温暖化の原因   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-12 15:09 [修正][削除]
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3313/3323
 アメリカのトランプ政権が「パリ協定」から離脱したことを受けて、各国首脳、並びに、マスメディアはトランプ批判一色の様相です。トランプ大統領は非科学的であり、かつ、アメリカの国益の為に全世界を温暖化の危険に晒していると…。

 しかしながら、「パリ協定」を絶対視する人々は、温暖化ガスによる地球温暖化とは、実のところ、科学的に証明されているわけではないことを忘れております。温暖化には、太陽の活動周期、地下マグマの動向、海流や気流の変化などの様々な自然現象も絡んでおり、二酸化炭素の排出量ばかりが原因とは言えません。しかも、二酸化炭素の排出量が増加するほどに植物の酸素供給量も比例的に増えますので、必ずしも、二酸化炭素の増加量がストレートに地球を温暖化させるわけでもないのです。また、長期的には、地球は氷河期や小氷期を繰り返し経験しており、気候変動は、自然要因のほうが遥かに強く影響します。

 加えて、「パリ協定」の手法には、必ずしもフェアとは言えない側面があります。この協定では、世界最大の温暖化ガス排出国である中国を枠組みに取り込んだとはいえ、2030年まで同国には削減の義務が課されていません。また、世界第二位の経済大国でありながら途上国として扱われているため、財政負担も免除されているのです。トランプ政権による協定離脱の主たる原因は、中国に対するアンフェアな優遇にありますが、「パリ協定」は、制度設計においても“科学的”、即ち、合理的ではないのです。また、温暖化ガスよりも、PM2.5といった有害な環境汚染物質の国際的取締を強化した方が、余程、確実に地球はきれいになりますし、人々の健康にも良い影響を与えることでしょう。こうした面でも、パリ協定は中国優遇協定と言え、トランプ政権のアンフェアであるとする主張には一理があるのです。

 少なくとも、地球温暖化の原因を温暖化ガスに求める説については異論もあるのですから、オープンな科学的議論と明確な証明こそ優先すべきです。「パリ協定」は、真に科学的な見地から作成されたというよりも、政治、並びに、経済的な思惑が渦巻いています。「パリ協定」を金科玉条の如くに祭り上げ、温暖化ガスばかりに全世界の関心を集める今日のあり方には、疑問を呈せざるを得ないのです。

危険すぎるトランプのイラン外交   
投稿者:川上 高司 (東京都・男性・拓殖大学教授・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-09 14:55 [修正][削除]
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3312/3323
 イランの総選挙が行われ穏健派のロハニ氏が強硬派を押さえて再選された。これは明らかにイランがこれまでの路線を継承するというメッセージである。イランは核合意に沿っていくという意志表示である。

 問題はそのイランのメッセージをアメリカがどう受け止めるかである。ロハニ氏が再選後に「アメリカとの数十年間にわたる関係は山あり谷ありだった。アメリカはいつもイランを敵対視してきたのだ」と冷静に語った通り、イランは常にアメリカに秋波を送っていたがアメリカがそれに応じなかった。オバマ前大統領はイランの秋波を正しく受け止めたが、トランプ大統領はイランの秋波を受け付けないつもりのようだ。その一方でトランプ大統領はサウジアラビアとイスラエルには多大な秋波を送っている。サウジアラビアとは経済的な関係を拡大するつもりだ。だが、サウジアラビアへのあまりにも極端な傾斜は別の危険を生み出しかねない。サウジアラビアへの肩入れは中東地域でのスンニ派への肩入れとなり、スンニ派が勢いを持つことになる。

 アルカイダはそもそもサウジアラビアのスンニ派を源とするグローバルなテロ組織である。ISISもまた周辺のスンニ派国家の支援を受けて拡大したテロ組織である。一方のシーア派過激派はレバノンのヒズボラがあるが、ヒズボラは対イスラエルとの闘争に特化しておりリージョナルな過激派である。イラクのサドル師のグループも活動はイラク国内だけである。スンニ派が世界に及ぼす影響は圧倒的に大きいのである。アメリカがサウジアラビアに傾斜しイランを孤立化させればスンニ派とシーア派のパワーバランスが崩れていく。それは中東情勢はもちろんシリア内戦にも多大な影響を与えることになる。中東情勢が不安定になりかねないのである。

 トランプ大統領の中東政策が歴史的地域的宗教的に繊細な中東の背景を踏まえているのかは図りかねるが、現在の言動を見ていると目前の成果に囚われているようできわめて危うい。テラーソン国務長官が「イランとのチャンネルは開いている」とコメントしているのが一筋の光である。

強まる「改憲・衆院ダブル投票」の公算   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-08 08:01 [修正][削除]
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3311/3323
 長年にわたって神学論争を繰り返してきた国会の憲法審査会に、改憲問題を政局にすべきでないとする議論があるが、どうだろうか。筆者は改憲問題は政局そのものだと思う。長年の政党の主張がぶつかり合う戦後最大の政局マターだ。従って改憲の国民投票と総選挙を同日に実施して「改憲・衆院ダブル投票」を断行、国民の信を問うことは全く正しい。9条への自衛隊根拠規定の追加など自衛隊を肯定する政府・与党と、否定する共産党との対決が最大の見物だが、流れは共産党の惨敗とみる。そして国民投票の実施時期が日程的に衆院議員の任期切れと接近するのであれば来年の同日投票は一段と現実味を帯びるのだ。

 自民党の憲法改正推進本部の会合が6日開かれ、いよいよ本格的な改憲論議がスタートした。安倍の提示した「9条の平和主義の理念は未来に向けて堅持し、9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」構想の是非が課題となる。冒頭から予想通り、自民党が2012年に世に問うた9条1項、2項も改正して「国防軍」保持を明記する憲法改正草案を取り下げるのかどうかについて激突した。総裁選出馬を意識していいる元幹事長石破茂が「どうするのか」とクレームを付けたのだ。しかし副総裁高村正彦は「12年草案をどうするかを決めないと新しい議論に入れないということはない。改正案を作ってから草案と比較すればいい」とぴしゃりと反論。結局大勢は草案にこだわらず、首相案について議論を進める方向が確認された。まさに「党内政局化」が抑えられた瞬間であった。石破の主張は党内でも一定の理解はあるが、今回の改憲構想は従来の草案が開けられなかった改憲の岩盤をダイナマイトで崩そうとする政治的な意図がある。仏壇の奥からちりの付いた「歴史的文書」のような草案を持ち出しても政治的に動かせるものではない。石破はそこに気付いていないのだ。

 もう一つ異論がある。「行政府の長である安倍が改憲を提示するのはおかしい」とする議論である。毎日も社説で「憲法改正案の発議権を持つ国会の頭越しで具体的な改憲方針を明示するのは異例だ」と安倍にかみついた。さらにその憲法発言で大局観のなさを露呈している衆院憲法審査会理事の自民党幹事船田元も「行政府の長や内閣に籍を置く者は改憲に抑制的であるべきだ」と苦言を呈している。 しかし、6月1日の衆院憲法審査会参考人として出席した東大教授の宍戸常寿と慶応大教授の小山剛は国会の発議権を安倍が害していることはないとの見解を表明した。宍戸は「議院内閣制では政党党首が同時に首相を務めることが想定されている。首相であるところの与党党首が、改憲をしかるべき場で、しかるべきやり方で発言することは、一般的に憲法尊重擁護義務に反しないと考えている」と発言、小山も同調した。どうも憲法調査会は、15年に集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障法制を巡り大学教授らに「違憲」を言わせて、安倍の足を引っ張った“快感”が忘れられないとみえて、二度目の「参考人ショック」を狙ったようだ。しかし、柳の下にドジョウは2匹おらず、「逆ショック」を受けたのは審査会であった。
 
 こうして反対論は勢いを得ない状況にあるが、まだ山あり谷ありとみなければなるまい。大きな流れは筆者が5月11日にあらゆるメディアに先だって「総選挙と国民投票のダブル選挙の可能性がある」と推測した方向に向いている。朝日も7日「改憲発議現有勢力で狙う」と、与党が3分の2を維持している現体制での改憲を目指す方向を記事にしている。安倍も先月インタビューで憲法改正の是非を問う国民投票を国政選挙と同時に実施することの是非に関して「衆院選と参院選を国民投票と別途やるのが合理的かどうかということもある」と述べた。国政選挙との同時実施の可能性に言及した形だ。自身が憲法9条改正を提起した意図についても、「自衛隊論争に終止符を打つ」と強調した。

 衆院議員の任期は残り約1年6か月で、安倍は国民投票で解散権を縛られないことを意図したものともみられる。官房長官・菅義偉も国民投票の実施が解散権を制約するかどうかについて「首相の衆院解散権への制約はないと思っている」と明言している。こうして改憲の日程は衆院議員の任期切れを意識して進展する方向が強まった。筆者は過去に2度実施された衆参ダブル選挙の場合、自民党が圧勝した原因は相乗効果にあると判断している。衆院で自民党に投票した有権者は参院でも自民党に投票する傾向があるのだ。これは憲法改正とも共通する側面があるのではないか。自民党に投票する有権者は9条改憲を是とする傾向を必ず帯びると見る。従って相乗効果で自民党は負けないし、改憲は投票した国民の過半数を得られるだろう。具体的な日程としては、2020年に改正憲法を施行するとなると、早ければ2019年には憲法改正の国民投票に漕ぎ着ける必要が出てくる。急げば来年の通常国会末か遅れても秋の臨時国会で、3分の2以上の賛成で発議することとなろう。その後最短60日で国民投票となる。従って国民投票は衆院議員の任期切れが来年末だから、総選挙とのダブル選挙になる公算がある。経費節約にもなる。参院選挙は2019年夏だが、事は憲法であり、参院ではなく政権の存否が問われる衆院選挙に合わせるべきだろう。

(連載2)保護主義は絶対悪なのか?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-07 11:51 [修正][削除]
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 第2に、自由貿易は、得てして価格面では国際競争力には劣るけれども品質に優る製品を“負け組”として排除する、即ち、“悪貨が良貨を駆逐する”という負の側面があります。100年ほど前に製造された往年のドイツ製品や50年前のアメリカ製品等は、今日の製品とは比較にならないほど品質に優れています。今日、米欧企業の大半が製造拠点を中国等に移転させていますが、“安かろう、悪かろう”では資源の無駄が生じますし、技術レベルでも劣化や断絶が起きます。高品質で長命な製品を低品質で短命な製品から保護することは、必ずしも“絶対悪”とは言えないように思えます。

 加えて第3に、安価な輸入品の市場シェアが低下するに連れ、国内市場にあっても、輸入品並みの高品質低価格の製品を目指す企業間競争が始まることです。今日の技術力を以ってすれば、ロボット化や製造プロセスの改善により、途上国のみならず、先進国にあっても低価格化は不可能なことではありません。

 例えば、かつて中国はレアアースの輸出を規制し、自ら輸出をストップさせましたが、この措置は、代替品の迅速な開発により、程なく無力化されています。保護主義は、しばしば幼稚産業の保護の側面からメリットが語られてきましたが、代替製品の開発や技術革新の促進といったプラス面もあるのです。

 今日の規模追求型の自由貿易主義、否、新自由主義は、13億の市場を擁する中国の独り勝ちを招きかねませんので、無条件の礼賛は禁物なように思えます。先進国の中間層が根こそぎ破壊され、途上国の経済が外資に支配されるような“行き過ぎたグローバリズム”は見直すべきであり、よりバランスのとれた国際通商体制を構築すべきではないでしょうか。闇雲に“保護主義と闘う”態度には、疑問を感じるのです。(おわり)

(連載1)保護主義は絶対悪なのか?   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-06 16:49 [修正][削除]
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3309/3323
 今年のG7サミットはイタリアのシチリア島で開催され、保護主義を訴えて当選したトランプ米大統領の動向が注目を集めました。保護主義色の濃い内容になると思いきや、予想に反して“保護主義と闘う”とする文言が首脳宣言に盛り込まれ、驚きの声が上がっています。

 エコノミストの大半は、保護主義が蔓延れば経済成長が鈍化し、世界経済全体に悪影響を及ぼすと口を揃えて主張しています。しかしながら、保護主義とは、撲滅を目指して闘うほどの“絶対悪”なのでしょうか。以下に、幾つかの点を挙げて、反論を試みてみたいと思います。

 第1に、この見解、関税率アップによる輸入品価格上昇で消費が減少すれば、国産品に代替されるという側面を無視しているように思えます。輸入品と国産品との間の代替効果は、少なくとも保護する側の国内生産量は増加するわけですから、一般的な通説通り、必ずしもマイナス効果とは限らないはずです。自由貿易の結果として淘汰されてしまった劣位産業が息を吹き返せば、国内の雇用機会は拡大しますし、その分、国民所得も上昇します。

 一般には、輸入品価格が上昇すれば一般の消費者は不利益を蒙るとされていますが、失業者が給与所得者ともなれば、多少物価が上昇したとしても家計に余裕が生まれますので、全体的な消費量は拡大します。トータルで見れば、国内生産への切り替えに伴う消費拡大により、景気が上昇しないとも限らないのです。(つづく)

ASEANについて   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-05 14:21 [修正][削除]
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3308/3323
 東南アジア10か国から成るASEAN(東南アジア諸国連合)は、1967年の「バンコク宣言」によって設立されました。よって、今年で50年、半世紀を経た訳であります。原加盟国はタイ、インドネシア、シンガポール、フィリピン、マレーシアの5か国であり、1984年にブルネイが加盟しました。私の認識では、ASEANは、そもそもは「中国本土の軍事面も含めた南下に対抗する組織」も目指して設立された国際組織でありました。その後、ラオス、カンボジア、ベトナム、ミャンマーが加盟国として順次参加し、現在は10か国で構成され、2015年に共同体となったASEANは、過去10年間に高い経済成長を見せており、成長率の高い人口は既に6億人を超え、域内GDPも、また既に2兆5,000億米ドルを超えており、今後、世界の「開かれた成長センター」となる潜在力が高いと、世界から注目されています。

 しかし、トウ小平氏の改革開放路線が進展、特に2000年代に入り、経済力を含めた中国本土の発展とその影響力拡大が顕在化すると、ASEANは、経済的メリットを含め、その中国本土を無視出来なくなっています。但し、その温度差はあり、ラオス、カンボジアのように中国本土に事実上既に取り込まれていると見られる国もあれば、シンガポールやマレーシアのように環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協議にも参加しつつ、様子見をしながらも、中国本土との関係でのメリットを上げようとしている国もあります。

 こうした一方で、「一帯一路」構想を前面に打ち出し、ASEANも含めて、より広い諸国に対して、slow & steadyでその影響力を拡大しようとしている中国本土は、したたかであります。こうした中、(1)その出自、受けてきた教育の中に中華民族の血と共産主義的思想も意識するドゥテルテ大統領が登場したフィリピン、(2)スハルト政権の32年間で根を張った国軍の影響力を弱めつつ、アジア諸国の中では最も早く、1920年に合法的に共産党を設立したインドネシアに、共産党を復活させようと水面下で動いていると見られるジョコ大統領が登場したインドネシア、(3)ワチラロンコン新国王を戴きながら、民主化復帰を目指す中、今や中国本土に近いと見られるタクシン元首相を軸とするタクシン派の影響力が強まるタイ、などはしたたかに中国本土との関係強化のチャンスを狙っています。

 一方で、また、(4)中国本土と同じく社会主義・共産主義を標榜し、また北部には「小中華」的意識も実際にはあるベトナムでも、領土問題をはじめ、様々な課題を意識し、また、TPPにも参加しつつ、中国本土との交流メリットをしたたかに探すベトナムの動きも無視出来ないと思います。そして、総じて、「一帯一路戦略を進める中国本土との関係強化と言う基本姿勢を示すASEAN」を意識して、日本はどう動くのかを考えていくべきかと思います。即ち、国家としては、中国本土との外交関係も含めた視点から、日本企業としては、対中国本土ビジネス戦略と中国本土が進める一帯一路構想を意識しつつ、対ASEAN戦略を構築し直す時期に来ていると私は見ています。時代は大きく変わりつつあると思います。

交付税特会借入金32.4兆円   
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民進党)・40-49歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-02 11:12 [修正][削除]
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3307/3323
 5月30日、総務委員会で久しぶりに質疑に立ちました。お題は地方財政です。国の交付税特別会計には、「地方が償還すべき」借入金が32.4兆円もあります。強調しますが、国の借金ではありません。これは昔、地方交付税の財源が不足した際に、国が特別会計で借入金を行ったものの残りです。この国債による借入金は51兆円くらいまで膨れ上がり、これは耐えられないという事で、今の臨時財政対策債の制度で地方債を立ててもらう制度に変更したという経緯があります。そして、その51兆円を地方2:国1で負担することとして、地方側に34兆円程度が残りました。

 この借入金については、民主党政権時の平成23年に返済計画をしっかりと決める事としました。その計画に基づいてこれまでやってきたわけですが、今年の予算において、2017年から2024年に返済すべき1.8兆円の償還を2050年以降に先送りしています。あまり知られていませんが、これは典型的な借金の将来へのつけ回しなのです。借金返しのための財源を、真水の交付税に変えたという事です。

 平成23年度から辛いながらに返済計画を作ってやってきたのに、ここで事実上のギブアップ宣言に見えてなりません。今後、どの政権であっても、「この件は後ろ回しにしよう」という打ち出の小槌的に差配していく事が出てくるでしょう。返済自体、画餅になっていく事を懸念します。そういう先送りをした理由としては、地方の貯金がなくなった、税収が伸びなかった、そんな所です。「なんだよ、その理由は!」と言いたくなる答弁でした。

 これは何が良くないかというと、財務省的には一般会計は痛まない。総務省と地方自治体は借金を特別会計に押し込んだまま交付税の真水を増やせる、という事で、借金を将来に付け回したくなる環境になっているという事です。もっと言うと、地方はこの32.4兆円を真の意味で自分の借金だと思っていないでしょう。国の特別会計で、国債発行によって成立している以上、そういう意識は高まらないのは当然です。ここは制度改正も含めて検討すべきです。

(連載2)中国本土の覇権志向と軍事力について ← (連載1)中国本土の覇権志向と軍事力について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-06-01 11:49 [修正][削除]
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3306/3323
 ところが、今、中国本土の人民解放軍は、本来はもっともっと現在の為政者の抑圧や搾取から中華人民を解放しなくてはならないはずであるのに、国家間の覇権争いの道具とされ、私の見るところでは、間違いのない「国軍」として、「仮想敵国」と戦うことを前提とした軍隊となっているものと思います。

 こうした、人民の為の軍隊ではなく、中華人民共和国の国軍と化した、否、中国共産党の軍隊と化した人民解放軍が今後、どのような行動を取るのか引き続きフォローしていきたいと思います。尚、この人民解放軍は、朝鮮半島問題に関しては、「血の同盟関係で結ばれている北朝鮮の人民は今、金正恩氏とその取り巻き達に支配、搾取され苦しんでいる。

 その朝鮮人民を解放する為に行動を起こす」と言った論理を以って、米軍と呼応、金正恩政権に圧力をかけ、「北朝鮮の核開発とミサイル開発の即時停止、そうした意味での現状維持」を具現化する、また、万一、それでも金正恩政権が核開発とミサイル開発を中止しなければ、必要に応じて、本当に、北朝鮮に対して、瞬時に金正恩氏とその取り巻きを削除する為の軍事的圧力、或いは必要に応じて瞬間的軍事攻撃を実施する可能性もあると私は見ています。

 そして、こうした行動を取っていけば、米軍と人民解放軍の関係改善に資するといった副次的産物も期待できるかもしれないと中国本土は考えているかもしれません。一方、逆に核開発とミサイル開発を北朝鮮が終えてしまえば、人民解放軍は北朝鮮の朝鮮人民軍を従えて、新たな北東アジアの軍事覇権の構築に向かう可能性があることも私は否定しません。(おわり)

(連載1)中国本土の覇権志向と軍事力について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-05-31 10:50  
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3305/3323
 私には、「中華人民共和国は現行の世界秩序の変化を主導的に起こそうとしている」としか、どうしても見えません。例えば、国際社会に対しては、「一帯一路構想=シルクロード構想」を示しつつ、中国本土の影響力を強めようとしています。既に12兆米ドルを超えた国内総生産規模などを背景として、中国本土は「経済力にものを言わせた世界統治」に強い関心を示していると私は見ています。

 また、そうした意味で、私は、「中国本土の覇権(Hegemony)に対する強い野心」を感ぜざるを得ません。しかし、真に覇権を意識するのであれば、「軍事力」の背景の無い覇権は意味が無いことを中国本土は十分に認識しているはずであり、実際に、中国本土は、軍事的覇権の拡大に関してもかなり踏み込んだ戦略を取ってきているものと私は見ています。そして、現実的には海洋権益の拡大を意識した制海権の拡大を意識しているものと見られますが、グローバルな視点からの覇権を意識して、宇宙開発を中心とする制宙権の拡大を意識、中国本土一国・単独での宇宙開発に注力している、と見られます。

 さて、それでは、その中国本土の軍事面を司っている組織は何になりましょうか? それは、「人民解放軍」であります。中国本土は、かつて国共合作で大日本帝国の侵略に打ち勝った後、国共内戦が発生、その結果、毛沢東率いる中国共産党が勝利し、1949年に中華人民共和国が建国されましたが、その建国の立役者たる「人民解放軍」のそもそもの存立理念は、「資本家や地主から搾取される人民を解放し、貧富の格差を打破しようと言うスローガン」の中に込められていました。そして、社会主義国家・中華人民共和国建国の後は、当時、中国本土が目指してきたマルクス・レーニン主義に於ける「国家の軍隊は、人民を抑圧、搾取し、侵略、植民地支配の為の手段である。一方、人民解放軍は、人民のために革命を遂行・防衛する為の存在であり、国軍ではあり得ないのである」との考え方の下、今も、あくまでも「人民」を意識した存在であります。

 よって、国務院と人民解放軍には上下関係も隷属関係もありません。そして、人民解放軍の指揮権は、事実上「中国共産党の中央軍事委員会」が持つということになります。尚、その中央軍事委員会の基本姿勢は、孫子の兵法に見られる、「戦わずして勝つ」ということにあり、その為には、(1)国際世論を含む世論戦に勝つこと、こうしたことを前提に、「嘘も100回言えば本当になる」との国際世論戦略を展開し、仮想敵国の国際的なイメージの低下を図る、(2)脅したり、すかしたりする心理戦を展開し、仮想敵国にダメージを与える、(3)国際法を生かした法律戦を展開し、中国本土に対する支持を集める一方、国際的な範疇意識の抑制を図る、といった具体的な戦略を取った上で、その後、必要に応じて、いよいよ本当の武力行為に出るという戦略を持っているように思われます。(つづく)

(連載2)フランス革命の後遺症 ← (連載1)フランス革命の後遺症  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-05-30 10:30 [修正][削除]
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3304/3323
 好都合なことに、フランス革命の理念は、他の諸国にも熱烈な賛同者を獲得することとなり、かのゲーテさえも、当初はフランス革命を絶賛していたのです。“ここから、そしてこの日から、世界史の新しい時代が始まる”として(ヴァルミーの戦におけるフランス革命軍の勝利を祝して…)。

 フランス革命戦争は、やがてフランス帝国による征服事業へと転化され、ナポレオン体制の成立が他のヨーロッパ諸国を帝国支配の頸木に繋いだのは無視できない歴史的事実です。普遍的な価値には国境がありませんので、フランス革命の理念は、普遍的価値の下において周辺諸国の支配を許す正当化イデオロギーとして機能したのです。そして、ナポレオン時代にあっては、革命の理念は対外的な膨張主義としてヨーロッパ全土に戦禍をもたらします。

 今般、フランスが同理念を再確認し、それをさらに追求するとなりますと、革命の理念は、今度は、外ではなく、内に向かってフランスに禍の渦をもたらさないとも限りません。何故ならば、理念の普遍性には、外に向かっても内に向かっても、境界の概念が存在しないからです。つまり、同理念を徹底すれば、フランスは、自らの国境を全世界の人々に向けて開放せざるを得ないのです。

 今日のフランスが“自由、平等、博愛”を高らかに宣言することは、同理念の尊重を条件にするにせよ、EUのみならず、全世界の移民希望者に対して受け入れを表明するに等しいこととなります。マクロン大統領は、選挙期間にあっては多様性の尊重に基づく移民容認政策を公約に掲げておりましたが、果たして今後とも、自らの理想を貫くのでしょうか。フランス革命の理念は、理想と現実の間で人々を引き裂き、自己矛盾との闘いを強い、そして、周囲の人々を巻き込むという意味において、今日に至るまで、フランスとフランス国民を苦しめ続けているように思えるのです。(おわり)

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