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2008-04-15 00:00
世界から見放される日本
森敏光
金融機関顧問
日本の閉塞感が顕著である。わが国が内外で直面する諸問題に、政府はどのような戦略・政策で取り組もうとしているのか、全く見えてこない。それらの問題は、いずれも極めて深刻で、待ったなしの対応を余儀なくされているにもかかわらず、である。衆参の「ねじれ」がこのような状況を生んだ原因であるかのような論評は、ナンセンスである。政治の本質を全く捉えていないからである。
日銀総裁が決まる前、G7の会合に日銀総裁が出席できるかどうか、といった低次元の問題で総裁人事の打開策が論じられていたが、そのような風潮にも違和感がある。日本は何も決めることができない国であることを、世界に向けて発信しているだけである。サブプライム問題に端を発する世界経済の動揺はこのまま沈静化していくとは考えにくく、今後更なる厳しい状況が世界を襲い、わが国経済を直撃する懸念も排除できない。神風が吹いて日本を守ってくれる、と無意識にでも思っているとすれば、もはやそのような淡い期待は持たないほうがよい。
今年の洞爺湖サミットで議長国たる日本が世界の抱える緊要な諸問題で強力なリーダーシップを発揮することを期待したいが、もはやそのようなことは誰も期待していない。日本の世界における存在感は急速に薄れている。日本が特意分野としてきたODA実績で世界5位に転落した、という衝撃的な事実一つをとってみても、それは一目瞭然である。昨年11月に発表されたゴールドマン・サックスの調査・分析レポートにもあるとおり、G7諸国の世界経済に占める割合は急速に減少し、これからは中国をはじめとするBRICs諸国がその地位を劇的に高めることとなる。これらの新興諸国を抜きにした世界の政治・経済に関する話し合いは、殆ど意味を持たなくなるであろう。現実は急速な世界の組織変革を求めているが、日本では時計が止まっているかのごとくであり、日本がその中でイニシアティブを発揮しそうもない。このままでは日本は現実を単に追認するだけで、世界から取り残される。
国民一人ひとりが、これらの現実を自ら認識し、自ら考え、自らの責任で現実に対応していく以外、どうしようもないようにも思われる。しかし、そのような国民一人ひとりの責任ある動きの中で、日本の政治が一刻も早く現実に目覚め、これからの日本を待ち受ける荒波に対応できる体制を準備する方向に舵をとってくれることを期待せずにはいられない。
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