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2010-05-06 20:10

在沖縄米軍基地のもつ戦略的重要性を考慮せよ

木下 博生  全国中小企業情報促進センター参与
 新聞報道によれば、5月4日に沖縄県を訪問した鳩山首相は、「衆議院選挙当時は、米海兵隊が抑止力の維持につながるとの認識を持っていなかった」と述べたという。驚き以外の何物でもない。橋本自民党内閣以来、本件は日米安全保障条約がらみの最重要課題として、国会の内外で議論され続けてきた問題である。民主党、社民党であろうが、共産党であろうが、およそ国会議員であれば、本件に関し議論をし、いろいろな情報を得ていたであろうことは、間違いない。「それが、いまさら何だ」と誰もが思うのではないだろうか。
 
 この問題については、私は、2009年10月19日の本欄で、「政権交代のルールが必要だ」と題し、鳩山政権に交代してもグローバル化の時代においては政策の継続性が重要だと論じたことがある。すなわち、「普天間飛行場をどこに移転するかは、まさにその問題を問いかけている。本件は、永年にわたり日米両政府間で話し合われてきた。名護市周辺に移転しようという方向が両者間で合意され、滑走路をどこに造るかが二転、三転したあと、現行案で一応の合意ができていた。沖縄県側との調整だけが残されていたが、これを、またゼロから考え直すというのは、ちょっと理解できない。条約ではないにしても、すでに日米両政府間で合意がなされていたものである。極東地域の安全保障を考えるにあたって、沖縄の地政学的重要性は極めて高い。米海兵隊が基地を持ち続けることの意味はそこにある。国外とか、県外に移転することで済むようなことではない。これこそ、今まで日米間で話し合ってきた延長線上に沿って解決すべき問題であり、政策の継続性こそが最も大事なのである」と論じた。

 極東の地図を開いてみたらよい。沖縄は、朝鮮半島、中国本土、台湾と近い位置にある。沖縄本島南の公海上を中国艦隊だけではなく、北朝鮮を出た船舶も通り抜けている。そのように重要な位置にある沖縄に海兵隊を中心とする米軍が駐留しているのである。普天間基地の移転は、日本側から持ち出した問題であったが、駐留する海兵隊部隊のうち約8,000人をグアムに移動させる話は、米軍再編の一環としてアメリカ側から出された問題である。沖縄の地政学的重要性を考えると、日本からは、むしろ「残してほしい」という選択肢もあり得たのかも知れない。「抑止力の維持」と言う以上、民主党内閣としては、こういう点を十分に考慮して頂きたいものである。
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