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2008-10-03 00:00
(連載)政治と選挙が絡んで進行する米国の金融危機(2)
池尾愛子
早稲田大学教授・デューク大学客員研究員
他方で、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の問題にようやく関心が寄せられつつある。CDSは金融デリバティブ(派生)商品の一種であり、保険のような機能をはたす。ローンをプールすることによって生成されるサブプライム・ローン関連証券とは別物であり、リスクの引受け手がいる限り、CDS発行によって、当該リスクを分散させることができるのである。CDS市場が(レバレッジなどの借入金により)成長している時には、問題は表面化してこなかったようだが、いったん成長が止まって、貸倒れや換金要請が大量に発生すると、機能不全を起こすようだ。また、金融市場をカジノ化することにつながった、との批判を受けることにもなった。
CDSやデリバティブを推進する法律はというと、「商品先物現代化法(2000年)」に遡ることになる。第2次クリントン政権のルービン財務長官のもとで公聴会や委員会の議論が始まり、4年間の準備期間を経て、同政権末期の2000年12月に議会を通過したのである。商品先物に関係することから連邦農業委員会でまとめられたが、ルービン氏の後任サマーズ財務長官や当時のグリーンスパン連銀議長からも強い支持をえていた。農業委員会のウェブサイトによれば、規制を撤廃して、商品先物や金融デリィバテブの利用を促進し、金融市場でのアメリカの優位性を創出することを狙った法律と位置づけられている。そしてブッシュ政権のもとで規制が多少加えられたのである(そのため、ペロシ発言への反発が強かった)。
アメリカ大統領選は終盤をむかえ、各陣営を支持する人々が姿を現しつつあり、有力な経済学者たちが民主党陣営についているように見える。先述のように、サマーズ氏もその一人である。クルーグマン氏が9月29日にNYタイムズ誌のコラムで断言したように、オバマ氏は現下の金融問題についてよく知っていたといってよいであろう。まずは、7000億ドルの買い取り案などについて、議会を通過させていただきたい。そしてCDS問題などが、一般有権者にもわかる形ではっきり浮上してきたときには、どちらの陣営も金融危機の責任をなすりつけあっている余裕はないといってよいであろう。アメリカは、政治、選挙が絡んで、金融危機が進行する、という全く酷い事態に陥っている。外圧も引き続き必要とされるであろう。(おわり)
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