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2026-05-02 00:00
NPT再検討会議を平和的解決に活用すべきでは
倉西 雅子
政治学者
今日、一般的な社会では、暴力の行使は、対立の解決方法としては禁じられています。刑法にあっても犯罪とされており、紛争や争いが発生した際には、話し合いで解決するか(合意)、もしくは、裁判所に訴える(法)のが、社会的に許される合法的な解決手段となりました。至極当然のことなのですが、人類社会において国際社会のみが、司法制度の未整備も手伝って、未だに暴力に訴える事例が後を絶たないのです。
ロシアのプーチン大統領がウクライナに軍事侵攻する一方で、中国の習近平国家主席も、武力による台湾併合を公言して憚りません。そして、戦後にあって長らく‘世界の警察官’を自認してきアメリカも、その実、戦争の当事国となってきたのです。今般のトランプ大統領によるイランに対する先制奇襲攻撃も、まさしく剥き出しの武力による一方的かつ強制的な解決の試みであったと言えましょう(‘邪魔者は消す’の暴力主義の極地・・・)。開き直るかの如くに国際法秩序が公然と否定され、今や国際社会には、ロシア、中国そしてアメリカという三つの巨大暴力団が仕切り、その背後にあってグローバリストが利権を貪る世界へと転落しそうな勢いなのですが、このままでは、人類の未来はさながらこの世の地獄となりかねません。
暴力支配の危機を前にして打つ手があるとすれば、それは、NPT体制の見直しです。何故ならば、暴力主義からの脱却には、(1)力の効用の破壊から抑止への転換、(2)全ての国家間の力の均衡、(3)平和的解決手段の提供・・・を要するからです。これら3点に照らしますと、NPTの行方が重要な鍵となることが理解されてきます。全ての諸国による核保有体制は、相互破壊よりも相互抑止において効果が高く(前者を選択すれば、自国並びに人類滅亡になりかねない・・・)、小国であれ、軍事大国に対して対等な立場から抑止力を持ち得るからです((1)と(2)を満たす・・・)。
加えて、NPTには、締約国による議論や合意形成の場、即ち、(3)のための舞台も準備されています。NPT第8条では、何れの締約国にも改正案の提案権を認めていますし、1995年以降は、5年ごとに開かれる再検討会議も定例化しているからです。つまり、このことは、本来であれば、核に関する問題は、平和的に解決し得ることを意味しています。イスラエル・アメリカ連合による対イラン攻撃の目的も、イランの核開発をめぐる問題なのですから、先ずもってNPTを舞台として解決が図られるべきなのです。
同観点からしますと、目下、アメリカのニューヨークにあって5月9日までの日程で開かれているNPT再検討会議は、イラン戦争を終息させるチャンスとなるかもしれません。イランが副議長国に選出されたこともあって、初日よりアメリカとイランとの間で非難の応酬が続いたそうですが、公開された場での両国が自国の主張をぶつけあう舌戦こそ、戦争に代わるべき解決へのプロセスとなり得るからです。そして、イランの立場は全ての非核保有国の問題ともなり得るのですから、当事国の二国間に議論を留めず、軍事大国のあからさまな暴力主義、並びに、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮が核を保有する現状に照らしながら、自らの意見や立場を表明し、積極的に議論すべきなのです。核保有国以外、NPT体制の現状維持を望む締約国は、殆ど皆無なのではないでしょうか。
願わくば、イランの核問題は、国際社会全体の問題として位置づけ、一端、NPT再検討会議、あるいは、特別招集会議が預かり、NPT体制に関する合意の形成に至るまでの間、停戦すべきところです。その第一歩として、同会議にあって、NPT体制の根本的な見直しを理由とする停戦要求決議を行なってはどうかと思うのです。
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