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2008-04-27 00:00
(連載)オストリッチ症候群の日本(1)
古屋力
会社員
日本は、依然として「オストリッチ症候群」に陥っているのであろうか。「オストリッチ」とは「駝鳥」のことで、その習性は危険に接すると砂に頭を突っ込んで、周囲の状況を見まいとするらしい。しかも驚くことに、本人はそれで自分の身を守れると楽観しているらしい。もちろん、筆者は駝鳥に直接インタビューした訳ではないので、その真偽のほどは確かではないが。
オストリッチでもあるまいが、敢えてそうしているのかどうかはともかく、世界情勢や情報自体に対する日本の致命的な鈍感さ、最悪の事態を想定した周到で具体的な戦略的発想の無さ、更には為政者の無作為をモニターし追求する健全な民意の欠落は、日本の将来を暗くしている。こうした過ちを何度も繰り返して、今日に至っている。そこには温故知新の学習効果は微塵もない。
我が国の歴史を振り返ると、残念ながら「オストリッチ症候群」を裏付けるエビデンスを、多く確認することができる。1971年の夏、8月15日の終戦記念日と同じ日に、突然時の米国大統領ニクソンによって、全米向テレビ・ラジオ放送で発表された演説「平和という挑戦(The Challenge of Peace)」は、金・ドル交換停止や10%輸入課徴金導入等を盛り込んだ政策演説であった。後に「ニクソン・ショック」と呼ばれるが、この大筋は既に60日も前に、ニクソンと時の財務長官コナリーとの間で話し合われ、決まっていたことだが、日本政府はそれに気が付かず、まさに寝耳に水であった。
さらに困ったことに、日本政府は、ブラフの「輸入課徴金導入」の方に目を奪われ、それがどれだけ日本の輸出産業に影響を与えるかの懸念と思案に終始し、肝心の「金・ドル交換停止」の歴史的意味を判断したり、それがその後の変動相場制に移行する展望を予見したりして、日本のあるべき対応を考察することができなかった。当時から、円の切り上げの可能性は冷静に予見されており、「金・ドル交換停止」の可能性はありえたのにも関わらず、更には、その1ヶ月前に同じくニクソンの電撃的な訪中計画が発表され、日本の頭越しに物事が進む恐怖をいやというほど思い知らされていたにも関わらず、日本ははたまた第二の「ニクソン・ショック」の不意打ちを受ける結果になったのであった。(つづく)
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