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2009-04-17 07:57

名古屋市長選に賭けた小沢の「続投」路線

杉浦正章  政治評論家
 民主党代表・小沢一郎が一か八かの賭に出た。四面楚歌の中で来週から地方行脚を再開する。狙いはただ一つ。26日投開票の名古屋市長選が自分の応援のおかげで勝ったことにするためだ。選挙に強いという「小沢神話」を復活させ、「続投」路線を定着させようという腹づもりがある。第一秘書逮捕・起訴以来自民党の度重なる党首討論の要請を断り続け、あれほど好きな地方行脚も行わず、“閉じこもり”を続けてきた小沢の急変である。背景には幹事長・鳩山由紀夫がタウンミーティングで国民に説明するように進言したことがあるが、本人もこのままではじり貧となりかねない危機感をひしひしと感じているのだろう。

 小沢を取り巻く空気は冷え切っている。頼みの綱で仲のよかった連合会長・高木剛までが、小沢に面と向かって「厳しい世論調査の現実の中で、選挙をやるのは大変だ」と批判。最高顧問・渡部恒三も16日のテレビ番組で「後世の人から『あの時小沢さんは立派な判断をした』と言ってもらえる判断をしてくれると信じている」と辞任期待を鮮明にさせた。「いま小沢君のところに来るのはゴマスリばかり。雑音がいっぱい入っているんじゃないか」とも述べ、辞任の決断をしない理由を挙げた。

 しかし、小沢が地方行脚をして事態の打開を出来るだろうか。世論調査は圧倒的に続投批判の数字が出ており、地方行脚は「お詫び」から始まって「事件の言い訳」に終始せざるを得まい。渡部は「遊説で歩くと、この1カ月、少しずつ民主党への期待感が薄れている」とも述べているが、国民的人気の高い渡部ですらそう感じるのだ。ましてや小沢に対する国民の反応は厳しいだろう。32年ぶりの政党間の対決選挙になった名古屋市長選挙は「自民・公明」対「民主」対「共産」の三つどもえの激突となる。明らかに衆院選の前哨戦と位置づけられる。

 小沢は、抜群の知名度を背景に推薦を勝ち取った河村たかしが「有利」と踏んでの名古屋入りだろう。河村が勝てば、「小沢神話が復活」と世論がみると判断しているに違いない。連休明けに「続投継続表明」のまたとない理由となる。しかしこの場合、逆の見方のほうが説得力がある。河村が勝っても「小沢遊説のマイナス効果をはねのけて勝った」と言えるからだ。事実、河村の応援者も「迷惑」とする空気がある。小沢が名古屋に入ったからと言って、プラスの作用とはまず考えられない。いずれにせよ、「小沢の賭」はそう簡単には「続投」効果をもたらすとは思えない。 
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