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2009-06-12 10:24

(連載)ASEANへはニーズに合った支援を(2)

小泉 秀人  学生
 一方、中国は4月18日、次のようなASEAN支援策を決定・発表した。(1)中国ASEAN自由貿易区「投資協定」の調印、(2)中国ASEAN投資協力基金で100億ドル規模設置、(3)中国とASEAN加盟10カ国を結ぶインフラ施設の推進、(4)3-5年内のASEAN諸国への150億ドルの信用貸付提供、(5)カンボジア、ラオスとミャンマーへの2億7000万元の特別援助、(6)「東アジア米緊急備蓄プロジェクト」で30万トンの米を備蓄。

 中国の支援を、日本のODA中心のものと比べると、よりピンポイントな援助となっていることが分かる。もちろん日本のODAも、インフラ整備などの支援は盛り込まれているのだが、ASEAN各国の被害の受け方がそれぞれ違い、そしてまたニーズの種類も違うということが、みずほ総合研究所のレポートからわかる。こうした事態に際してのODAは、どこまで本来の効果を発揮するのだろうか。さらに、経済危機下での支援は、具体性のあるダイレクトな援助の方が、アピール度が高いはずだ。

 ピンポイントに支援を行えば行うほど、世界の評価は上がるのである。こうしたことから、日本はもっと時勢に合った支援をすべきだろう。「アジア支援」を早くから構想しながらも、2月の「ASEAN+3」財務相会合での日本の大臣不参加、予定されていたはずの「ASEAN+3」首脳会議や東アジア首脳会議の中止など、日本は援助提唱の延期を余儀なくされてきた。この間、中国はASEANへの支援をすでに4月8日の時点で宣言し、続く18日に行動を開始している。そして、ASEAN地域の金融危機を避けるための、チェンマイ・イニシアティブのマルチ化における貢献額は、香港を含めると日本と並んでいる。

 さらに近年、中国と東南アジアの国々との間には深いビジネス・ネットワークが発展し、関係が深まっている。こうした中、ただでさえ国際支援に関してアピール力に乏しい日本政府が、現在の「アジア支援」策をより栄えるものにしなければ、日本の援助は相変わらず陰の立役者といった形で終わってしまい、ASEANにおける中国のリードを許してしまうことだろう。(おわり)
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