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2008-07-19 00:00
(連載)「自由と繁栄の孤」政策再考(2)
廣瀬陽子
静岡県立大学国際関係学部准教授
第二に、「自由と繁栄の孤」に該当する地域に注目したのが遅かったという点である。もちろん、当該地域からの距離の問題はあるにせよ、EU諸国はかなり早くからこの地域の重要性を認識し、様々なアプローチを進めてきた。とりわけ、2004年には欧州近隣諸国政策(ENP)を開始し、これらの国へのより細やかなアプローチを開始したし(コーカサスについては2005年より)、その枠内においてもドイツ、ポーランド、スウェーデン、ルーマニアなどは、とりわけ「東方外交」すなわち、旧ソ連地域のENP対象国(具体的には、ウクライナ、モルドヴァ、ベラルーシ、アルメニア、アゼルバイジャン、グルジア)への外交強化を進めてきた。このあたりの動きは、日本外交との類似性が大きい。しかし、違うところは、欧州の中央アジアへの注目と接近が最近とみに顕著になっていることである。
筆者は6月にアゼルバイジャンで行われた国際会議に出席したが、その時に話をしたEU諸国からの出席者はしきりに中央アジアの重要性を強調していた。特に、ブルガリアは非常に野心的であるようだ。筆者が、日本は最近中央アジア外交にはそれほど積極的ではなくなっているということを告げたところ、「日本は外交的視点がない。中央アジアは少し前までだめだったが、最近は顕著に変わってきており、こちらの言うことも聞くようになっている。今なら国際スタンダードも受け入れる状況にある。中央アジアに進出するのは今だ」というのである。確かに、最近の中央アジア諸国は、トルクメニスタンがEUと協力について協議するなど、前とはかなり違った様相も呈している。
このような欧州諸国の「見立て」が正しいか否かはもう少し時間がたたないとわからない。しかし、「だめな国」というレッテルを一度はったらそれきり、という姿勢は禁物だろう。もし「だめな国」が改善の色を見せ始めたら、すぐに支援するなどして、そのチャンスを生かす必要がある。そうすれば、その国にとっても有益であるだけでなく、日本にとっても新しい政治経済関係を樹立できることなど様々な利益があるはずだ。日本は欧州諸国のように、常に世界中の動静をキャッチし、変化については遅れのないよう把握し、対応していくべきだろう。(おわり)
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