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2008-09-06 00:00
ロシアは一本足で立ち続けられない
亀山 良太
自営業
ロシアの株式は、ニューヨーク市場やロンドン市場で、預託証書(Depositary Receipt)の形で上場され、世界中で売買されているが、現在、グルジア問題が懸念されて暴落中である。しかし、以前から、ロシアの株式は業績に対し割安に放置されていた。なぜかというと、たびたび「強権発動」があったからである。
今年7月、鉄鋼業者の会合に招待されたプーチン首相が、大手のメチェル社を槍玉にあげた。独占禁止法違反の疑惑を示し、「医者を送り込んでやる」と凄みを利かせたのである。「医者を送り込む」とは、テロリストを掃討するときなどに使う表現だったらしい。とたんにメチェルの株価は大暴落し、他の株価も大きく下落した。思い出すのは2003年のユコス事件である。石油会社大手のユコスに対し、当時のプーチン大統領は脱税容疑をかけ、CEOのホドルコフスキーをテレビに出演させ、そこで糾弾する模様を中継させた。後年、ユコスは政府系会社の手に落ち、ホドルコフスキーは投獄された。ちなみに本人は罪状を否認し、欧米もこれを「不当」と抗議している。日本企業もサハリン2で大きな損害を被った。2006年に環境アセスメントの不備を理由に、突然、開発中止命令を出し、三井物産や三菱商事が、ロシアのガスプロム社に株式を譲渡せざるを得なかった。現在では、ガスプロム主導の開発に切り換わっている。
今日のロシアの繁栄は、エネルギーの一本足経済だから、もし世界の景気が落ち込んで、エネルギー価格が下落すれば、繁栄も泡と消える運命にある。政府のやるべきことは、潤っているうちに、富を産業の発展に転化させることだが、それには、外国の資本や技術の導入が不可欠なのは明らかだ。もちろんロシア政府もそんなことは百も承知だが、DNAのなせるわざというか、強権発動によって、内外の信用を失ってしまうのは、自業自得というしかない。ロシアに進出する方の立場からみると、田畑を耕し、水をやっているうちは、応援してくれるが、収穫があがるようになると、とたんに難癖をつけられるのでは、たまったものではない。
国土は逃げることができないから、グルジア問題では、一定の何かを得るかもしれない。しかし、マネーは危ないと見るや、すぐに逃げ去ってしまう。今後、直接投資に対する影響も避けられなくなり、失ったものの方がはるかに大きかったということになるだろう。エネルギーの一本足に全体重をのせ続けるロシアに対し、すでに金融市場のプレイヤーたちは「判定負け」を下している。
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