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2009-06-04 08:54

(連載)対北制裁決議と米・中への対応(2)

藤田 幸久  参議院議員(民主党)
 他方中国も、北朝鮮を長年「弟分」のような扱いにしてきたものの、4月の長距離弾道ミサイル発射の際に、折角法的拘束力のない国連安保理議長声明に収めたのに、北朝鮮が6カ国協議からの脱退を宣言し、核実験も強行して、メンツ丸つぶれの状況です。今回は、ロシアも新決議に賛成を示したため、中国は孤立し、決議を拒否できない状況で、決議の強さが焦点です。北朝鮮に対して効果があるのは、経済・金融制裁とドルの出入りを止めて、締め上げることしかなく、中国がどこまで腹をくくるかにかかっています。

 中国は、6月1日の段階で、(1)武器の全面的輸出入禁止に対しては、「小火器は外すように」との条件を提示、(2)海上臨検に対しては、「内容と範囲を明確にするように」との条件を提示、(3)銀行取引禁止に対しては、その除外を求めている、と言われています。つまり、これらの条件が認められれば、決議の大筋を受け入れる方針であるとも取れます。しかし、6月5日にかけて、長く複雑な交渉が続くと予想されます。

 当の北朝鮮は、後継者問題もあって、焦りが見られ、軍部が憑かれたように次々と強硬手段を打ち出しています。ある意味では、もう弾丸を全て打ちつくし、今後は手詰まりとなります。

 他方、今回の決議に関して、欧州諸国からCTBT(包括的核実験禁止条約)への言及を望む声が出ているのは、意義があることだと思われます。こうした時こそ、「北東アジアの非核化」というより大きな創造的なゴールを掲げて、北朝鮮を交渉に巻き込む環境づくりが必要です。中国にとっても、ロシア、インド、パキスタンという核保有国に加え、朝鮮半島の核保有国の存在は、全方位の核包囲網の完成を意味するからです。今こそ日本は、米中に対する主体的で創造的な外交攻勢を粘り強く進めるときです。(おわり)
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