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2009-04-18 18:36

(連載)アフガン・パキスタン支援で試される日本外交(1)

若林 秀樹  グローバル・フォーラム常任世話人
 私は、4年ほど前、パキスタンを襲った地震の被害調査のためにアフガニスタン国境に近いパキスタン北部やカシミール地方を訪れたことがある。地震で2万人以上が亡くなったと言われているが、被害状況を見るまでもなく、その地域の人々は極めて貧しい生活を強いられており、よく言われるように、「アフガンとの国境地帯は貧困で、テロリストの温床になりかねない」という状況は容易に想像がついた。

 そのパキスタンを支援するために、3月17日、東京で支援国会合が開かれた。麻生首相は挨拶で「パキスタンの安定なくしてアフガニスタンの安定もない。特に国境地帯の安定が鍵だ」と訴えたが、たしかに政情不安なパキスタンをどう安定化させるかが、テロの封じ込めとアフガニスタンの安定化に極めて重要だと言える。パキスタンは、昨年、深刻な経済危機に陥り、今はIMFの融資により一息入れている段階である。融資の条件でもある緊縮財政により、貧困層対策や社会開発分野への中長期な投資が悪影響を受けている。それだけに会合参加国から当初の予想を上回る50億ドルの支援が表明されたことは、パキスタン政府にとって心強いことであったろう。

 日本はこれまで常にパキスタンへの上位支援国であったが、今回このような支援国会合をタイムリーに開催した意義は大きい。国際社会における日本の存在感を示すうえで、久方振りのヒットであった。一方のアフガニスタンであるが、日本は2002年1月にタリバン政権崩壊後の復興支援のスタートとなる「アフガニスタン復興支援国会議」を東京で開催し、その後も支援を継続してきた。つまり日本は、世界が注目するこの地域の安定化に実績を残している。このようなアフガン・パキスタン支援が、日本にとって世界の平和と繁栄に向けてリーダーシップを発揮する大きな機会となっていることは、いうまでもない。アメリカと共に、日本がこの地域の安定化に積極的に取り組んでいくことは、今後の日本外交、日米関係にとっても大きな影響を与えよう。(つづく)
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