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米歴史上初めて出生率で少数派と多数派が逆転   
投稿者:島 M. ゆうこ (非居住者アメリカ合衆国・女性・エッセイスト・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-18 07:17 [修正][削除]
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1916/1916
 本日(5月17日当地時間)発表された2011年7月の国勢調査局(U.S. Census Bureau )の数字によると、ヒスパニック系及びアジア系の出生率が白人の出生率を上回り、歴史上初めて、マイノリティ(少数派)とマジョリティ(多数派)の出生率が逆転したことを、米国のメディアは伝えた。この統計によると、白人の出生率は49.6%で、ヒスパニック、黒人、アジア系の出生率は50.4%に達し、わずかながら少数派が多数派を超過した。マイノリティの出生率が白人の出生率より高い傾向は2000年から進んでおり、今後米国の人口動態の変化が加速されることが予想されている。米国人口の全体の比率は、現在白人が約63%、ヒスパニック、黒人、アジア系の合計が約37%で、白人の人口は圧倒的に多いが、17日付けの『ワシントン・ポスト』紙によると、2045年には、白人の人口は、全米の48.5%まで減少することが予想されていて、約30年後の米国の白人は、多数派ではなくなる。これはかなり、米国のランドスケープが変わることを意味する。 

 過去30年間で、総体的にヒスパニック系の移民が増え、世帯当たりの出生率も伸びたことが主な要因である。また、一部の要因として、テキサス州では、2010年から2011年にかけて、ヒスパニック系の出生率の上昇を奨励している。ジョージア州では、同期間にヒスパニック系の出生率が約21%も増えている。このような一部の州での出生の奨励は、将来生産人口を増やすることで、年金などの社会保障受給者の人口層拡大に対処したものであるようだ。同日付けの『USA Today』によると、総体的には、18歳以下の子供の数が昨年だけでも25万人減少する一方で、85歳以上の人口層は同じ率で増えている。このような状況で、少数派の中では最も人口が多いヒスパニック系の若年層が、将来経済的に果たす役割は大きいと言われる。また、平均年齢も、ヒスパニック系が約28歳、白人が42歳、黒人が31歳、アジア系が33歳で、白人は老齢化をたどる傾向になる。

 現在、ハワイ、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサス、ニューヨーク、ワシントンDCでは、白人層が50%を切っている。つまり50%以上は、白人以外の他の人種で占められている。今後、このような州が増えることは必然であり、他民族文化が進む一方、バーモント、バージニア、ニューハンプシャーなどの州のように白人層の多い州とカリフォルニア州のようにヒスパニック系の多い州の差が益々顕著になる可能性もある。マイノリティを嫌う白人は、自分達がマイノリティになることを恐れて、最も白人の多い州に移転するからである。時代に逆行した白人至上主義者も、わずかながら今だに存在する。今後20年、30年後のアメリカは、以上のような人口動態の変化に伴い、政治、経済、社会的状況も変わってくることが予想される。

極秘会談失敗で大幅会期延長不可避の流れ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-17 06:53 [修正][削除]
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1915/1916
 不成立に終わった民主党と自民党の第2回極秘党首会談と、実現した極秘幹事長会談の結果から見えてくるものは、終盤国会における消費税政局の展望が全く開けなかったことであろう。消費増税法案の会期内成立は極めて困難となり、大幅会期延長が必至の流れだ。通常国会の会期延長は、国会法の規定に基づき1回しかできないから、短期間では法案不成立の危険がある。ここは昨年と同様に、8月までの大幅延長が不可避となりそうだ。それでも成立しない場合は、1日だけ開けて臨時国会を召集するという非常手段もあるが、まだ未知数だ。2月25日に次ぐ第2回極秘党首会談が成立しなかった過程を見ると、野田の心理状態が浮き彫りになって、面白い。野田が、自民党総裁・谷垣禎一と元代表・小沢一郎の間で揺れ動いていることが分かる。会談不成立をスクープした毎日の報道によると、野田からの再会談の打診は、消費増税法案に反対する小沢に対して政治資金規正法違反事件の無罪判決が出た4月26日頃のようだ。官房長官・藤村修が自民党副総裁・大島理森に「首相が訪米から戻る連休後半に、党首会談をお願いしたい」と5月3〜5日の日程を提示したという。

 藤村はこの記事について16日、「なぜああいうカギかっこ付きの発言にされたのか、意味が分からない。抗議している」と怒って見せた。しかし、谷垣が「自民党内で『連休中に首相と会ったらどうか』と言う人がいたが、問責決議が片付いておらず、『談合はできない』と言った記憶がある」と、事実上認めている。いくらばれたからといって、藤村は、カギかっこが付いていると言って怒るのも、大人げない。 そこで野田の心理状態だが、野田は無罪判決を受けた小沢の党員資格停止処分を解除する幹事長・輿石東の方針を黙認している。しかし、これで小沢がまた嵩(かさ)にかかって反消費税の動きを強めると思ったに違いない。そこで、野田は2月の極秘会談を思い出した。会談では野田が「話し合い解散」をほのめかした結果、谷垣も上機嫌で成功裏に終わっている。

 野田は、これを再現しようと思ったか、極秘会談の日程を提案した。しかし、両党関係は、2閣僚への問責決議可決で冷え切っており、「小沢切り」に出られない野田への不満が自民党側にうっ積していた。2月のようにことは進まないことは、最初から分かっているはずだった。とりわけ谷垣は、輿石が小沢の意向を受けて消費増税法案の継続審議を指向していること、これを野田が抑え切れていないことに、不満を募らせていた。いくら野田が柳の下の2匹目の“ドジョウ”を狙っても、無理があったのだ。一方で、この極秘会談実現失敗を知った輿石は、喜んだに違いない。今度はおれの出番だとばかりに、14日に自民党幹事長・石原伸晃と極秘に会談、打開策を見いだそうとした。しかし、谷垣と歩調を合わせる石原が、あわよくば継続審議を狙う輿石と話が合うわけがない。会談はとても展望が開けるようなものではなかったに違いない。輿石がその後頻繁に解散先送りの発言を繰り返し始めたことからもうかがえる。かくして野田と輿石の自民党との接触は、いずれも終盤国会の展望を切り開けないままに終わった。

 折から特別委員会における消費増税法案の審議も遅れがちだ。17日から質疑に入るものの、野党質問は21日からとなった。会期末の6月21日まで残りはわずか1か月間。民主党国対委員長の城島光力はかつて、「連日、委員会を運営すれば、6月4日の週あたりに審議の100時間が見えてくるので目安が付く」と述べているが、そうは問屋が卸さない状態となって来た。懸案は消費増税法案だけでなく、宙ぶらりんの2閣僚問責問題、赤字国債発行法案、定数是正、原子力規制庁設置法案など重要案件がひしめいている。その上に、参院では首相問責決議の上程もささやかれ始めている。野田は消費増税法案の実質審議が始まる前から「会期延長の話はない」としているが、ひしめく課題を解決するにはとても時間が足りない状況に立ち至っている。昨年は首相・菅直人が窮地に追い詰められて、6月22日で終わる会期を70日間延長して8月31日までとした。今年は9月には民主党も自民党も党首選挙を控えており、大幅延長と言っても8月いっぱいが限度だろう。いずれにせよ、土俵を広げての勝負にならざるを得ないものとみられる。

プーチン大統領がG8サミット欠席を決めた本当の理由は?   
投稿者:飯島 一孝 (東京都・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-14 09:02 [修正][削除]
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1914/1916
 米ホワイトハウスが5月9日、ワシントン郊外で18、19日に開催するG8サミットにプーチン露大統領が欠席すると発表、様々な憶測が飛んでいる。ロシア側は新政権の組閣を理由に上げているが、事情を探ると、もっと深い理由があることが分かってきた。ロシア各紙の記事を総合すると、プーチン大統領のG8欠席を決めた時期が「ここ数日中」という説と「大統領就任式の前から」という説との2種類ある。「数日中」という説によると、大統領が組閣にあたって自ら大臣候補のクビ実検を行なうので、18、19日のサミットには行けないというものだ。これは公式発表の通りである。

 ところが、就任式が行われる7日以前から決まっていたという説は、プーチン大統領の就任後の初外遊をどこにするかという発想からだという。米国へはここ数年、メドベージェフ首相が大統領の任期中に何度も訪問しているが、オバマ大統領は1度しかモスクワに来ていない。そのため、プーチン大統領の初外遊地としてはふさわしくないというものだ。「大国の尊厳」を重視するプーチン氏らしい発想といえる。

 一方、アメリカ・サイドからの情報によると、欠席理由には3つの説がある。1つ目は、メドベージェフ首相の方がオバマ大統領だけでなく、西側の首脳と個人的に良い関係を持っているので、首相を派遣するという説だ。2つ目は、プーチン大統領は西側のメディアに強権的とのイメージがあるので、批判を避けるため、というもの。3つ目は、プーチン政権の新たな「リセット」ではないかとの推測である。米国としては、これが一番気がかりなところだ。というのも、ミサイル防衛など、米露で協議しなければならない様々な問題を抱えているからだ。別の情報源によると、先週、モスクワを訪問した米国の外交官がプーチン氏と会談、今後の日程を打ち合わせた際、オバマ大統領は自らの大統領選の都合で、9月にウラジオストクで開催されるAPEC首脳会議に出席できない旨を伝えたという。このことがG8欠席に関係している可能性は十分ある。

 以上の情報から分かることは、プーチン大統領がいかに初外遊にこだわっているかだ。大国外交を目指すプーチン氏からすれば、国際舞台への再デビューを華々しく飾りたいという強い願望がある。とくに、APEC首脳会議は自ら招致した会議で、プーチン大統領が政治生命をかけて進めているともいえる重要な会議である。当然オバマ大統領も出席すると期待していたプーチン氏が、がっかりして「しっぺ返し」をしたのかも知れない。いずれにしろ、プーチン2・0政権は、これまで以上に一筋縄ではいかない政権になることは間違いない。

輿石発言で衆参ダブル選挙は消えた   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-14 06:48 [修正][削除]
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1913/1916
 首相・野田佳彦の政治家としての致命的欠陥はその人事にある。人事の想像を絶する稚拙さが、すべてブーメランとなって自分の身に降りかかってきている。問責可決の防衛相人事などは言うに及ばずだが、今度は幹事長・輿石東だ。元代表・小沢一郎の側近中の側近と見られていたにもかかわらず、幹事長に据えて、「やっていけるのか」と案じていたが、そのとおりになりつつある。できもしないダブル選挙発言で、野党ばかりか党内からも総反発だ。自民党は輿石をまさに“敵視”しはじめた。輿石は2010年1月に鳩山由紀夫と小沢について「この2人を見て、こんなに優しい人がなんでこんなにいじめられるのか。悔しい気持ちもある」と発言している。「すべての原点は、ここにある」と言ってよい。ばりばりの“小沢一派”なのだ。幹事長就任早々は鳴りを潜めて、慎重な振りをしていたが、いよいよ消費税政局がやっちゃ場のようにになってくると、その本性が現れ始めた。輿石の最近の言動からその正体を分析すると、小沢べったりの姿勢がすぐに浮かび上がる。政局のすべての重要ポイントにおいて「親小沢」であるのだ。

 まず「野田か、小沢か」では、小沢。「話し合い解散か、ダブル選挙か」では、小沢の好きなダブル選挙。「通常国会延長か、消費増税法案継続審議か」では、継続審議。「国家優先か、民主党内事情優先か」では、民主党内事情。といった具合で、すべては小沢の利益につながる判断を下し始めたのだ。小沢の党員資格回復などは、輿石に取ってみれば、思案以前の既定路線であったのだろう。こうした中で、「私に解散権はないが、来年7月には参院選がある。ダブルでいいじゃないか」との発言が飛び出したのだ。政局の流れを見ていれば、なぜ発言したかが容易に分かる。輿石は野田と小沢の会談実現で動いており、小沢を説得するためには、小沢が恐怖感を抱く早期解散を否定しておく必要があるのだ。小沢を安心させて、野田との会談を実現しようというわけだ。小沢に配慮と言うよりも、小沢の代弁をして見せたのだ。だが、この発言は小沢だけを見ていて、政治の流れを見ていない。「小沢を取って、野党を捨てた」ことになる。輿石に「政治家」としての“ありよう”を求めるのはもともと無理で、本質は「政治屋」なのだ。米国で上院議員とアーカンソー州知事を務めたジェイムズ・ポール・クラークは「政治屋(politician)は次の選挙のことを考える。政治家(statesman)は次の世代のことを考える」と言う有名な言葉を残したが、まさにぴったり当てはまる。

 まず党内から反発が生じた。政調会長・前原誠司は「解散・総選挙というのは総理が決めることなので、ほかの者が総選挙の時期を口にするということは、遠慮した方がいいのではないか」と正面切って反発した。一方、自民党の元官房長官・町村信孝は「輿石氏は、党内融和だけを考えて、自民党との関係はどうでもいいと思っている。傲岸不遜(ごうがんふそん)で不適切な発言で、消費税に協力してほしいと言われても、だれが信用するか」と切って捨てた。今後、自民党は「輿石相手にせず」を基調として国会に臨むだろう。早期解散戦略も一層激しさを増す。政調会長・茂木敏充も、「自民党に『協力してほしい』と言う一方で、『協力はいらない』と言っているようなもので、握手を求めながら、左フックをくらわす状態だ」と発言した。あらゆる手段を使って今国会の解散実現を目指すに違いない。輿石はやぶをつついて蛇を出してしまったのだ。この政治情勢下において、ダブル選挙はあり得ない。マスコミも暫くすると政界の体たらくにあきれて「消費税を成立させて、国民に信を問え」と言い始める。「小沢切り」を要求している自民党にとって、輿石が「小沢の傀儡(かいらい)」(自民党幹部)であることがが明白になった以上、強硬策に出ざるを得まい。

 消費増税法案の成立に政治生命をかけて臨む野田にとって、政権の柱とも頼むべき幹事長が野党の信頼を失ってしまったのは大きい。野田にとっては「小沢切り」の前に、輿石を押さえ込めるかどうかが当面最大のカギとなってしまったのだ。元官房長官・野中広務がテレビで「日教組のドンだかなんだか知らないが、古い形の政治家は排除すべきだ」と「輿石切り」の勧めを説いていたが、野田最大のミス人事がたたりにたたっている。自民党総裁・谷垣禎一が「野田総理大臣のとるべき道は、党の分裂を避けるために小沢元代表の軍門に下って先延ばしするか、野党に協力を求めて、成就させるか、の2つに1つだ。野田総理大臣は腹構えを示すべきだ」と決断を迫っている。その通りの事態となった。

オバマ大統領とミット・ロムニー氏の政策比較   
投稿者:島 M. ゆうこ (非居住者アメリカ合衆国・女性・エッセイスト・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-13 02:11 [修正][削除]
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1912/1916
 オバマ大統領が公式に選挙運動の開始を宣言して約2週間が経過した今日、大統領選挙に向けて、共和党大統領候補に確定したミット・ロムニー氏との激しい攻防戦が本格化している。5月10日、『AP通信』は、経済、医療、教育、社会問題、資源と環境、テロリズム、戦争に関する両者の政策の共通点や相違点を明確にした。まず、経済政策面では、昨年から議論が続いている米国の負債は既に負債限度に達しているが、債務不履行を防ぐためその限度額を更に増大するか否かについては、オバマ大統領は肯定的であり、ロムニー氏は明白にしていないが、安定した予算を望んでいる。税金に関しては、大統領はブッシュ時代の永久減税を廃止し、年間収入250,000ドル以上の世帯を対象にした課税を提案している。また、ブッシュ時代のウオール・ストリートの金融業界や自動車産業の救済を肯定している。ロムニー氏は、減税、規制緩和を支持し、金融機関の規制と消費者保護を定めたドット・フランク法案(Dodd-Frank Bill)に反対している。2008年の「金融機関の救済は必要な手段だった」としているが、自動車産業の救済には反対した。次ぎに社会保障については、大統領は2011年の予算交渉で、インフレーションに対応する新たなシステムを提案しているが、民営化は要求していない。ロムニー氏は、現在55歳以上の国民には現状を保持し、次世代は、退職年齢を引き上げることで、社会保障受給資格年齢をあげることを提案している。医療保険に関しては、オバマ氏はユニバーサル・ヘルスケアの制定に一貫した姿勢を貫いている。ロムニー氏は、自州で制定したユニバーサル・ヘルスケアとオバマ氏の医療保険法は同類であるが、連邦政府には不適切として廃止を主張している。

 教育に関しては、オバマ氏は、ブッシュ時代の「一人も遅れた子供を出さない法案」(No Child Left Behind Law) は厳しい規定が伴うため、その規定の緩和を支持している。また、学生のいる低収入の家庭に教育税控除を提案し、学費を急激に上げる大学には連邦政府の援助を削減することに議会の同意を求めている。ロムニー氏は基本的にNCLBLを支持し、連邦政府の教育への干渉を否定。次ぎに移民法に関しては、オバマ氏は、移民法の改正には成功していない。不法移民に市民権、教育、軍入隊の機会を与える政策は現在でも支持している。しかし、オバマ政権下で、年間40万人の不法移民が過去3年間で強制送還されている。ロムニー氏は、不法移民には厳しく、メキシコと米国の国境にフェンス強化を要求し、オバマ氏の上記の移民政策には反対である。むしろ、移民の合法性を明白化し、不法移民の罰則を奨励している。妊娠中絶と避妊に関しては、オバマ氏は支持し、医療改革法案は働く女性に無料で避妊薬〔錠剤〕を与えることになっている。ロムニー氏は、以前、このような女性の問題に関して肯定的であったが、現在、「ロー対ウェイド決定は、最高裁で改正されるべき」だと主張している。また同性間の結婚に関しては、大統領は9日、歴史上初めて支持を公的に表明した。一方、ロムニー氏は、同姓間の結婚は非合法と考えており、結婚は1組の男女間を定義することを支持している。

 エネルギーと環境問題に関し、大統領は、総体的には更なる石油とガスの掘削を支持し、環境団体が反対する北極海の掘削も認めている。また、クリーン・エネルギーには経費をかけ、原発もその源泉として支持している。ロムニー氏も、大西洋、太平洋、西部陸地、更に、北極野生生物国家保護区、アラスカ沖合いでの掘削を支持している。また、石炭、天然ガス、原発エネルギーの開発、安全な地域での掘削加速を奨励している。気候変動の原因はまだ未知であるとし、二酸化炭素を公害のリストから外すことを主張している。国内排出権取引は、エネルギーの値段を急増させると主張。テロリズムに関して、大統領は、ブッシユ時代の厳しい尋問テクニックの継続的使用を拒否する一方で、拘留者を軍事裁判にかけることや、パキスタンやイエメンで無人爆撃飛行機の使用を拡大し、ブッシュ時代のテロ政策を強化している。ロムニー氏は、論争的となった水責を拷問とは考えず、テロリズムの容疑者には憲法の権利はないと思っているようだ。戦争に関しては、アフガンからの撤退を2014年度末までに終わらせるオバマ氏の方針に変更はない。ロムニー氏は、2016年にペンタゴンの予算をほぼ1000億ドル上げることで、軍隊の強化、兵力や軍艦数の増大を提唱している。

 結論として、オバマ大統領は中産階級および大衆を意識した経済政策を目指し、ロムニー氏はオバマ大統領も指摘したとおり、「ウォール・ストリート寄りの候補者」であり、大金持ちを優遇する経済政策を目指している。前者は学生、女性、マイノリティに支持率が高く、後者は逆にこれらのグループに人気がない点が顕著である。ロムニー氏がオバマ氏に大差をつけるためには、女性の労働人口が歴史上最大率に達している今日、女性の支持者を増やす必要がある。その為には、2009年にオバマ大統領が署名した「公平給与法案」に同意することが必然となる。しかし、多くの共和党議員がこの法案に反対し、ウィスコン州の知事スコット・ウォーカは既に廃止している。また、歴史的に長い論議が続いている避妊禁止に関しては、マサチューセッツ知事時代は、選択の自由を支持していたが、最近では、宗教団体の抵抗を懸念し、その立場を変えている。更に、大統領の同姓間結婚の支持表明には、熱心な黒人キリスト教信者の支持を失う可能性も指摘されている。最近、多数の大手メディア、調査専門組織、およびシンクタンク・グループが調査した両氏の支持率に関する世論調査結果を筆者のブログ(https://shimamyuko.wordpress.com)に掲載し、更新しているが、最新の平均支持率は、オバマ氏が46%前後、ロムニー氏が45%前後で、きわどい勝負を示唆している。このような一因として、両氏どちらが米国の経済回復に望ましい仕事をするか国民の判断が二分していることを示唆している。 

(連載)自民党による亡国政治の歴史(2) ← (連載)自民党による亡国政治の歴史(1)  ツリー表示
投稿者:酒井 信彦 (東京都・男性・日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-11 00:01 [修正][削除]
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1911/1916
 ただし、私が石川氏の文章で最も注目するのは、以上の記述に続く次の部分である。「その後、福田内閣から大平正芳内閣に代わり、領土保全策に変化の兆しが見られた。昭和54年5月、森山欽司運輸相は尖閣諸島の実効支配を確立するため、最大の島、魚釣島に仮へリポートを建設する計画を明らかにした。仮へリポートは同月下旬に完成し、尖閣諸島の地質、動植物や周辺の海中生物などを調べる学術調査団31人がヘリコプターや巡視船で魚釣島に派遣された。しかし、これに中国が抗議し、政府内が動揺した。園田外相は衆議院外務委員会で『日本の国益を考えるなら、そのままの状態にしておいた方がいい』と、仮へリポート建設や学術調査に反対の意向を示し、閣内不一致が露呈した。大平内閣は調査を予定より早く切り上げさせた。その後、尖閣諸島に本格的なヘリポートや漁港、灯台などを建設する構想が一部で浮上したが、いずれも中国への配慮から先送りされた」。

 すなわち、日中平和友好条約の翌年には、ヘリポートを建設して実効支配に取り組みながら、中国の抗議にだらしなく撤退したのである。これを主導したのが、日中平和友好条約の積極的推進者であった園田外相である。このような人物こそ、中国の手先、民族の裏切り者と言うべき存在である。その後、1992年に、中国は領海法を制定して、尖閣は自国領だと主張するようになる。しかし、自民党はその後も一貫して、尖閣諸島の実効支配から逃げ続けたのである。この間に中国は経済的に急成長をし、その成果を軍備の増強に投入して、今や世界第2位の経済大国・軍事大国に成りおおせた。

 石川瑞穂記者は、この文章を「民主党も自民党も、尖閣諸島の領土保全策を怠ってきた過去を謙虚に反省すべきである」と結んでいる。しかし自民党と民主党では、責任の重さと言う点では、全く比べ物にならない。2009年に民主党が政権に就いてから、3年も経っていない。それまでの殆どの期間、村山内閣も含めて、政権を握っていたのは自民党である。1978年の日中平和友好条約から、政権交代まで30年以上もあるのだ。

 尖閣問題は、自民党による無能外交の典型的な例であるが、それはもちろん外交に止まらない。今日の日本の顕著な没落は、自民党による長年にわたる無能政治・亡国政治の必然的な結果である。したがって、現在の日本に何よりも必要なのは、自民党による亡国政治の歴史を、徹底して検証することである。それができなければ、日本の再生など望むべくもない。(おわり)

(連載)自民党による亡国政治の歴史(1)  ツリー表示
投稿者:酒井 信彦 (東京都・男性・日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-10 11:52  
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1910/1916
 石原慎太郎東京都知事が、4月16日(日本時間17日)アメリカのワシントンで、東京都による尖閣諸島の購入を言明してから、また尖閣問題が大いに注目されている。尖閣諸島を巡る日本と中国との紛争の経緯は、4月28日に産経新聞に掲載された、同紙の論説委員・石川瑞穂氏による「領土保全を怠ってきた政府」と題する記事に、要領よくまとめられていて、尖閣問題を理解するためには非常に参考になる。

 尖閣諸島は沖縄県に属し、今から40年前、昭和47年(1972年)の沖縄返還で、我が国の領土に復帰した。なおこの年は日本と中国の国交が成立した年でもある。その少し前、1968年に、周辺で石油の埋蔵の可能性が発見され、中国と台湾がにわかに領有権を主張し始めた。石川氏による経緯の説明では、この発端部分は省略して、昭和53年(1978年)からの部分について、以下のように述べられている。

 「日中平和友好条約の調印を4カ月後に控えた昭和53年4月、尖閣諸島沖に100隻を超える中国の漁船が現れた。多くの漁船が機銃で武装し、日本の海上保安庁の巡視船の退去命令を無視して、領海侵犯を繰り返した。当時の福田赳夫内閣が中国に抗議し、中国漁船は引き揚げたが、中国側は『事件は偶発的』と言い逃れた。国内では、自民党の一部から『調印を急ぐべきでない』との慎重論も出されたが、福田内閣は予定通り、その年の8月、日中平和友好条約に調印した。尖閣諸島については、調印前、園田外相と当時の中国の最高実力者、鄧小平副首相が会談し、鄧氏は『再び先般のような事件を起こすことはない』と約束した。日本はこれを信頼し、日本の領有権は条約で明確にされなかった。2カ月後の10月に来日した鄧氏は尖閣諸島の領有権問題について『10年棚上げしても構わない。次の世代の人間は、皆が受け入れられる方法を見つけられるだろう』と述べた。福田内閣はこの『棚上げ』発言にも異を唱えなかった。当時は中国の軍事力も経済力も今ほどではなかった。日本の領有権を中国に認めさせる機会を逸したといえる」。

 つまり尖閣問題は、日中平和友好条約の調印と、密接に関連しているのである。この条約は、日本の外交史の中でも、最も愚かな条約と言うべきもので、当時の総理大臣・福田赳夫は本来慎重派だったが、強引に推進した外務大臣・園田直に押し切られた形となった。すなわち中国側は、漁船の襲来で脅しをかけておいてから、今後このようなことは起きないと口約束をして調印に持ち込んだわけであり、中国人の騙しのテクニックが、ものの見事に発揮されたのである。自民党による外交の、不様な敗北であった。(つづく)

「輿石主導」では消費増税までが危うい   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-09 06:53 [修正][削除]
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1909/1916
 消費増税法案の審議が始まり、いよいよ野田政権にとって「ガチンコ勝負」(自民党総裁・谷垣禎一)の段階に入った。図式は、首相・野田佳彦と元代表・小沢一郎の対決の構図に、自民党総裁・谷垣禎一の「話し合い解散」路線が絡む三つどもえだ。その展望は、政治家の表向きの発言だけをとらえて判断すると間違う。野田の「政治生命をかけると言った言葉に掛値はない」発言が本物か。本当にその指導権を発揮できるのか。小沢の消費増税法案反対に“揺らぎ”はないのか。大転換して賛成に回る可能性はないのか。これらを見極めなければ展望は見えない。後半国会は「何でもあり」と見なければなるまい。時間が足りず、大幅会期延長は不可避だろう。野田は駅前演説で訓練しただけあって、演説が“お上手”だ。「掛け値はない」発言も意気込みを表現するには十分だ。だが、最近ではこれが“巧言令色”に見えてくるから不思議だ。その原因はと言えば、自らのリーダーシップが発揮できていない事が挙げられる。まず、小沢の“執事”役の幹事長・輿石東に完全に党運営の主導権を奪われていることだ。島倉千代子の歌ではないが「想わぬひとの言うまま気まま」なのだ。まだ控訴が確定しないうちから、小沢の党員資格回復を容認してしまった。原発再稼働も方針決定までは威勢がよかったが、その後は揺らいで、原発ゼロが継続している。これで本当に消費増税を達成できるのか、という気分にさせてくれる今日この頃なのだ。

 輿石はそういう野田を間近に観察して、逐一小沢にご注進に及ぶ。小沢は野田の心理など手に取るように分かるのだろう。輿石は野田の「政治生命」発言についても、「実感がわかない」と漏らし、せせら笑っているかのようである。野田はこの辺で巻き返しをしないと、完全に輿石ペースにはまり、消費増税法案は廃案か継続審議へと追いやられることが分かっていない。問題は、トライアングルの一角谷垣の方にもある。谷垣は「土俵に上がる前に、『最後は俺はうっちゃりをかけるから』などという談合はしない。国会でがっぷり四つに組み、最後に上手投げか、すくい投げか、うっちゃりが出てくるか、ガチンコ勝負をしなければならない」と述べている。この土俵に上がる前は「談合はしない」ということは、上がった後ではする事を意味する。谷垣にとっては「話し合い解散」が垂涎の的なのだ。谷垣は「谷垣降ろし」を回避するためにも、今国会で解散に持ち込むしか手はないのだ。最後は野田と手を組むしかないと見る。谷垣にとっても、野田にとっても、小沢の攻勢を回避するためにも第2次極秘会談が不可欠であろう。極秘でなくても、公式の会談でもいい。腹を割って話さなければ、確信を持った対応は出来ない。

 こうした中で民主党内では、小沢が嵩(かさ)にかかって攻勢に出るという見方が強い反面、意外なことに「小沢が復権して余裕が出てくれば、消費税反対一本やりを変えるかも知れない」という見方も生じている。小沢にとってみれば、大量の「落選必至チルドレン」を抱えており、どうしても解散・総選挙を遅らせて自らの“延命”策を見出さなければならない。そのためには9月の代表選で自分が立候補するか、ダミーを立てるかは別にして、野田に代わりうるという姿勢を常時表明し続けなければならないのだ。反面、野田を怒らせて解散権を発動させてしまっては、元も子もなくなる。解散・総選挙を代表選以降に持ち込みたいのだ。消費増税法案などは、小沢にとって政局のための“道具”にすぎないのだ。

 では、小沢が賛成に回った場合はどうなるか。まず野田の「話し合い解散」を封じることが出来る。民主党の分裂を回避して、体制内闘争に持ち込める。要するに、谷垣を出し抜けることになるのだ。小沢は「超高齢化社会の中で消費税の議論を否定するわけではない」とも述べており、「棒を飲んだような絶対反対一本やり」と見ると間違う。もっとも、この構想の最大の欠陥は、衆院を通過させても、ねじれの参院があって、成立させられないことだ。「そこに輿石の出番がまたある」と民主党筋は述べる。衆院を通して、参院段階での消費増税法案継続審議に持ち込めばよいというのだ。そして代表選を経た上での秋の臨時国会へと先送りしようというのだ。しかし、この参院での継続審議構想などに、野田が乗ったら、足元をすくわれる可能性が高い。だから野田周辺は「廃案でも解散。継続でも解散」と漏らしているのだ。いずれにしても、終盤国会は様々な動きが生じて、百鬼夜行の状態となる。そのような状態が生じるのは、野田が政局の主導権を確保出来ていないところにある。野田はここで言葉だけでなく、輿石を切るくらいの迫力で褌(ふんどし)を締め直してかからなければなるまい。さもないと、消費増税法案成立で後世に名を残すどころか、前元2代にわたる暗愚宰相と同列に置かれることになる。
 

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投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-08 00:02 [修正][削除]
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1908/1916
 シリア政府のこの姿勢は、対外的には中露のバックアップによって可能になっています。なかでも、シリアと伝統的に近い関係にあるロシアにとって、「アラブの春」の余波でアサド政権が崩壊するようなことになれば、中東での足場を失うだけでなく、民主化の波が自分たちの裏庭であるカフカス地域にまで波及するという危惧があります。国内にムスリムや反体制派を多く抱え、「人権尊重」や「民主化」を大義とした西側諸国の介入(その恣意性はここでは置きますが)に危機感を持つという点で、中国も同様です。これに加えて、シリアが核開発を進めるイランと良好な関係にあることも、西側諸国をして強硬な介入を逡巡させる要素となっています。

 その一方で、武力活動の停止やUNSMISの受け入れを表明しながらも、これらを実質的に守らないことは、シリア政府が国際的な自らの立場を考え、「面従腹背」が可能という一貫した考え方に沿って行われているとは限らず、むしろアサド政権の内部崩壊を示すものともいえます。もともと、2000年に34歳で父・ハーフェズの死去によってシリア大統領を継いだアサドは、父親と異なり、軍や治安機関に絶対的な支配力を持ってはいませんでした。

 政治犯の釈放やインターネット解禁など就任直後のアサドが推し進めた「ダマスカスの春」は、軍や治安機関のサボタージュにより頓挫しました。シリア政府の国連に対する態度と同様に、軍や治安機関もまたアサドに対して「面従腹背」の姿勢を貫いてきたのです。インフォーマルな人的ネットワークの上位に君臨し、既存の縁故主義によって私財を蓄えてきた軍の上層部にとっては、アサド大統領は神輿として必要であってもそれ以上の価値はなく、一方で民主化は自らの立場を失わせるもので、認められるものではありません。国際的に約束しながらも停戦が実現しない状況は、アサド政権内部の「面従腹背」がピークに達していることを示すものであり、ここからシリア政府の末期症状がうかがわれます。

 大統領の意思に関わらず、軍や治安部隊が武力活動の自粛に消極的であるとするならば、UNSMISによる停戦監視は、いきおい制約を受けます。仮にUNSMISの監視活動が一定の成果をあげたとしても、もはや停戦の遵守すらできないのであれば、その後の治安回復などは望めません。その意味で、昨年までのシリアに戻ることは想像できない状況にきているのであり、早晩UNSMISはその役割の大幅な変更を余儀なくされるとみられます。しかし、中露は国連安保理での交渉において、武力行使を含む介入に強硬に反対しており、UNSMISの機能強化を国連の枠組みで実施することは、かなり困難です。かといって、中露やイランとの関係に鑑みれば、1999年のコソボのように、あるいは昨年のリビアのように、西側諸国がNATOの枠組みで介入することも考えにくいといえるでしょう。いわば、進むことも戻ることもできない状況にUNSMIS要員は置かれているわけで、形式的な監視以上の役割を求めるのは非常に困難と言わざるを得ないのです。(おわり)

(連載)国連シリア監視団の前途にある暗雲(1)  ツリー表示
投稿者:六辻 彰二 (神奈川県・男性・横浜市立大学講師・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-07 20:28  
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1907/1916
 4月30日、政府・軍による市民の弾圧が続くシリアに、国連平和維持部隊の監視要員第一陣が到着しました。その任務は停戦監視と治安維持にありますが、その前途は多難です。本来、平和維持部隊は内戦や国家間の武力衝突が一段落し、当事者間で停戦(終戦とは限らない)合意が成立した後、その合意の遵守を双方に求めるため、第三者の立場で紛争地帯に入るものです。1948年から始まった国連の平和維持活動には、5つの原則があります。(1)受入れ国の同意、(2)派遣国の同意、(3)戦闘行為の自制、(4)内政不干渉、(5)中立不偏、の5つです。これらは要するに、停戦・終戦はあくまでその当事者同士の合意に任せ、国連部隊は戦闘停止が守られ、市民に犠牲が出ないように監視することが主任務で、しかも国連に部隊を出す国、これらを受け入れる当事国、双方の同意に基づくというものです。つまり、平和維持部隊は紛争の終結を積極的に斡旋したり、まして力ずくで紛争の解決を図るものではありません。これは各国の主権を最大限に尊重する、という基本理念に基づきます。そこに限界があることは言うまでもありませんが、かといって紛争終結への積極的なアプローチをとればいいというものでもありません。

 冷戦終結の直後、国連はより積極的な介入を企図し、それを実際にソマリア内戦で実行しました。1993年、B.B.ガーリ事務総長(当時)の発案に基づき、アメリカ軍を中心とする国連部隊が、内戦の最中にあったソマリアに軍事介入し、武装勢力を力ずくで引き分けることを試みたのです。「希望回復作戦」と名付けられたこの強制的な軍事介入は、しかしソマリアの武装勢力の全てから受け入れ表明があったものではありませんでした。そのため、アメリカ軍主体の国連部隊は敵対的な勢力からの攻撃を受け、これに反撃し、結果的に内戦の当事者となって、ソマリア人からの憎悪の対象となってしまったのです。部隊兵士から多数の犠牲者が出るにともない、アメリカと国連は態度を一変させ、2年を待たずにソマリアから撤退しました。その経緯は、映画「ブラックホーク・ダウン」にも描かれている通りです。

 泥沼の内戦状態に陥った国で、丸腰の市民が日常的に虐殺される状態は、放置してよいものではありません。しかし、当事者の同意を得ずに強制的に介入する難しさを、国連とアメリカはソマリアで学んだのです。それから20年近く経った今日、シリアへの国連部隊の派遣は、国連や西側諸国にとって、ソマリアとはまた違った意味で困難な取り組みになるとみられます。コフィ・アナン前国連事務総長の仲介もあり、シリアのアサド政権は停戦と国連部隊の受け入れに同意しました。この点で、国連は従来の手順をクリアすることができました。しかし、問題はアサド政権が停戦を宣言しているにもかかわらず、シリア軍による反体制派と市民への武力弾圧が、ほぼ全く止んでいないことです。つまり、国連シリア監視団(UNSMIS)は、停戦合意が全く守られていない状況下で、武力行使もできず、仲介もできないなかで、停戦合意を遵守させるという、限りなく困難なミッションを課されているのです。

 UNSMISの派遣は、派遣そのものにシリア軍による武力弾圧を抑制する効果があるという意見もあります。つまり、国際社会からの更なる非難を避けるため、たとえUNSMISがほぼ丸腰に近いものであったとしても、その目の前で武力行使をすることは控えるだろう、という観測です。しかし、そうであればと願いますが、現実にはUNSMISの監視をかいくぐって、シリア軍による攻撃は続いているようです。UNSMISは300名規模で編成され、もともとそれでシリア全土をカバーするのが困難なうえに、全ての人員がまだ揃ってはいません。「国連加盟国の主権尊重」の原則のもと、平和維持部隊の規模や編成についても、受入れ国の同意が必要です。アメリカをはじめとする西側先進国とシリア政府の外交交渉の結果、人員が制限され、さらに航空機の使用などにも制限があるなかで、UNSMISの派遣はアサド政権にとって「国連の要請を受け入れた」という内外向けのアピールを可能にした一方、実質的な監視を困難なものにしたといえるでしょう。(つづく)

メーデーのOWS運動を思う   
投稿者:島 M. ゆうこ (非居住者アメリカ合衆国・女性・エッセイスト・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-05-03 08:30 [修正][削除]
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1906/1916
 昨日5月1日〔当地時間)は国際労働者の日とあって、イギリス、オーストラリア、ギリシャ、トルコ、アメリカを含む世界の125都市でプロテストが行われた。米国では、「ウオール・ストリートを占拠する(OWS)」運動の活動家達が、この日だけは学校も、職場も、全てを放棄し、プロテストに参加するよう、テキスト・メッセージを市民に送信するなど、事前に準備を行ったようだ。基本的には、平和的にメーデーを祝うことが目的だと思われる。規模は各地によって異なるが、総体的に、このプロテストの動機は(1)メーデーの行事として一般ストライキに参加する、(2)OWS運動が学生と労働者の合同を呼びかけたプロテストを目的とする(3)民主主義を取り戻す運動(RDM)への参加などに分類できる。 

 上記(2)のOWS運動は、昨年9月17日にニューヨークの金融街で、「アラブの春」に触発された学生達が開始したことは既に知られている。彼等の明白な目的は、2010年1月、最高裁が「企業も人である」として、無限の選挙資金の提供を合法化したことに対する抗議、「公平な税制改革」の要求、「不正な住宅ローン慣行」を原因とした相次ぐ抵当流れに対する抗議である。(3)のRDMの活動の核心部は、OWSと同様、憲法改正の要求、大企業が政治に影響を与えている現状の変革、総負債額が1兆ドルと言われている学生ローンの救済などのスローガンを掲げているものと思われる。最近の抗議活動も、そのプラカードには「銀行救済より国民の救済を」とのメッセージも目立ち、公平で正常な経済回復が最も重要な課題とされている。

 ニューヨークではOWS運動の発祥地となったズコッティ公園からウォール・ストリートの金融街までの行進が盛大であった。また、ニューヨークの労働組合組織のグループは、ユニオン・スクウェアからウォール・ストリートまでの区間で、学生、移民、労働者などのグループも参加して、大規模のデモが行われたため、交通の混乱を懸念した機動隊が出動した。ワシントンDCの区域では、メリディアン・ヒル・パークからホワイト・ハウスまで参加者が行進。当日の『ワシントン・ポスト』紙によると、オキュパイ(占拠)運動の活動家達は、5月18日―19日にかけてキャンプ・デイビスで開催されるG8首脳会談、及び5月20日-21日にシカゴで開催予定のNATO首脳会議の際もプロテストを計画している。

 全国に拡大したOWS運動の現在の経済的背景と、全米労働者人口の20%が失業した1890年代の経済恐慌の時代を比較した場合、いずれも経済格差に不満を訴えた点で似ている。当時の不景気は1930年代に匹敵するような悲惨な状況で、企業、鉄道産業が次々に倒産し、農民一揆や労働者のストライキが各地で発生した。1880年以降は、産業経済が発達し、市場拡大と農民の土地所有が可能になったものの、農産物の価格が低下したことで、特に土地のテナント農民に大きな打撃を与えた。このような農民を中心に、労働者、中産階級が一体となって、貧富の格差を抗議するため、ワシントンに行進を開始したのは1894年である。現在のOWSの不満は、このような過去の状況と比較して、本質的に異なるものがある。市場の流れを簡単に変えることは不可能であっても、彼らが具体的に要求している金融規制と、富豪層が有利になっている部分の税制改革、無限の政治献金の改正は、決して不可能ではないはずだ。

野田は「解散主導権」発揮で「小沢切り」に出る   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-27 06:35 [修正][削除]
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1905/1916
 「無罪」の主文が判決文の後に読み上げられたら、誰もが「有罪」と受け取れる判決だろう。東京地裁裁判長・大善文男は近来まれに見る論理性欠如の“迷判決”を下した。判決文は読めば読むほど疑惑の闇の深まりを見せる。とても元代表・小沢一郎とその取り巻きが欣喜雀躍(きんきじゃくやく)出来る内容ではない。むしろ解散・総選挙があれば、“疑惑を死守”する小沢グループが消滅する流れが増した。元代表・小沢一郎は嵩(かさ)にかかって消費増税法案反対の動きを見せるだろうが、これに首相・野田佳彦が解散・総選挙で切り返す構図が現実味を帯びてきた。解散に連動した「小沢切り」は時間の問題だし、野田と自民党総裁・谷垣禎一の「話し合い解散」の流れはまた台頭し始めるだろう。判決を見ると、ちょっと地裁の判事には荷が重かったのではないかと思いたくなる。大善でなく、大悪判決だ。判決は、まず資金管理団体の収支報告書にうその記載があることを認定、小沢は元秘書の4億円をめぐる“操作”について「秘書が無断で行うはずがない」として、「報告を受けて了承していた」と指摘した。

 検察審査会の起訴も有効と認めた。「事件の後も収支報告書を見たこともない」という小沢の証言も「およそ信用出来ない」と断定した。注目すべきは、小沢側の従来の主張の大半が否定されている点だ。それでは「有罪」かと誰もが思うだろうが、「無罪」となった。なぜかといえば、小沢が元秘書らの行為が犯罪に当たると認識していたという一点で、指定弁護士の証明が不十分であったためだという。証拠が不十分であるとして、従来の「共謀」を不成立としたのだ。判決は「収支報告の記載について違法だとの認識が無ければ、刑事責任を問えない」としたのだ。しかし、小沢が「認識」せずに「報告を了承」するだろうか。弁護士の間では「これでは普通の刑事事件では無罪が続出する」という見方が支配的だ。「認識しない」といえば、皆「無罪」になるのか。明らかに論理矛盾があり、腑に落ちないというか、合点がいかない判決だ。腸捻転(ねんてん)のような判決だ。指定弁護士は当然控訴する手がかりをつかんだはずだ。最高裁まで争わなければ、国民は納得しないであろうし、正義が行われなければなるまい。

 しかし、小泉進次郞がいみじくも指摘したように「判決の結果、政界の霧はさらに深くなった」ことだけは確かだ。判決文を冷静に読めば、疑惑の存在はいよいよ明白であり、小沢一派が喜び勇むことはかえって出来なくなったともいえる。もともと裁判以前から、秘書の有罪判決で小沢が証人喚問を要求されていたのだから、その構図には変化のきざしもない。政治的道義的責任の追及は当然なされるべきであり、小沢の足かせが取れたと思うのは大間違いだ。今後小沢は消費増税法案反対を旗印に、同法案の否決か継続審議に持ち込もうとするだろう。「亡国の首相狙い」となる民主党代表選に出馬するかも知れない。幹事長・輿石東は、野田を裏切って、小沢に付く姿勢がいよいよ鮮明になった。連休明けに党員資格停止処分の撤回で正面切って野田と対決しかねない様相だ。小沢戦略にとって落としどころは継続審議という形の増税法案棚上げだが、場合によっては、同法案に反対投票するところまでいく可能性がある。野党が反対した場合には、56人の造反で否決できるからだ。しかし、小沢にとっての最大の“弱み”は、裁判に勝ったからといって、選挙に勝つ見込みはないことだ。「風」に乗って当選してきた小沢チルドレンは8、9割が落選する運命にある。いずれにせよ小沢が権勢を振るえるのは総選挙まで、と相場が決まっているのだ。

 野田にとっては、小沢の弱みが逆に強みになる。その最大の武器が解散・総選挙だ。野田が解散・総選挙に踏み切るケースは「政治生命をかける」と発言してきた消費増税法案の不成立だ。否決でも継続審議でもよい。とにかく不成立なら、野田への不信任案成立と同等ととらえて、解散に打って出るだろう。解散に打って出れば、自動的に小沢グループは消滅するのだから、「小沢切り」は達成できることになるわけだ。そこで重要な役割を果たすのが、自民党だ。谷垣は2閣僚に対する問責決議が成立したことを根拠に相変わらず更迭を要求しているが、自民党は審議に応じてしまったのだから迫力は無い。おそらく別の場面で妥協する可能性がある。それは野田が消費増税法案成立を前提に「話し合い解散」に応ずることだ。野田・谷垣・小沢の三角関係の構図は、野田が谷垣に傾斜することによって、容易にバランスを崩すことができる。この切り札があるかぎり、野田が政局の主導権を小沢に譲ることはあり得ない。ただ消費増税法案の審議入りが連休明けにずれ込み、かねてから指摘しているように、野田は国会の会期を延長して土俵の枠を広げる必要に迫られよう。6月21日の会期は8月の旧盆前くらいまで大幅延長せざるを得ないかも知れない。戦いは暑い夏の延長戦に持ち込まれる公算が出てきた。
 

自民党は原発再稼働・消費増税から逃げるな   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-24 06:56 [修正][削除]
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1904/1916
 「ここ数年で最も賢明なリーダー」と米ワシントン・ポスト紙が首相・野田佳彦を褒めているが、総じて何も知らない米特派員も、倒閣宣言の大阪市長・橋下徹よりは物事が分かっているようだ。古来賞賛されるリーダーは、一にも、二にも、責任感があって、ぶれないことが最重要条件だ。野田にはこけの一念のような愚直なところがある。反面最近の自民党の体たらくを見ていると、野党3年でここまで落ちぶれるものか、と哀れに見えてくる。わずか4日で全面審議拒否の撤回だ。執行部の判断力の欠如を見事に物語っている。もっとひどいのは、消費税から逃げ、原発再稼働は見て見ぬ振りをする、ずるがしこさだ。自民党総裁・谷垣禎一は確かに早期に交代させた方がいいかもしれない。ワシントン・ポスト流に言えば「ここ数年で最低のリーダー」なのだろう。全面審議拒否など“最後の手段”を早々と打ち出して、肝心のポイントで状況を大きく見誤った。問責閣僚の更迭は一挙に遠のいた。これでは、将来たとえ野党第一党になって首相に選出されても、難局を乗り切れまい。

 誰が見ても、2閣僚の問責決議などを、会期末までまだ2か月もある時点で提出するのは、無理がある。いまや猪突猛進の関東軍と化した参院自民党を押さえられない。友党であり正論を述べている公明党を「邪論」と決めつけた参院国対委員長・脇雅史や、執行部の方向転換も知らぬまま4月23日記者会見して「参院が暴走して、何が悪い!」という画用紙パネルを掲げ、息巻いた山本一太レベルの政治家に、政局をろう断させてしまった。2大政党の一方を担うという責任感もない。その象徴が原発再稼働と消費増税という重要政治課題に真っ正面から取り組もうとしないことである。まず原発再稼働では野田政権が、洞察力に欠けるテレビメディアや自治体トップの総スカンを食らって苦境に立たされているのを見て、「しめた」と舌なめずりしているのだ。「安全性をきちんと確認し、地域の理解を得ることが前提で、再稼働すべきだ 」という党の方針が決まっており、谷垣も「現状では再稼働を認めざるを得ない。そうしないと、工場などの操業もできず、雇用が失われていくことになりかねない」と容認する考えを表明している。それにもかかわらず、反対の嵐のなかで一転、拱手傍観しているのだ。根底には民主党政権に難題を押しつけて、選挙を有利に導こうという思惑がある。

 しかし、原発推進政策はそもそも自民党政権時代以来のものであり、民主党が引き継いで総電力の53%まで高めることで一致していた。田中内閣が電源3法を成立させ、地元を財政支援する体制を敷いて以来、選挙基盤として活用してきたのは、自民党に他ならない。現在でも原発の地元は、国会議員も、自治体トップや議員も、自民党系が強力な発言権を持っているはずだ。それにもかかわらず、自民党が再稼働へ向けて民主党政権を応援するという動きは一切ない。早期稼働の是非は政争を超越して、「亡国か、興国か」をかけた戦いであると認識すべきだ。財界も政治家任せで黙っているべきではない。民放テレビ番組や、反原発で急先鋒の新聞の広告スポンサーを拒否するべきだ。これが一番効き目がある。

 他方で、消費増税法案についても、マニフェストで10%への引き上げを明記しておきながら、賛否をあいまいなままにしている。最大の焦点である「引き上げ率10%」で一致しているのだから、政治的には9割は歩調が合うはずだ。要するに、原発再稼働も、消費増税法案も、たとえ自民党政権になっても、けりをつけざるを得ない。政党を超越した国家の大計なのだ。野田政権に協力して実現を図るべき時は今をおいて他にない。それにもかかわらず、原発反対、消費税反対の大阪の“あんちゃん”橋下にこびを売るように接近する。自民党は、早期解散を実現するため、党利党略の亡者になってしまったのだろうか。衆院の任期までは余すところ1年余。参院の山本一太に解散に追い込んでもらわなくても、延長通常国会末か遅くても秋の臨時国会冒頭解散は実現する流れだろう。野田は解散も辞さない方針を正月以来度々表明している。自民党が重要課題で協力しても、食い逃げされて解散を先延ばしにされるのを恐れているとすれば、洞察力がない。どっちみち選挙は近いのだ。この際、消費増税法案と原発再稼働で政権に協力姿勢を示すことこそ、自民党の政権担当能力を世に示すことになるのだ。これが責任政党として生き残る道なのだ。自民党は小沢一郎と“政局ごっこ”を競っているひまはない。

日本はミャンマーの少数民族問題解決に積極的に関与せよ   
投稿者:高峰 康修 (福岡県・男性・日本国際フォーラム 客員主任研究員・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-23 18:57 [修正][削除]
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1903/1916
 ミャンマーをめぐる情勢は、予想を上回る速さで、望ましい方向に向かっているようである。4月1日に行なわれた議会補選では、アウンサン・スーチー女史が立候補を認められ、同氏が率いる国民民主連盟(NLD)が勝利した。補選の結果がミャンマー議会の勢力図に与える影響は微々たるものだが、象徴的重要性を持つものであり、クリントン米国務長官は、補選後直ちに、投資の一部解禁などの対ミャンマー制裁緩和を表明した。4月13日には、キャメロン英首相がミャンマーを訪問し、23日にはEUも制裁の停止で合意することとなった。我が国も、21日に行なわれた野田首相とテインセイン大統領の首脳会談で、円借款の再開や3000億円余りに上る債権放棄で合意している。こうした動きは、テインセイン大統領によるミャンマーの民主化を支援し、ミャンマーの市場を開拓する意図がある。

 米国のネオコン的思想の持ち主からは、テインセイン大統領のミャンマー民主化を懐疑的に見て、制裁解除は時期尚早であるとの議論もあるが、大きな流れには全くなっていない。自由、民主主義、人権尊重といった価値観は重要だが、約20年にもわたった対ミャンマー制裁は、いささか的外れであり、的外れな制裁解除反対論が勢いづいていないことは歓迎すべきである。そして、対ミャンマー制裁解除においては、対中牽制という、ミャンマーの地政学的重要性が大きく考慮されたことは言うまでもないが、それが余り前面に出てくることなく、ミャンマーの市場としての潜在的価値が前面に出ている。これは、ことをスムーズに運ぶことに貢献してくれよう。欧米、そして日本の経済界の幅広い後押しを得られるからである。

 ところで、現在、スーチー女史以下NLD出身議員は、軍政下制定された憲法遵守を宣誓できないとして、登院を見合わせている。この点について懸念の声があるが、抜き差しならない対立に至る可能性は低いのではないかと、私は思っている。これは、支持者向けのパフォーマンスであり、いずれ折り合うことを前提とした動きであると考えるのが自然である。それよりも、少数民族問題の方が不安要因である。テインセイン大統領は、少数民族との和解を進めてきており、1月には、最大の少数民族であるカレン族の武装勢力と合意に至っている。しかし、今でもカチン族と政府軍は交戦状態にある。少数民族問題で最も懸念されることは、テインセイン大統領による民主化と西側への接近を快く思わない他の国が、少数民族に武器供与を行なうなどして、和解を妨害することである。こうした事態は何としても避けなければならない。

 現在のところ、少数民族と政府側の和平協議は順調に見える。ミャンマーの12の少数民族武装勢力からなる「統一民族連邦評議会」(UNFC)の幹部は、5月には、政府と和平協議を開始し、その協議には、日・米・欧にもオブザーバーとしての参加を要請する考えがあることを表明している。我が国は、21日の首脳会談において、ミャンマーの少数民族支援を行なうことを表明している。これは、食糧援助や難民対策を念頭に置いている。もちろん、これは大変結構なことである。しかし、日本政府は、もっと以前に、少数民族とミャンマー政府の和解の仲介を果たす用意がある、と大々的に表明していてしかるべきであった。折よく、少数民族側から、協力要請があったのだから、これに全面的に応えるべきである。少数民族問題は、今後のミャンマーの行方を握る重要なカギであることを認識し、我が国は、問題解決に積極的に協力することにより、ミャンマー民主化の流れを確固たるものにすると同時に、発言権の確保に努めることを期待したい。

(連載)わが国の北朝鮮制裁の限界(2) ← (連載)わが国の北朝鮮制裁の限界(1)  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民主党)・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-23 09:33 [修正][削除]
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1902/1916
 かつては、国連安保理の制裁と言えば「国丸ごと制裁」みたいなものだったのですが、やはりカネ、モノの流れを止める制裁は劇薬過ぎるということが分かり、ここ10年以上、国連安保理で出てくる各種制裁決議はスマート・サンクション系のものばかりです。とすれば、対象を絞り込んだ上でカネやサービスの流れをガッツリ止めてしまうというのが一番賢いやり方です。ただ、ここで難しいのが「絞り込む対象は誰か」ということです。ここは日本のありとあらゆるインテリジェンスを投入して、「この人達、この企業達にはおカネが渡らないようにしなくてはならない」とすべき相手をきちんと特定できるかどうかです。これはなかなか難しいですけども、インテリジェンスのみならず、銀行業界等も動員しながらやってみる価値はあるかもしれません。

 今の外為法では日本単独で制裁を打てる法整備が出来ていますから、きちんと調査した上で意思さえ有すれば、外為法第10条で「我が国の平和及び安全に特に必要がある」と判断したうえで、支払、資本取引、直接投資、特定資本取引、役務取引の許可制に乗り出していくことは法制度上は可能です。いずれにせよ、日本単独の制裁には第三国迂回の可能性が常にあります。対北朝鮮でモノ、カネを止めても、一旦第三国を経由してしまえば何の意味もありません。この抜け道がある限りは、単独制裁は一定以上の効果は望めないということになります。しかし、日本単独制裁でもこの第三国迂回の方法に対処するやり方がないわけではありません。それは、かつてアメリカが対イラン、リビアに対して講じた「イラン・リビア制裁法(略称:ILSA)」の方式です。

 これは何かと言うと、日本では暴力団追放条例がよく似ています。暴力団とお付き合いした人は、行政関係のところから徹底的に排除される、というのがこの条例のキモです。ILSAは「イラン、リビアに年間4000万ドル以上の『投資』を行い、それがイラン、リビアにおける『石油資源開発に直接かつ著しく貢献した』と大統領が判断する者等には経済制裁を課す」という内容です。制裁内容はアメリカの金融、輸出、輸入、政府調達といった分野から排除されるというものです。これだと第三国迂回にもある程度のタガが嵌まります。アメリカのILSAの方法論自体は決して問題ではありませんでしたが、用意された制裁メニューがどう見てもWTO違反のオンパレードだったので、その適用において色々な問題を引き起こしました(日本も懸念を表明していました)。ただ、これは制裁メニューさえ上手く選べばいいいう面があります。WTOのルールだけを理由にILSA的なものの検討をやらないということにはなりません。

 しかし、ILSAのような制裁法はアメリカのような強国だからやれるというところがありますね。外交関係への波及のみならず、ケースによっては国内経済への影響も軽視できなくなりますが、その時に「そういう影響が出てもいい」と言えるかどうかです。そう考えると、なかなか日本がやるのは難しいかもしれません。日本がやると、具体的には「北朝鮮と深いお付き合いのある中国企業は日本から締め出す」といったことになるわけですけども、ここまで腹を括れるかどうかは大きなポイントです。さて、これから制裁を考えるのであれば、まず国連では大したことができないということを前提に、日本が何処までの腹積もりでやるかということになります。「対象を絞り込んだ効果のある制裁」、制裁スキームの歴史はいつもこの理想形を追ってきました。これが実務的に難しいんです。(おわり)

(連載)わが国の北朝鮮制裁の限界(1)  ツリー表示
投稿者:緒方 林太郎 (福岡県・男性・衆議院議員(民主党)・30-39歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-22 00:03  
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1901/1916
 北朝鮮によるいわゆる「ミサイル」発射について、追加的制裁の議論が出てきています。これは、時折誤解を招くので、ある程度は正確なところを知っておく必要があります。まず、国連安保理による制裁ですけども、2回の制裁決議が通っています。(1)2006年の決議1718 :臨検の実施(ただし、あくまでも協力要請)、奢侈品の禁輸、戦闘機・軍艦・ミサイルなどの特定の兵器の禁輸とそれらに関連する物資や技術やサービスの移転や調達の禁止等。(2)2009年の決議1874 :武器禁輸、領域・公海における臨検・押収、大量破壊兵器・ミサイル関連計画・活動に資するすべての金融資産等の移転防止、すべての加盟国及び国際金融機関等に対する新規援助の禁止等。

 基本的には武器・兵器関係での制裁が主となります。中国やロシアの拒否権の事を考えれば、今後も一般的な禁輸は難しいでしょう。せいぜい、兵器関連での資産凍結や渡航禁止の対象となる人物、企業のリストを拡大するくらいが精一杯だと思います。それとて、リスト拡大の範囲ですら制裁委員会でどの程度合意できるか分かりません。

 では、日本は対北朝鮮でどのような独自の措置を講じているかというと、(1)輸出入の全面禁止、(2)北朝鮮居住者に対する300万円以上の支払いの届出義務、(3)北朝鮮を仕向地とする10万円以上の現金の持ち出しの届出義務、(4)人の移動制限、(5)チャーター飛行機の乗り入れ、船舶の入港禁止といったところです。つまり、外為法の枠組みでは、輸出入だけが全面制裁となっていて、カネの流れは限られた兵器関係だけが制裁対象になっているという意味合いになります。(2)や(3)は単なるお手続きに過ぎず、いわゆる制裁には含まれません。制裁法のプロの目から見ると、単に届ければいいだけのものなど制裁ではないのです。

 したがって、既に直接の輸出入は、制裁が効果を示していて、統計上はゼロになっています。単に統計上そうなっているだけで、実際は行われているとか、第三国迂回のものがかなりあるとか言われていますが、把握できる限り統計上はそうなっています。さて、これから追加的に打てるものがあるかというと、支払、資本取引、直接投資、特定資本取引、役務取引といったようなもの、つまりは、カネやサービスの流れに当たるところを許可制にかからしめるというのが、誰もが思うことです。これが一番有力なのでしょうけども、これはなかなか難しくて、「北朝鮮」という括りで全部許可制にしてしまうと、一部「切りこみ過ぎてしまう」部分が出てしまう可能性があります。最近の制裁スキームの流れは、スマート・サンクションでして、個人や法人をリストで特定したかたちでの制裁が主流です。つまりは、けしからん対象だけに制裁をして、対象国の一般の方には影響が出ないようにするということです。(つづく)

(連載)中国ではロケット残骸物の落下は日常的な出来事(2) ← (連載)中国ではロケット残骸物の落下は日常的な出来事(1)  ツリー表示
投稿者:酒井 信彦 (東京都・男性・日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-20 09:46 [修正][削除]
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1900/1916
 一昨年9月5日、通信衛星「シノサット6号」を、長征3号C型ロケットで打ち上げ、その補助エンジン(ブースター)3基すべてが、貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州の鎮遠県に落下した。ブースターは、長さ約10メートル、直径約2メートルの巨大なもので、「落下時に大気に極めて大きな衝撃を与え、周囲の直径60メートルの草木が枯れた」。またこのブースターには、「推進剤に非対称ジメチルヒドラジンと四酸化窒素を使用。いずれも強い毒性がある」という。一昨年1月17日、測位衛星「北斗」を長征3号C型ロケットで打ち上げ、ブースターが貴州省遵義市内に落下した。「落下地点に大きな穴が開き、約30メートル以内にあった草木が焼けこげた」。

 2007年10月24日、中国初の月探査衛星「嫦娥」を長征3号A型ロケットで打ち上げ、その残骸が貴州省に落下した。貴州省内の具体的な地名は出てこないが、「サーチナ」にはその時の写真が二つ掲載されている。一つは「耕地に落下したロケットの一部。推進剤のタンク部分とみられる」と説明があるもので、私は中国のロケットについては全くの無知であるが、写っている人間と比較すると、C型のブースターよりかなり大きく見える。もう一つは、「貴州省民家を直撃したロケットの残骸」とあるもので、太くてかなり長さのあるパイプが、民家を破壊している。

 以上の例から分かるように、ロケットの落下する地域は大体決まっているようである。それは貴州省の東部で、特に黔東南ミャオ族トン族自治州の鎮遠県というところである。そうなる原因は、衛星の打ち上げ場所である発射センターが、四川省の涼山イ族自治州の州都である西昌であり、そこから真っ直ぐ東方に打ち上げるからである。したがって、ロケットの形式にも寄るのであろうが、落下地点は事前に予測でき、約10万人が避難している。今までには人的被害も、かなりあったことであろう。

 つまり貴州省の東部地域は長年にわたって、落下物と毒ガスの恐怖にさらされ続けているのである。こんな人道に反することが平気でできるのも、この地帯が地名からも分かるように、非中国人すなわち「少数民族」地帯であることが、かなり関係しているのではないだろうか。私の知る限りにおいて、北朝鮮のロケット発射に大騒ぎしているマスコミが、中国における悲惨な現実をまともに報道するのを見たことがない。中国で公表されていることでも、中国の国家権力にとって好ましくないことは、日本人に知らせるのを自粛するのである。彼らが中国人の精神奴隷であることの、何よりの証拠である。(おわり)

(連載)中国ではロケット残骸物の落下は日常的な出来事(1)  ツリー表示
投稿者:酒井 信彦 (東京都・男性・日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-19 19:42  
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1899/1916
 このところ、北朝鮮が長距離ロケットの打ち上げを予告したために、日本中が大騒ぎ状態になっていた。結局4月13日に行われたロケットの打ち上げは、完全な失敗に終わって事なきを得たものの、日本の発表が大幅に遅れて、かえって日本の監視体制の欠陥が、明らかにされる結果となった。日本で大騒ぎしたのは、ロケットの破片などが落下し、被害が出ることを心配したためであったが、世界第二の経済大国である中華人民共和国では、ロケット打ち上げの落下物による被害など、幾らでも起っていることなのである。しかしこの重大な事実は、日本では一般に殆ど知られていない。

 つい最近の3月31日に、貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州鎮遠県の尚寨トゥー族郷という所に、通信衛星「亜太7号」を打ち上げた長征3号B型ロケットの残骸が落下したことが、「ロケットの残骸落下・住民パニック・毒ガスの黄色い霧」というタイトルで、インターネット・サイト「サーチナ」に出ている。それによると、四川省の西昌衛星発射センターで、午後6時27分に打ち上げられたロケットは、7分後には尚寨郷の付近に達して爆音が轟いたが、ついで白い物体が見えて、どんどん人間のいるほうに落下してきた。

 「物体は轟音(ごうおん)をたてて小川の近くに落ちて、4つの部分に分裂した。2つは山の斜面に突き刺さった。残りの二つは水田に落ち、黄色い煙を噴出しつづけた。住民は遠くから、物体と物体の周囲で次第に濃くなる『黄色い霧』を眺めているしかなかった」という。「周囲の地面より低くなっている小川の上をつたうようにして、『黄色い霧』は広がった。『黄色い霧』は、長征ロケットの推進剤として使われる四酸化二窒素で、強い毒性と腐食性がある」。つまり落下物の脅威だけでなく、毒ガスの危険性もあるわけである。

 「サーチナ」には、ロケット残骸の落下についてのニュースが、外にも沢山取り上げられているので、その幾つかを紹介しておこう。なお「サーチナ」の記事は、中国の新聞やネットから集めたものであり、別に秘密にされているものでもなんでもない。昨年の7月11日、データ中継衛星「天鏈1号02星」を打ち上げたロケットが、貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州鎮遠県の大地郷に落下した。昨年7月5日、甘粛省蘭州市西固区で、「人工降雨用ロケット弾が民家に飛び込んだ。ロケット弾は屋根を突き破り、台所に置いてあった洗面器を貫いた。すぐ近くで住人女性が食器を洗っていたが、けがはなかった」などだ。(つづく)

野田は問責閣僚を切って、消費増税にまい進せよ   
投稿者:杉浦 正章 (神奈川県・男性・政治評論家・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-19 06:51 [修正][削除]
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1898/1916
 首相・野田佳彦にとって2閣僚に対する問責決議案の4月20日可決が意味するものは、消費増税という国家百年の計と伴食大臣の首とどちらが重いかと言うことに尽きる。いくら幹事長・輿石東が反対しても、閣僚の首も切れないようでは、「小沢切り」による増税実現などとてもおぼつかない。審議拒否をめぐって野党が割れるのを待っていては、5月連休の後にまで問題を持ち越すだけだ。そうなれば、野田が命をかける消費増税法案まで成立がおぼつかなくなる。ここは2閣僚が自発的に辞任すべきだが、しなければ更迭するしかない。問責決議案を読めば、上程は無理もない。岐阜県下呂市の市長選挙で特定の候補者の支援を求める文書に署名していた国交相・前田武志については、「みずから辞任すべきだが、その地位に恋々としている。さらに責任を秘書官に負わせようとする姿は、反省の意識も薄い」とある。一方、北朝鮮のミサイル発射でも醜態を見せた防衛相・田中直紀については、「安全保障政策に関して基礎的な知識がないことは周知の事実で、わが国を取り巻く安全保障環境が緊張を増す現在、防衛大臣が素人であることは到底許されない」と指摘している。いずれももっともな理由であり、もう「1日1日全力を尽くす」(田中)ことなどしてくれる必要は無い。

 確かに自民党がこの国難の時に問責決議を乱発して、政局化による早期解散を狙っていることは、党利党略であり、もういいかげんにせよと言いたくなる。同党が問責可決後に全面審議拒否に入れば、世論も黙ってはいまい。野党の足並みも乱れるだろう。しかし、それを待っていたら、すぐに5月半ばになってしまう。消費増税法案成立のための時間は切迫しているのだ。来週中に決着をつけなければ、問題は連休後に持ち越す。連休中は野田の訪米で審議不能だ。5月7日から会期末までは45日しかない。超重要法案の審議日程としてはぎりぎりの日数だ。連休前に審議入りしてやっと通るかどうかの日程だが、連休後までもたもたしていては、会期内成立はおぼつかなくなる。ここでも小沢一郎絡みの大きなネックが存在する。消費増税法案に反対し、少なくとも継続審議を狙っている小沢戦略と密接に絡んでくるのだ。

 小沢にとって、体制内闘争を続けるには、表だって消費増税法案に反対投票して、党分裂の事態を招くことは避けたいところだ。継続審議くらいが落としどころとして1番よいと考えている。その戦略に乗って、側近の幹事長・輿石東がうごめき始めているのだ。2閣僚辞任について、輿石が「そんなこと毛頭考えていない」と“抵抗”しているのは、自ら2人を参院の閣僚候補として推薦したことだけが理由ではない。小沢戦略を実現するには、早期更迭になっては困るのだ。遅れれば遅れるほど法案の継続審議化が実現性を帯びてくるのだ。こうした輿石の思惑は、4月26日の小沢判決が無罪となれば一挙に浮上するだろう。輿石は党員資格停止処分を撤回し、小沢を9月には代表に担ぐかも知れない。それを先取りするかのように、小沢は18日、テレビで代表選出馬を聞かれて「それが天命だとすれば、私はどんな役割でもするつもりだ。最後のご奉公をしたい」とあからさまに意欲を表明している。輿石は「無罪即小沢復権」の構図を描いているのだ。

 野田にしてみれば、1番の頼りとすべき輿石が、一段と小沢寄りの姿勢を示し始めては、ゆゆしき問題である。もともと輿石は小沢側近であり、「必ず刺すサソリを背中に乗せたカエルは刺される」のだ。これを巻き返す戦略として、野田が取り得るのは、とりあえずは2閣僚の早期更迭と、審議状況を見て会期を大幅延長することしかない。問責決議には法的拘束力がないにしても、過去の例は可決された全員が早晩辞任している。問責の理由もそれほどの無理はなく、かばえばかばうほど政権の方針にとって逆作用となるのだ。「まずかばいきれない」というのが永田町の常識的な見方である。決議の理由を見ても、世論は「もっとも」とうなずくのであり、野田はここで突っ張るべきではない。日程的にも来週中の決着を目指すのが妥当であろう。こういうケースで自民党政権がとってきた対応は、裏で手を回して“自発的”な辞任に持ち込むことだが、民主党政権でも踏襲する価値がある。2閣僚とも自らの立場が消費増税の可否に絡んでいることを悟るべきであろう。それが実現できなかった場合には、狙いが分かっている輿石などには気を遣わずに、早期更迭・内閣改造に踏み切り、連休前決着を目指すべきだ。

手におえない野田政権の危機管理感覚   
投稿者:尾形 宣夫 (神奈川県・男性・ジャーナリスト・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2012-04-17 10:08 [修正][削除]
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1897/1916
 世界に北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射の情報が駆け巡る中で、わが首相官邸は「一部報道によると何らかの飛翔体が発射された模様だが、確認されていない」。そして、爆発映像が流れた後は「何らかの爆発的事象があった」と涼しい顔で藤村官房長官や田中防衛相がコメントした。なんともはや、緊張感のかけらもないわが国の政権の対応である。北朝鮮の「衛星打ち上げ」の予告があってから、国連を舞台に主要国の緊迫した動きが連日伝えられてきた。ミサイルが軌道を離れて落下する事態に備え、沖縄・石垣島に配備されたPAC3は本番に備えて繰り返し訓練したし、防衛省のある都内をはじめ首都圏の主要自衛隊基地には、万一に備えた物々しい迎撃態勢を敷いた。

 北朝鮮のミサイル発射技術の弱さを浮き彫りにするように、ミサイルは発射から2分後には爆発、破片となって黄海に落下した。外国人記者団を招いて仰々しく打ち上げの「成果」を誇るはずだった金正恩体制には大きな痛手となったが、この失敗は測らずも日本の危機管理のお粗末さをまたもさらけ出してしまった。冒頭に記したように、いち早くミサイル発射をキャッチ、日本に通報した米軍の早期警戒衛星(SEW)の情報は「日本側の確認はまだ」と脇に置かれ、最初の米軍の連絡からほぼ1時間後の午前8時42分になってようやく「確認」にたどり着いた。野田政権の危機管理にとって、世界最先端の米軍のSEW情報も単なる「一つの情報」に過ぎないようだ。日本側情報とのダブルチェックをしたからだと官房長官は言い訳するが、待ったなしの対応を求められる危機管理とは雲泥の差の危機意識と言わざるをえない。

 政権は今回の情報の遅れを検証するチームを発足させる。「そう時間も取れないので、2週間程度で検証結果をまとめる」と官房長官は言うが、情報処理の稚拙さ、遅れの原因は極めて明白だ。政権に危機管理意識がないことと、情報収集・分析の機関を担う情報担当官僚らを政権が十分遣いきれていないことに尽きる。検証に2週間も要らない、数日もあれば立派な検証結果をまとめられる。今回の情報処理のまずさと対応の遅れは、野田政権の危機管理能力がいかなるものであるかを浮き彫りにした。世界の情報機関、インテリジェンスに関わる専門家の間では物笑いになっていると知るべきだろう。

 もう一つ、忘れてならないことを思い出した。原発事故対応の議事録がまったく作成されていなかった、例の驚くべき政権のずさんな事故対応の詳細な議事録作成はどうなっているのだろう。先に政権がまとめたものは形だけで、具体的な中身はないに等しい。閣僚の、専門家の誰々が「こう言った」などは全くない。政権が事故対応にどう動いたかも分からない報告では、今後の教訓になりえない。改めて野田政権の危機管理能力を問わねばならない。

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