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2008-05-21 00:00
(連載)人権だけではないチベット問題の本質(3)
國尾 守
団体役員
中国は、チベットを支配する論拠として色々なことを言っている。曰く「チベットは千年遡っても、独立国として存在したことはない」と。しかし、チベットは清国に占領された時、激しい戦いの結果清軍を追い出し、独立を達成しているとのことである。また曰く「チベット地域は、昔から中国の支配下にあった」と。なるほど何度かは中国本土に覇を唱えた国によってチベット地域は支配下におかれたろう。しかしその論法を使えば、中国はかつてチンギス・ハーンによって征服されたことがあるのだから、いまモンゴルの支配下に入らなければならないということになりはしないか。
中国の態度をみていると、なにがなんでもチベット支配という既得権を絶対に手放さないということのようである。しかし、第二次大戦後、それまで西欧諸国によって植民地支配を受けていたアジアやアフリカの諸国は、民族自決の理念によりみな独立を認められたのではないか。そういう世界史的な趨勢の中で、ひとり中国が、旧来から支配してきている、中国内でいうところの少数民族に加えて、チベットまでも武力で支配下に組み入れるレジティマシー(正統性)は何か。特に中国は、かつての日本の植民地政策を事あるごとに非難している。その中国が、日本が矛を収めてから5年も経過してから他国に攻め入り、新たな植民地政策を展開してきていることは、矛盾どころか、めちゃくちゃな論理ではないのか。
チベット問題は決して内政問題ではない。人権侵害も重大な問題だが、単に人権問題が解決すればそれでよいという筋合いのことではないのだ。戦後の世界において普遍的な価値となっている民主主義と民族自決の原則に基づき、チベットはもとより、ウィグル、モンゴルなど中国によって強制的に支配されているすべての民族が、自分たちの自由な意思と希望によって、(1)独立する、(2)より広範な自治権を獲得する、(3)このまま中国の支配下に留まる、のいずれかを選択すべきなのである。(おわり)
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