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コスモポリタンの前提は帝国主義   
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-18 15:22 [修正][削除]
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3394/3394
 最近、ハーバード大学の教授が日本について語るというテーマのネット記事をよく目にします。江戸時代の再評価や品格ある国家論など、扱う内容は様々なのですが、これらの教授の“指南”には、一つの共通点が見受けられます。それは、“日本は、より開かれた国にならねばならない”というものです。いわば、現代の日本開国論なのですが、日本国は、先進国として少子高齢化、人口減少、並びに、経済低迷といった諸問題に真っ先に直面するからこそ、海外から様々な異なる文化や考え方を持った人々を受け入れ、異質なものの接触がもたらす化学反応的なダイナミズムを活用し、これらの諸問題を克服すべきと説いているのです。多様性こそ、問題解決と発展の鍵であると…。登場する凡そ全ての教授陣が画一的な見解を述べる状況に、むしろ多様性の喪失と思想の画一化を感じさせるのですが、果たして、この日本国に対するコスモポリタン化の薦めは適切なのでしょうか。

 おそらく、コスモポリタンの薦めは、日本国のみならず全世界に対するものなのでしょう。しかしながら、この主張には、一つの重大な問題点があるように思えます。それは、コスモポリタン、即ち“世界市民”とは、そもそも帝国の枠内を前提としていることです(特定の国に属さないのではなく、世界帝国に属している…)。この言葉の起源は、アレキサンダー大王による世界征服事業にあり、紀元前4世紀にギリシャから現在のアフガニスタンにまで及ぶ広大な版図を有する、多様な民族を包摂する大帝国が出現した歴史に因ります。帝国内には国境はなく、それ故に、帝国内の様々な民族や文化が混ざり合い、融合し得る状況が出現したのです。さしもの大帝国も大王の早すぎる死と共に短命に終わり、帝国も分割され、やがて消滅するに至りますが、この時誕生したコスモポリタンの概念は、思想の世界においてのみ理想郷として生き残り、今日にまで影響を残すこととなったのです。

 ところが、今日の国際社会を眺めて見ますと、そこには、国民国家体系という、古代の帝国とは全く異なる分散型の体系が成立しています。個々人は、“世界市民”=帝国市民ではなく、例外的に重国籍のケースはあるものの、各自はそれぞれ特定の国に属し、自らが国籍や市民権を有する国との間に権利・義務関係を構成しています。現実が国民国家体系にありながら、その同一の空間において帝国由来のコスモポリタン主義を実践しますと、当然に、現行の国際体系との不整合により、政治的リスクや混乱が生じます。コスモポリタンとは、今日よりも社会が複雑ではなかった時代において、一瞬しか存在しえなかった世界帝国を前提としている“あだ花”であり、地表に既に国境線が引かれている状態でのコスモポリタン化とは、社会対立や摩擦を引き起こす、あるいは、覇権主義的な諸国や勢力による移民を介した間接支配を許す事態になりかねないのです。

 このように考えますと、日本国に対する開国の薦めは、現実、並びに、付随するリスクを無視した相当に乱暴な要求と言うことになりましょう。アカデミズムやマスメディアの世界でも、国民国家体系を克服すべき“旧体制”と見做し、その破壊を奨励する見解も見受けられますが、こうした意見は、日本国を含めた自由な諸国や人々を、新たなる帝国主義者に引き渡す手引きとなるのではないかと思うのです。

(連載2)核兵器禁止の動きと韓国について ← (連載1)核兵器禁止の動きと韓国について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-17 09:54 [修正][削除]
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3393/3394
 しかし、そこに矛盾と不公平も存在していることを意識する国々は、「核兵器禁止条約(Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons)」の批准を進めています。この核兵器禁止条約は、核兵器の全廃と根絶を目的として起草された国際条約であり、「核兵器の開発、実験、製造、備蓄、移譲、使用及び威嚇としての使用の禁止ならびにその廃絶に関する条約」とも呼ばれています。この条約は、賛成123、反対38、棄権16で可決されましたが常任理事国で核保有をする安全保障理事会の拒否権を持つ常任理事国であるアメリカ、イギリス、フランス、ロシアは反対票を投じ、中国本土は棄権をしています。

 一方、なんとあの北朝鮮は、この条約には、「賛成」をしています。また、唯一の核被爆国であり、平和憲法を持つ、我が国・日本は、米国などとともに、「反対」の姿勢を示し、また、米国の傘の下にあると見られるドイツ、カナダ、オーストラリア、或いは韓国なども事実上の不参加表明をしています。現実との折り合いとは言え、「核兵器の禁止」に向けた動きを推進する動きは萎え、暴力の連鎖の可能性が残る現実であります。

 尚、核兵器禁止条約に関しては、南北朝鮮の動きが国連で見られました。即ち、軍縮を議論する国連総会第1委員会で10月6日、韓国と北朝鮮の代表が互いに激しい言葉の応酬を繰り返し、両国による非難合戦に各国大使らは顔を見合わせ、会場内が騒然となる場面もあったと報告されています。この委員会の冒頭、アルルーム議長(イラク国連大使)が核兵器禁止条約の採択に貢献し、2017年のノーベル平和賞に決まった市民団体を祝福した直後、演説した韓国の趙国連大使は、北朝鮮の核・ミサイル開発を、「核不拡散体制と国際社会の深刻な脅威だ。北朝鮮を止めなければならない」と述べ、国連安全保障理事会の一連の議の完全履行を各国に求めました。

 これに対し、北朝鮮の慈国連大使は演説で、核兵器禁止条約は、「米国を含む核保有国が承認せず、先行きに暗い影を落としている。米国が北朝鮮への核の脅しをやめないなら、核戦力強化から1インチもひるまない」と訴え、核兵器禁止条約に賛成していない米国や韓国、そして日本も意識した発言をして非難合戦が行われたとのことであります。そして、こうした中、韓国国内では、核武装の必要性を前提とした議論が、特に日本を意識しつつ、出てきています。こうした現状を見るにつけ、私は、「人類は本当に真の平和を望んでいるのであろうか?」と疑問を感ぜざるを得ません。これも、「現実との折り合いをつけようとする結果」なのでしょうか?(おわり)

(連載1)核兵器禁止の動きと韓国について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-16 20:59  
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3392/3394
 私は原子力の平和利用を必ずしも否定しません。その効果が大きいことは既に実績として示されているからです。しかしながら、核分裂の制御ができなくなり、一度核分裂のマネージメントが出来なくなると人はおろか、自然界の一部に対しても壊滅的打撃を与えることも既に現実として発生しており、核管理、核のマネージメントがきちんとできない中では、安全は担保されず、例え平和利用と雖もこのまま、核の利用を進めることが良いのか否かについては疑問があると考えています。

 そうした意味で、「核の専門家の公平な意見」をきちんと聞きながら、核の平和利用を推進するのであっても、推進すべきであると考えています。そして、こうして考えてくると、当然に、「核の軍事利用」は厳に回避すべきであると私は、自らの倫理観を基にして結論付けています。然るに現実は如何でしょうか?

 先ず、世界をリードする国際連合は、「核兵器の不拡散に関する条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons、略称:NPT)」と名付けた、核軍縮を目的に、アメリカ合衆国、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国の所謂、国連安全保障理事会の拒否権を持つ永世常任理事国であり、第二次世界大戦の際の主要戦勝国5か国以外の核兵器の保有を禁止する条約を定めています。そして、この条約に対して、明確に、「未加盟国」となっている国は、「インド、パキスタン、イスラエル、南スーダンの4国」となっており、インドとパキスタンは条約が制定時の核兵器保有5か国にのみ保有の特権を認めそれ以外の国には保有を禁止する不平等条約であると主張して批准を拒否、イスラエル政府は核兵器の保有を肯定も否定もせず、疑惑への指摘に沈黙を続けていますし、北朝鮮も核開発を急いでいることはほぼ明白となりました。

 核保有国は、現実との折り合いをつける必要があり、世界が平和になりきっていない現在、主要国が核兵器を保有し、「核兵器を抑止力として平和を維持していくことが現実的である」と言った理屈の下、自らの核保有を正当化しています。(つづく)

(連載2)教育無償化はマルクスのマニフェスト ← (連載1)教育無償化はマルクスのマニフェスト  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-13 09:53 [修正][削除]
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3391/3394
 こうしたあべこべ現象が、労働者や兵士を扇動して起こした共産革命が、その実、世界大のネットワークを有する非国家勢力による詐術的陰謀であったとする説の信憑性を高めているのですが、マニフェストに掲げられた教育無償化についても、隠れた目的があったと推測されるのです。

 それでは、教育の無償化においてマルクスは、何を意図したのでしょうか。おそらくそれは、教育権の独占による伝統的な家庭の破壊、並びに、砂状化された国民の直接的、かつ、全人格的な支配ではなかったかと思うのです。社会・共産主義国では、確かに教育の無償化は実現していますが、幼少より親元から引き離され、共産主義を絶対思想とする洗脳教育が施された結果、国民は、イデオロギーの檻に閉じ込められています。

 国家、否、共産党、あるいは、独裁者に直接忠誠を誓う存在にこそなれ、国民は、自由な空間を失い、政府が定める型通りの生き方に嵌められてしまうのです。男女ともに区別なく労働に従事し、家庭はなく、歴史や伝統もなく、子供達は、国家によって家畜の如くに心身ともに調教されると云う…。全体主義国家の恐怖を描いたジョージ・オーウェルの『1984年』という小説も、マルクスの『共産党宣言』が出版された1848年という年を意識して命名されているのでしょう。

 戦後の日本の教育界も、全国津々浦々にまで日教組が組織され、社会・共産主義勢力が最も深く浸透した領域となりました。その一方で、今日の政治状況は、何れの国も、新自由主義という共産主義の亜流、否、それをも背後から操ってきた非国家勢力本体の強い影響下にあるとされています。何れの政党も、表看板にも政策内容にも若干の違いがあり、対立を装いながらも、共産主義のマニフェストが示した方向性と一致しているとなりますと、少子化対策とは名ばかりであり、いよいよもって、日本国の未来は危ういと言わざるを得ないのです。(おわり)

(連載2)日米欧で最多の日本の選挙の弊害 ← (連載1)日米欧で最多の日本の選挙の弊害  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-13 09:51 [修正][削除]
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3390/3394
 不意打ち解散で野党は準備不足で選挙に臨みます。自民党も安倍首相の意向が絶大ですから、党内で充分に議論しないまま、消費増税の使途変更、全世代型社会保障制度などを掲げました。選挙公約は民主党政権当時の過去を振り返っても、いかに当てにならないかが分かります。ついでにいえば、約束事を意味する公約なのに、単なる政策目標にすぎません。メディアは公約という表現をやめるべきです。

 先ほどの「大機小機」氏は「国家指導者を選ぶ機会が4,5年に1度しかなければ、有権者は候補者が約束する政策の中身をもっと吟味するようになる」と、指摘しており、私は賛成です。もっとも大統領選は4年に一回の米国でも、トランプ大統領は実現が難しい公約を乱発しています。世論調査で常時、政権に対する評価が出てしまうネット時代の影響が大きいでしょうね。

 とにかく選挙のやりすぎです。経済の成長力が落ち、その分を財政膨張、金融拡大でカバーしようとします。必要な財源を国債発行に頼り、増税を回避しようとしますから、財政危機はどんどん悪化します。今回、安倍政権が消費税10%を約束したものの、国債償還を減らし、歳出にも振り向けるといったのは、そういうことです。与党以上に厳しいことを言えない野党は、消費税凍結というさらに安易な道を選びました。希望の党は企業の内部留保への課税を打ち出しました。税法違反になりかねない法人への二重課税にあたります。

 第二次安倍政権が誕生する前、毎年のように首相がころころ変わるのは、国政選挙が多すぎるからだと言われたりしました。第二次安倍政権は5年の長期にわたっています。しばしば選挙をしている印象を受けるのは、3年に一回ある参院選が政権選択に大きな影響を持ってしまっているからでしょう。選挙報道、論評は公約の是非、議席予想、安倍政権継続への影響、野党再編の批判ばかりでなく、民主主義のためには、どのような選挙のあり方が望ましいのか、広い視野からの問題提起をお願いしたいですね。(おわり)

(連載1)教育無償化はマルクスのマニフェスト  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-12 12:04  
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3389/3394
 今般の衆議院選挙では、自民党のみならず、凡そ全ての政党が、少子高齢化対策として教育への公的投資拡大を主張しています。この分野においては、政党という政党が何れも足並みを揃えているのですが、教育無償化が、マルクスが『共産党宣言』にて主張した基本方針の一つであったことは、あまり知られてはいません。

 『共産党宣言』こそ、1848年に出版された共産主義者のバイブルであり、以後、全世界の共産主義者の信奉を集めてきました。この書物には、最も“進歩”した共産主義国において実現すべき一般的な方策が、十か条からなる政策綱領として纏められています。共産主義者にとりましては、マルクス・エンゲルスから授かった新たなる“十戒”なのでしょうが、その第10項目目には、“すべての児童の公共的無償教育…”が掲げられているのです。

 何故、共産主義者が教育の無償化を目指すのか、その表向きの理由は、教育の機会均等の実現と信じられています。財産の多寡にかかわらず、全ての人々に教育を受ける機会が保障されている社会を目指す方向性においては、共産主義者のみならず、多くの人々の賛意を得ることでしょう。

 ところが、20世紀に出現した社会・共産主義国家の実体を見ますと、全人民の平等化が共産党員のみの特権階級化となり、財産の公有化が共産党のみによる国有財産の私物化となり、計画経済による豊かな国民生活の実現が国民の窮乏生活となり、自由な労働が国民の奴隷化となり、何れもが悉く目指す目的地と実際の到着地は正反対でした。(つづく)

(連載1)日米欧で最多の日本の選挙の弊害  ツリー表示
投稿者:中村  仁 (東京都・男性・元全国紙記者・70-79歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-12 11:57  
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3388/3394
 衆院選が告示され、選挙公約の検証、再編された野党への注文、獲得議席の予想などが関心を集めています。何かもっと重要な論点を忘れてはいませんかと、問いたいのです。日米欧の中で国政選挙は日本が突出して多く、その結果、選挙公約は乱造され、財政は選挙対策に使われ、財政赤字が拡大するという構図です。

 選挙が多い理由の一つは首相の解散権(憲法7条)です。政権に都合のいいように使われているとか、不意打ち解散はけしからんとか、議論はされています。日経の経済教室(17年10月4日)でも、野中学習院大教授が「不意打ち解散の本家だった英国では、6年前に法律で禁止(規制)された」と、指摘しています。解散には下院議員の3分の2以上の賛成が必要になり、日本もどうにかしたらどうかという問題意識です。

 ではいったい、日本ではどのくらい、国政選挙が行われているか。日経のコラム「大機小機」(17年10月7日)が簡潔に触れています。「日本衆参両院の国政選挙は、この10年で今回を入れると、7回目」といいます。同じ期間に英独は3回、仏大統領・議会選は2回、米は大統領・議会選は3回、中間選挙は2回で、日本は突出しています。12年12月の衆院選(安倍首相の政権復帰)、13年7月の参院選(衆参ねじれ解消)、14年12月の衆院選(自公で3分の2獲得)、16年7月の参院選(自公維で3分の2獲得)、そして今回の17年10月の衆院選です。5年で5回です。衆参両院の役割が接近し、参院も首相の選出、信任に大きな影響力を持つようになっています。そのほか、都知事・議員選挙などの地方選も国政を左右するようになり、選挙の年中行事化が進んでいます。

 選挙は民主主義の基本で、選挙の意義を否定する人はいません。問題は、こんなにしばしば選挙をやっていると、マイナス(負)の効果が大きくなるのではないかということです。与野党は選挙公約を、十分に練り上げたうえで掲げるのではなく、有権者に受けのいい公約を打ち出すポピュリズム型の傾向が強まっています。メディア、識者、学者、専門家は日本の選挙の多さに伴う弊害をあまり指摘しません。国際比較して日本の選挙を考えてみるより、国内の目先の問題に気を奪われるせいでしょうか。慶大教授・作家の荻野アンナ氏の指摘「公約をじっくり読ませてもらう。各党の公約をすり合わせて判断する」(読売新聞、17年10月9日)は平均値でしょう。(つづく)

韓国の経済政策について   
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-12 10:48 [修正][削除]
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3387/3394
 庶民に寄り添う大統領のイメージを前面に出し、大統領に就任した韓国の文在寅大統領は貧富の格差の是正には積極的にならざるを得ない状況にあります。しかし、さりとて、成長戦略を怠り、富の再分配にだけ注力できるほど、韓国経済に余裕はありません。こうした中、文大統領は、「革新成長は所得主導成長戦略に劣らず重要である」と述べ、革新成長の概念を速やかに確立し、執行戦略を取りまとめるように関係各部署に対して指示を出しています。革新成長は新政権の経済政策の方向の一つとなっていたはずですが、これまでは、「所得主導」の為の政策が庶民には分かり易い為か、さほど注力されていなかったとも言えるのであります。

 こうした中、文大統領はようやく政策基調を見直す意向を示したとも言えましょう。そして、雇用労働部長官は、所得主導成長の柱である「最低賃金1万ウォン」政策の速度を調整する可能性を認めています。また、新政権に近い識者たちも所得主導だけでは不足であるとの警告を発し始めているとの見方も出てきているようでありますが、こうした動きに貧富の格差を意識する一般庶民が納得するのか注目されます。しかし、更に、「税金で公共部門の雇用を創出し、労働者の賃金を引き上げ、経済成長を達成するという所得主導成長論は、どの国でも成功したことがない初めての実験である。企業の革新、価値創造、生産性の向上だけが持続可能な成長をもたらす。難しい理論ではなく、汗を流さなければ豊かにはならないという単純な真理である」との声も出て来ていますが、「既得権益層こそ、汗を流せ!!富を握る者が汗を流さず、富を得ている事こそ問題である」との批判も聞こえています。

 そして、「最低賃金の急上昇は雇用減少という逆説的な結果を生んでいる。零細事業者が従業員を減らし、経営に行き詰まった企業が海外脱出の動きを見せている。非正社員の正社員転換、2大指針(一般解雇指針、就業規則指針)廃止といった一方的な“親労働政策”も企業を苦しめている。更に、大企業の法人税引き上げ、同時多発的な企業摘発、フランチャイズ業態に対する規制など“公正経済”の政策を打ち出し、企業の悲鳴が聞こえる」との声が一方で聞こえる中、文大統領は、「股裂き」の状況に追い込まれ、文大統領自身が強く意識する「ノムヒョン元大統領」が悩んだ経済政策のジレンマと類似する課題を既に抱え始めたようにも見えます。

 韓国社会では、8月の青年失業率が8月の統計としては通貨危機以降18年ぶりで最悪の水準を記録、韓国政府が本年掲げている3%成長も実現が大きく遠のいている中、高度防衛ミサイル(THAAD)を巡る中国本土の報復、北朝鮮リスクなど外部環境の影響も加わり、賃金問題の後遺症、インフラ事業縮小の影響が本格化すると見られている今後は、状況は更に悪化する危険性が出てきています。文大統領の実のある動きを期待したいと思います。

(連載2)米ラスベガス銃乱射事件と北朝鮮は関連するのか? ← (連載1)米ラスベガス銃乱射事件と北朝鮮は関連するのか?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-06 12:54 [修正][削除]
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3386/3394
 第4点を挙げるとすれば、容疑者の行動が用意周到であることです。自宅からは、42丁の銃器と爆発物が押収されたそうですが、こうした手法は、阪神淡路大震災時に露呈した朝鮮総連による大量の武器貯蔵を思い起こさせます。単独犯とはされていますが、組織的蜂起や破壊活動をも計画していたとする推測も成り立つ量です。

 第5点としては、犠牲になられた方々の多くは、カントリー・ミュージックのコンサートへの参加者であったことです。カントリー・ミュージックと言えば、“古き良きアメリカ”の象徴のようなジャンルであり、その参加者達も、アメリカをこよなく愛する純朴なアメリカ人であったのでしょう。スティーブン・パドック容疑者は白人と報じられていますが、いわゆる“白人至上主義”ではなく、むしろ、伝統的な“アメリカらしさ”を持った白人層を攻撃しているのです。また、自らもカジノの常連であったそうですので、IS等による所謂“腐敗した西洋文明に対する破壊行為”でもないようです。

 そして最後に第6点として指摘し得ることは、トランプ大統領が、非難声明において犯人を“ガンマン”と呼んだことです。この表現、ミサイル発射実験を繰り返す金正恩委員長に対して付けた“ロケットマン”と類似しています。仮に、大統領が北朝鮮関連の情報を得ていたとすれば、自ずと似通った表現が頭に浮かんだ可能性もないわけではないのです。

 以上に北朝鮮犯行説についてその可能性を探ってみましたが、限られた情報では推理の域を出ず、真相の究明は今後の捜査が待たれるところとなりましょう。しかしながら、何れにせよ、この悲惨な事件は、米軍による対北軍事制裁があり得る今日、北朝鮮、あるいは、そのシンパ勢力によるテロの可能性をアメリカ、並びに、同盟諸国に警告しているように思えるのです。(おわり)

(連載1)米ラスベガス銃乱射事件と北朝鮮は関連するのか?  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-05 10:52  
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3385/3394
 米ネバダ州のラスベガスで10月1日に起きた銃乱射事件は、犠牲者が59人を数える大惨事となりました。スティーブン・パドック容疑者が自殺したため、事件の背景はつまびらかではありませんが、報道によりますと、アジア系の女性と同居していたそうです。“アジア系の女性”との情報に、おそらく、多くの人々の脳裏に真っ先に浮かんだのは、同事件と北朝鮮との関係ではなかったと思います。実際にネット上では、この情報に反応し、既にこうした推測が飛び交っています。その一方で、同女性が事件当時東京に滞在しているために直接的な関係はないとの見方を示す米メディアがある一方で、捜査当局も、帰国を待って事情を聴取する予定なそうです。これまでのところ、北朝鮮の犯行を示す情報はないのですが、その可能性は、以下の諸点からゼロではないように思えます。

 第1の点は、北朝鮮の過去のテロ活動にあります。北朝鮮は、現在、解除されているとはいえ、米政府からテロ支援国家の指定を受けた“犯歴”を有する国です。ラングーン事件や大韓航空機爆破事件のみならず、金正恩のトップ就任後も、マレーシアにて兄の金正男を暗殺しています。テロを敵国に対する有効な攻撃手段と見なしており、たとえ、今般の銃乱射が北朝鮮とは無関係であったとしても、北朝鮮には、“敵国”であるアメリカにおいてテロを起こす動機が十分すぎるほどあるのです。

 第2の点は、何と言いましても、“アジア系の女性”の存在です。アメリカの捜査当局もメディアも、何故か、“アジア系の女性”と表現し、正確な国籍を公表していません。否、国籍に関する情報がありながら、敢えて隠しているのです。意図的に国籍が隠蔽されるケースとは、大抵、政治問題化する可能性が認められる場合です。何らかの政治的配慮が強く働いたとすれば、IS関連が疑われるイスラム教徒が比較的に多いインドネシアやフィリピンといった東南アジア諸国よりも、一触即発状態にある北朝鮮、あるいは、常にセンシティヴな関係にある中国の可能性の方が高いように思えます。加えて、東京在住という情報も、北朝鮮犯行説の信憑性を高めます。日本国籍を取得した女性であるかもしれませんが、日本国内には、在日中国、韓国、朝鮮の人々が200万人以上も居住しており(特別永住資格者も多数…)、帰化した人や二重国籍者を合せますと、相当数の朝鮮半島系、並びに、中国系の住民がおります。仮に、北朝鮮が、入管当局に疑われることなく工作員をアメリカに送り込もうとすれば、チェックが甘い日本経由を試みることでしょう。また、“アジア系女性”との表現は、国籍国と出身国とに違いがあるからかもしれません。

 第3の点は、北朝鮮は、海外においてテロや事件を起こすに際して、しばしば女性を利用することです。大韓航空機爆破事件でも、実行の一人犯は“蜂谷真由美”なる日本名を名乗る女性工作員(金賢姫)であり、マレーシアで起きた金正男暗殺事件でも、実行犯は、騙されて加担したとされる二人の東南アジアの女性達でした。比較的警戒されない女性を利用する北朝鮮の手法は、“アジア系女性”の存在をクローズアップさせる要因なのです。(つづく)

(連載2)第二次世界大戦前の日本と現在の北朝鮮について ← (連載1)第二次世界大戦前の日本と現在の北朝鮮について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-03 09:58 [修正][削除]
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3384/3394
 更に、アメリカ合衆国の孤立主義的な立場が変わるのは、フランクリン・ルーズベルトがアメリカ合衆国大統領になってからであり、ルーズベルト大統領は就任してから1937年の隔離演説発表まで、表面上は日本に協調的姿勢を見せ、日中国間の紛争には一定の距離を置く外交政策を採っていましたが、1937年7月に盧溝橋事件が発生すると、対日経済制裁の可能性を示唆、1937年10月5日に隔離演説を行い、孤立主義を超克し増長しつつある枢軸諸国への対処を訴え、そうした結果として、最終的には、1941年7月から8月にかけての対日資産凍結と枢軸国全体に対する、石油の全面禁輸措置が完成、これにより日本が認識した、米国、英国、中国、オランダによるABCD包囲網が完成したのであります。

 尚、上述した1933年2月24日、国際連盟特別総会でのリットン報告について審議の最終的な同意確認において、日本の国際連盟代表であった松岡洋右全権は、その表決および同意確認直後、席上で、「もはや日本政府は連盟と協力する努力の限界に達した」と表明し、大日本帝国の立場を明らかにして総会会場を去り、その後、同年3月27日、日本は正式に国際連盟に脱退を表明、その後は国際社会での孤立感を深めていくこととなったのでありました。そして、日本はその結果として、第二次大戦に突入、敗戦、不戦国として、平和憲法を持ち、国際社会と協調する国として、今日に至っているはずです。

 ここで、一つ、当時の日本は、日中紛争不介入の立場を示していた米国をもう少し取り込み、国際社会での孤立感を醸成しないように動ければよかったとの見方ができます。昨今の国際情勢を眺めてみると、日本のように真綿で首を絞められるように孤立感を深めている国が、北朝鮮と言えましょうが、私の認識は、北朝鮮は、国際社会を知り、慎重に考え、大胆に行動する国と化しており、第二次世界大戦前の日本についても研究、よって、当時の大日本帝国が、米国を取り込めなかったことを意識、北朝鮮は今、ロシアand/or中国本土の取り込みに必死になっているものと思います。当時の日本との違いは、北朝鮮はロシアと中国本土と言う大国二枚のカードを持っており、米国一枚であった日本よりもその点では余裕があるかもしれません。一方、そうした状況を意識する米国は、いよいよ、ロシアと中国本土を北朝鮮の金正恩政権(北朝鮮そのものではない)から引き剥がそうとしはじめており、これが効果を上げると北朝鮮はいよいよ、丸裸、「窮鼠猫を噛む」ような事態となる可能性が高まりましよう。

 そして、その際の北朝鮮の暴発、軍事的行動の直接的被害を受ける国の一つに、日本は間違いなく挙げられると私は思っています。そうしたことから、日本の一国民として事態を危惧しておりますが、そのリスクがある、日本のリーダーが、国連総会の場に於いて、「対話の窓は十分に開いていたのにそれに応じなかったのは北朝鮮である」「今必要なものは圧力である」と強調する姿を見て、私も北朝鮮のやり方に憤懣やるかたない思いはあれど、しかし、この演説は、被害を受ける危険性が高い我々日本ではなく、英国やフランスといった国連安全保障理事会の拒否権を持つ常任理事国などにお任せし、日本はその裏で実効性のある圧力をかけつつ、可能な限り、平和的解決の道を求めて、しつこく、しつこく、しつこく行動すべきではないかとも感じました。何れにしても、北朝鮮情勢は更に難しいステージに上がりそうです。(おわり)

(連載1)第二次世界大戦前の日本と現在の北朝鮮について  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-10-02 23:09  
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 私は、国際金融社会で働いている頃、家族はもとより仲間たちからも、「人を立ち上がれぬほど追い詰めてはならない。例え、それが正義であっても」とよく諭されました。理由や背景が何であれ、人は自らが可愛く、あまりに責め立てられると、「自己防衛本能」が発揮され、暴発する可能性が生じる、その結果、大きな衝突が生まれる危険性があるので、例え正義、正論であろうと、他者を責める場合には、「必ず、少しは、逃げ道を残してあげるべきである」と言うのが皆の私に対する「諭し」の内容でした。私たち人間は感情を持つ動物であり、また、本能的に自らを守る習性もありますから、他人に責め立てられれば、ほぼ間違いなく、その圧力に対抗しようとします。その結果は、責める人にも責められる人にも幸せをもたらさないでありましょう。従って、何度も繰り返しますが、「例え正義、正論であろうとも」他者を責める際には慎重であるべきだという考え方は説得力があるものと理解しています。

 そうしたことを考える際、一つ、私が日本人として思い出すことは、「満州事変から国際連盟脱退、ABCD包囲網、そして真珠湾攻撃、敗戦という歴史を持つ日本が国際社会から、“真綿で首を絞められるように”責め立てられ、結局逃げ場を失い、日独伊三国軍事同盟を結ぶもイタリア、ドイツが先に降伏、そして、1945年に残された日本も敗戦に追い込まれた」という歴史を思い出してしまいます。簡単にその道を、なるべく客観的事実だけを追って眺めてみます。

 1931年9月18日の満洲事変の発生で、国際連盟は中華民国の提訴と日本の提案により、日中間の紛争に対し介入を開始し、リットン調査団を派遣しました。リットン調査団の報告を受けて、1933年2月24日の国際連盟総会では、「日中紛争に関する国際連盟特別総会報告書」が議決され、賛成42票、反対1票(日本)、棄権1票(シャム=現タイ王国)、投票不参加1国(チリ)で採択されることとなりました。この結果を受けて、中華民国は規約16条の経済制裁適用を要求しましたが、対日経済制裁には重要な立ち位置にあるアメリカ合衆国は、国際連盟に対し制裁に反対であることを、リットン調査団が派遣される以前の1931年11月11日の段階で、駐米英国大使が確認しており、中華民国の要求は、他の代表の沈黙および討議打ち切り宣言により先ずは履行されるに至りませんでした。

 その後、1937年7月7日、盧溝橋事件が勃発し、日中間がいよいよ全面戦争に入ります。そして、中国の提訴を受けた国際連盟総会では、1937年9月28日に中国の都市に対する無差別爆撃に対する、23ヶ国諮問委員会の対日非難決議案が全会一致で可決されることとなりました。翌1938年9月30日の理事会では、連盟全体による集団的制裁ではないものの、加盟国の個別の判断による規約第16条適用が可能なことが確認され、国際連盟加盟国による対日経済制裁がいよいよ本格的に開始されることとなります。そして、孤立主義の立場から、アメリカ合衆国議会での批准に失敗し、国際連盟に加盟していなかったアメリカ合衆国は、満州事変当初は、中国の提案による連盟の対日経済制裁に対し非協力的でありましたが、日本の拡大を危惧する米国の立場は、不戦条約および九カ国条約の原則に立つものであり、満州国の主権と独立を認めないと言うものとなり、国際連盟と同調する方向となっていきました。(つづく)

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投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-29 10:07 [修正][削除]
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3382/3394
 この観点から見ますと、勧善懲悪をせせら笑う人々は、実のところ、“善き大人”ではなく、人としての基本能力を忘れてしまっている人々であるのかもしれません。『旧約聖書』の「創世記」でも、アダムとイブは、“善悪を知る木の実”を食したことで、神の如く正邪の区別を付ける能力を得たとされています。この人類誕生の物語は、動物とは異なる人間性の根幹に善悪を区別する能力があることを示しているのかもしれません。ところが、今日にあってこの能力を無視する人々が生じており、善悪の曖昧化と相対化は、人間性の否定に繋がりかねない危険を潜ませていると言わざるを得ないのです(勧善懲悪の減少と犯罪組織の影響力拡大がリンケージしているようにも見える…)。

 今日の北朝鮮問題は、「主体思想」という自己中心思想を掲げる北朝鮮による加害性の暴力主義に端を発しています。悪の本質が加害性にあることは上述しましたが、1950年の朝鮮戦争の発端と言い、今般の核・ICBM開発と言い、何れもが、北朝鮮が利己的動機から他国、並びに、国際法秩序への攻撃を企てた結果です。こうした行為が、国際法に照らして“犯罪”、あるいは、違法行為に当たるのみならず、金正恩委員長は、自国民に対しても虐待という罪を犯しているのです。

 客観的な視点から善悪を判断しますと、“悪”と明確に認定されるのは北朝鮮の側です。北朝鮮が平然と人類の善性を悪用し得るのも、首脳部の思考にも真の意味での善悪の区別が欠如しているからとしか言いようがないのです。そして、北朝鮮の“悪”に目を瞑り、同国の犯罪とアメリカの制裁を同列に論じる論評も、その自覚の有無に拘わらず、“悪の味方”に堕しかねないのではないでしょうか。

 現在、アメリカは、国連の枠組と並行して、独自制裁のレベルを一段と上げ、北朝鮮に対する締め付けを強化しています。しかしながら、中国とロシアが北朝鮮擁護の姿勢を崩していない状況では、経済封鎖の効果は限られています。国連が機能しない以上、アメリカの武力行使のみが“悪”の排除を可能とするならば、それは、善、即ち、正義の力の行使として是認されるのではないかと思うのです。(おわり)

(連載2)スウェーデンについて ← (連載1)スウェーデンについて  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-29 10:05 [修正][削除]
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3381/3394
 また、スウェーデンと言えば、高負担高福祉国家としても有名です。世界幸福地図では世界178ヵ国で第7位(2006年)、世界価値観調査での幸福度(Happiness)はアイスランド、デンマークに次いで第3位(2005年)となっています。銀行員の頃はこうした基本情報を基にして、更に国家経済の見通しや財政力等を基に定量分析した上で、定性分析を加えて総合分析していましたが、今日、ここでもう一つ申し上げたい事は、「スウェーデンはバイキングの国でもある」ということであります。

 「バイキングは海賊・交易・植民を繰り返す略奪経済を生業としていたのではなく、過去においては農民であり漁民であった」とも言われていますが、しかし、スウェーデンバイキングは間違いなく、自国では調達できない様々な物品を海外から略奪して調達してきた歴史があります。あの勇猛果敢なドイツ・ゲルマンでさえも、バイキングを恐れており、言うことを聞かない子供がいると、「バイキングがくるぞ」と叱ったと言うほど、バイキングは恐れられていたようです。

 当時のスウェーデンバイキングは、生き残る為には、こうした略奪行為をすることも仕方なかったのかもしれません。しかし、今、その末裔たるスウェーデン人は、略奪ではなく、世界が必要とするモノやサービスを海外に売り、外貨を稼ぎ、その外貨を以って、自らが必要とするモノやサービスを輸入、調達する国家に綺麗に生まれ変わり、国家も高福祉国家に綺麗に変質させています。

 そして、もう一点、この国は僅か約1,000万人の人口を以って、「少数精鋭、一騎当千の国民によって支えられている国家となっている」ということがこのスウェーデンと言う、幸福度という視点から見ると、理想的な国家を形作る源ではないかと私は考えています。引き続き、スウェーデンをしっかりとフォローしていきたいと思います。(おわり)

(連載1)北朝鮮問題  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-28 20:00  
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 北朝鮮問題をめぐっては、何故かアメリカと北朝鮮を同列に扱い、双方を同等に“悪”と見なして批判する意見が聞かれます。しかしながらこの批判、善悪の区別を判断基準から外しているのではないかと思うのです。

 近年、子供向けのアニメやドラマにおいて、“正義の味方”の活躍をテーマとするものがめっきり減っているようです。毎回、狂暴な怪獣や闇の世界の邪悪なボスなどを、勇気に溢れたヒーローが恰好よく退治するというワンパターンの繰り返しなのですが、多くの子供達は飽きもせずにこうした勧善懲悪のストーリーに熱中したのです。

 ところが、“正義の味方”の減少と軌を一にするかのように、メディアでは善悪の区別を曖昧化する善悪相対化論が蔓延るようになり、勧善懲悪は、子供の世界のお話として嘲笑されるようにもなりました。“大人の対応をせよ”と、悪の排除はあたかも子供レベルの幼稚な思考として侮蔑するニヒリスティックな傾向が顕著となるのです。

 しかしながら、善悪の区別は、果たして未熟で低レベルの思考なのでしょうか。メディアに限らず、御伽話などの子供向けのお話に勧善懲悪ものが多い理由は、幼少期から善悪の区別を付けさせる、あるいは、その能力を育成するための効果的な教育方法であったからのように思われます。悪の本質とは、利己的な目的による他害性にありますので、長じて他者や社会を害することなく、他者をも慈しむような立派な社会の一員となるよう、子供の発育・発達レベルでも分かるように善悪の基準や“善き大人”としての行動規範を単純なストーリーとして描いているとも言えましょう。そして、悪を退治し、人々を魔の手から助け出すためには、勇気という美徳を要することも。(つづく)

(連載1)スウェーデンについて  ツリー表示
投稿者:真田 幸光 (埼玉県・男性・大学教員・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-28 10:40  
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3379/3394
 私は東京銀行時代、スウェーデンの輸出公社であるSEKと言う会社に何回か信用供与=融資を行いました。そして、その信用供与をして良いのか、いけないのかを判断するためにも、SEKそのものを調査するとともに、SEKを背後から支えるスウェーデンと言う国家について調査したことを今でも思い出します。

 スウェーデンという国家については、その概要として、「正式名称はスウェーデン王国である。北ヨーロッパのスカンディナヴィア半島に位置する立憲君主制国家であり、西にノルウェー、北東にフィンランド、南西にカテガット海峡を挟んでデンマーク、東から南にはバルト海、そしてその向こうはバルト三国とロシアといった国となっている」と言うことから解説されます。

 首都はストックホルムですが、デンマークに接するマルメと言う都市、また、スウェーデン第二の都市・イーテボリなども有名であり、また、北極圏を国土に持つ国家でもあります。王国ということから、もちろん、今も王室があり、現王家はベルナドッテ家となっています。そして、スウェーデンと言えば、ダイナマイトを発明、その平和利用を期待しつつ亡くなったノーベル氏の遺産を基に設立、運営されているノーベル財団が発表する「ノーベル賞」でも有名な国です。

 また、第一次世界大戦の情報戦に参加、第二次大戦も、「中立」を守るために、軍事力も含めて、国家戦略を現代化させている国家としても有名です。そして、こうした国家運営を支えるのは、「安定的な国家経済力」と見られており、その国家経済力を支える組織の一つが上述したSEKでもありますが、このスウェーデン経済は、近代から、「ノーベル財団の理事を輩出するヴァレンベリ家が支えてきた」とも言われています。また、主要企業としては、サーブ、ボルボ、エリクソン、イケアなどがスウェーデンオリジンの企業であります。(つづく)

(連載2)米朝“話し合い”路線のリスク ← (連載1)米朝“話し合い”路線のリスク  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-26 10:19 [修正][削除]
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3378/3394
 しかしながら、たとえ“政治問題”であったとしても、北朝鮮が、朝鮮半島の統一を目的に“話し合い”の場を求めているとは思えません。その理由は、真に“話し合い”による南北の統一を願っているならば、そもそも核・ミサイルを開発する必要がないからです。言い換えますと、政治問題の解決のために核・ミサイルを開発したとすれば、その真の目的は、南北対等な立場での合意による統一ではなく、核を脅迫手段とした北朝鮮による赤化統一の強要としか考えられないのです。

 加えて、北朝鮮の核・ミサイル開発の目的が、純粋に“政治問題”でもないことは、94年の米朝枠組み合意や六か国協議の経緯を見れば明らかです。核・ミサイルカードは、周辺諸国、並びに、国際社会から支援を騙し取る手段でしかなかったからです。核兵器、並びに、各種ミサイル等を保有した今日では、さらに犯罪性がアップし、“身代金要求”の脅迫手段となりつつあります。

 イギリスでは、アングロサクソン時代に、北欧のデーン人からの攻撃を免除してもらうために、デーンゲルトと呼ばれる貢納金を支払っていましたが、現代という時代にあって、北朝鮮は野蛮な無法時代の行為を蘇らせようとしているのです。そして、この立場からしますと、北朝鮮が意図する“話し合い”の場とは、“身代金”の額や、あるいは、貢納リストを相手方に示す場に過ぎないのです。

 以上に述べたように、アメリカの基本的な“話し合い”のスタンスが、降伏した暴力国家に対する事後処理であり、北朝鮮のそれが、脅迫による赤化統一、あるいは、貢納の要求である限り、たとえ両国間で交渉の場が設けられたとしても、平行線を辿ることは目に見えています。しかも、平和の名の下で合意の成立を急ぐあまりに北朝鮮の路線に傾くような事態ともなれば、“脅迫”即ち国際犯罪の追認という“犯罪者の勝利”を迎えることとなりましょう。悪逆非道な独裁者が高笑いし、NPTを誠実に遵守してきた諸国が“馬鹿を見る”ような“話し合い”解決は、倫理に照らして間違っていると言わざるを得ないのです。(おわり)

(連載1)米朝“話し合い”路線のリスク  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-25 22:03  
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3377/3394
 アメリカによる軍事制裁、及び、北朝鮮の暴発リスクを抱えつつ、北朝鮮情勢については、何が起きてもおかしくない混沌とした状態が続いております。不測の事態もあり得る中、北朝鮮の後ろ盾となってきた中ロのみならず、ドイツのメルケル首相をはじめとするリベラル派を中心に、“話し合い”による解決が提唱されています。しかしながら、“話し合い”による解決を求める主張には、無自覚であれ、“まやかし”があるように思えます。何故ならば、全く基本方針の違う米朝両国の“話し合い”路線を一緒くたにしているからです。

 アメリカの立場としては、北朝鮮問題の基本的性格は“国際刑事事件”であり、違法に所持した凶器(核兵器やICBM等)を振り回し、国際社会を脅迫する暴力主義国家への対応としての側面が強く、武力行使も軍事的手段による危険の排除の意味合いが色濃くなります。いわば、犯人の手から凶器を取り上げる、即ち、国際社会における警察官の役割とも言えます。

 それ故に、アメリカが求める“話し合い”路線とは、警察官の突入前に降伏した犯人に対して、凶器の保管場所や製造場所を白状させ、これらを押収・破壊すると共に、二度と凶器を手にできないように厳重に監視することにあります。同路線における米朝対話とは、これらの目的を実現するための方法や手段を北朝鮮に通達する場なのです。

 一方、アメリカを“警察”ではなく“敵国”と見なす北朝鮮の立場からすれば、自国の核・ミサイルの保有・使用は、朝鮮戦争の延長線上にある“政治問題”です。北朝鮮は、武力による南北統一、並びに、自国の防衛を理由に、法で禁じられた兵器を開発・所有し、それを政治的目的のために利用しようとしてきました。ここに、国際法違反を伴う“国際刑事事件”の“政治問題”への巧妙なすり替えを見て取ることができます。(つづく)

中国山東省訪問   
投稿者:池尾 愛子 (東京都・女性・早稲田大学教授・60-69歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-22 13:31 [修正][削除]
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3376/3394
 山東省済南市で開催された国際シンポジウムに参加するために、3年ぶりに中国を訪問した。訪問するたびに中国が変わってゆくことがはっきりわかる。東京から済南への直行便がないので、上海まで飛んで、上海から高速鉄道で済南に入った。帰路は、済南から青島まで高速鉄道を使い、青島から飛行機で帰国した。高速鉄道の利用は2度目になるが、二等車でもその乗り心地は、周りさえ騒がしくなければ、日本の新幹線よりよいようだ。振動が少ないので、疲れにくい。車内電光掲示によれば、時速300キロを少し超えていた。済南在住者から、もう少しすると、時速350キロで走行するようになる予定で、旅行時間も短縮されると聞かされた。

 上海のスターバックスに集う地元の若者たちは、アメリカや日本の若者たちとほとんど変わらない。ホテル受付の外国人への対応も、かなり落ち着いたものになっていた。チェックインとチェックアウト以外の用向きでも、粘れば英語でできるかもしれない。しかし、ホテル付近にタクシーがおらず、また(友人が)中国語でホテルのドアマンに依頼して(アプリを使って)タクシーを呼んでもらえたのが一度だけだった。移動やチケット購入にはやはり十分な時間をみる必要がある。何かあるとすぐに待ち行列が伸びてゆく。中国の電話番号をもっていれば、インターネットにアクセスしやすいようであるが、そうでなければ、インターネットにつながりにくいことが多い。

 2017年4月7日に本e-論壇に「中国での学術交流に期待する」と題して書いたように、中国の山東省の大学では、「自分が会員である学会の大会あるいは国際会議を開催してよい」となっている。そのおかげで、今回の国際シンポジウムが実現し、ふだん大会や研究会で集う研究仲間が中国本土で会することになった。中国側の報告は若い人たちのものが多かった。「ビジネス日本語」の人気が高いと聞いた。分科会の一つでの「企業による消費者教育」についての発表に対しては、「日本語では、それは広告やマーケティングのことだ」と何人かがコメントした。可及速やかに改めていただきたい日本語での誤りである。済南では、国連の持続可能な成長目標(SDGs)に関するセミナー(英語)や河川三角州に関する会議、青島では、文化・伝統に関する研究会議が開催されているのに気づいた。中国本土において、中国語での国際会議が盛んに開催されていることも聞いた。

 山東省を訪れる中国人は多いようだ。中国では、山東省を海外からも訪れてほしい、特に泰山・岱廟と曲阜を見てほしいと思っているように感じられる。泰山は道教の聖地で、歴代皇帝が「封禅」の儀を行った場所である。古代信仰と皇帝の歴史が交じり合うところが興味深く、日本の出雲を思い出していた。曲阜は孔子の生誕地である。山東省首都の済南は人口700万人を擁すほか、歴史的なスポットも多いようだ。山東料理も日本人の口にあう。友人たちが撮った写真をウェブサイトにアップロードした。中国での写真撮影をためらい続ける私には、時の流れが感じられる。済南での1928年(民国時代)の事件の石碑は友人が見つけた。話には聞いていたのだが、高層・中層・低層の建物が空のままであったり、建物や道路の建設が完成に至らず途中で止まっていたりするのを見かけた。その一方で、建物や道路の建設が続いている地区があった。来年、日本関係のある国際学会の大会が曲阜で開催される予定である。それが私にとって二度目の山東省訪問になる。

(連載2)“平和の基礎”を守る武力行使vs“平和的手段”による平和の破壊 ← (連載1)“平和の基礎”を守る武力行使vs“平和的手段”による平和の破壊  ツリー表示
投稿者:倉西 雅子 (神奈川県・女性・政治学者・50-59歳)  [投稿履歴]
投稿日時:2017-09-21 11:14 [修正][削除]
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3375/3394
 今般、北朝鮮は、NPTが定めた行動規範に反し、核開発と保有に手を染めたわけですが、仮に、北朝鮮を核保有国として認めますと、この体制は、核保有国と非核保有国の両者の違反行為により、崩壊する道を辿ります。NPTの非批准国であるイスラエル、インド、パキスタンも核保有国とされ、NPT体制の不備は既に指摘されてはいるものの、これらの諸国の核保有は、公式の場で核拡散問題として議論されることなく既成事実化しました。こうした手法が許容されるとは言えないにせよ、首の皮一枚で繋がっていたNPT体制は、北朝鮮の核保有が核拡散の危機として表面化した以上、その存在意義は根底から揺ぎかねないのです。

 北朝鮮問題の解決に当たって、中ロは、核保有国でありながらNPT体制の“警察官”としての義務を捨てて北朝鮮の核を認め、アメリカもまた、“平和的手段”を優先して両国に追従すれば、義務と権利の均衡は崩れ、核保有国としての特権を認める必要性も消滅します。そして、北朝鮮の核保有が認められたからには、他の全ての諸国も、NPT体制の下で抑制されてきた核開発・保有の権利を主張することでしょう。“警察”がその職務を放棄する、否、犯罪者を幇助した以上、各自が正当防衛の権利を回復するのは、当然と言えば当然のことです。ロシアの識者は、北朝鮮の核がロシアに向かず、また、アメリカをも攻撃対象としないならば、北朝鮮の核保有は容認されるのではないか、とする見通しを述べていましたが、仮に、全ての諸国の核武装が実現すれば、如何なる弱小国であれ、相当数の諸国、特に周辺諸国が、ロシア、及び、中国に核ミサイルの照準を定めることでしょう。「平和的手段」を選択した場合、その先には、全諸国による核武装と軍拡競争が待ち受けているかもしれません(しかも、北朝鮮は核兵器、並びに、各種ミサイルの輸出国となる可能性が高い…)。もっとも、NPT体制という法秩序は崩壊しても、核の均衡が、幸いにも全世界レベルで実現し、多角的抑止による平和が訪れるならば、この選択が“絶対悪”であるとも言い切れないのが複雑なところです(ただし、核の使用をも厭わないテロ集団の手に渡った場合には平和は実現しない…)。

 その一方、あくまでもNPT体制を維持しようとすれば、武力を行使してでも北朝鮮の核・ミサイルを排除する必要があります。上述したように、核保有国が特定の違反国にのみ核保有を認めるとすれば、それは、NPT体制の終焉を意味するからです。“平和的手段”ではないにせよ、武力行使の結果として、核保有国が責任を負う核管理体制としてのNPT体制は維持されれば、人類は、一先ずは“ならず者国家”による核の脅威から解放されると共に、核の拡散を防ぐことができるのです。ただし、この場合でも、もとより同体制が内包する不平等性が問題視されていることに加えて、今般の中ロの行動で露呈したように、核保有国による義務違反は深刻な脅威ですし、NPT非批准核保有国等の問題も残ります。言い換えますと、たとえNPT体制が武力行使により維持されても、同体制は全ての諸国の安全を保障しないのです。そこで、同体制を永続的に維持しようとすれば、核保有国の義務の強化、核保有国を含む違反国に対する厳罰化、非批准国のNPT加盟と核放棄など、核保有国に丸投げせずに国際レベルで核管理を厳格化し得る方向へのNPT体制の抜根的な改革を要することでしょう(核兵器禁止条約よりは現実的…)。この改革に失敗しますと、やはりNPT体制は崩壊の危機に瀕します。

 長期的に見ますと、武力行使に訴えてでも“平和の基礎”の維持を優先した方が国際社会の安全性は高まるようにも思えますが、果たしてアメリカは、このジレンマを前にして、どちらを選択するのでしょうか。そしてそれは、NPT体制のみならず、人類の運命もがかかる重大な選択であると思うのです。(おわり)

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