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2010-07-02 07:37

枝野発言は政治が読めていない

杉浦 正章  政治評論家
 「おいおい菅さん、枝野幹事長人事は適材だったかな」と問いかけたい。最近の幹事長・枝野幸男は、発言のピントのズレが著しいのだ。みんなの党代表・渡辺喜美からは「馬鹿か、お前は」とさげすまれ、部下であるはずの選対委員長・安住淳が「頭を坊主にする話」と言い訳をして回らねばならない始末。永田町では「まるで噛み付き犬。器でない」との批判まで生じ始めた。どうも最大の政権党を率いる能力にクエスチョン・マークがつき始めている。幹事長は情報源なので、新聞はあえて叩かない傾向にある。したがって、ウェブに最適の記事となるが、とにかく枝野発言は物議を醸し出している。

 まず過半数割れした場合の連立先を、「みんなの党とは行政改革や公務員制度改革については、かなりの部分が一致していると思っているので、政策的な判断としては一緒にやっていける」と同党に露骨に擦り寄った問題。直ちに国民新党から「幹事長は死にものぐるいで過半数を制すると訴え、候補者にげきを飛ばす立場。過半数割れを前提に言うのは、一線の指揮官として理解しがたい」(代表・亀井静香)と「素質が無い」といわんばかりの批判。あわてた安住が、「本来は頭を坊主にしないといけない話だ。幹事長にも十分注意しておいた」と釈明。どっちが上司か分からない顛末となった。当の渡辺からは、「考え方が一緒だからやろうと言うが、馬鹿か、お前は。考え方が全然違うだろう。官公労働組合と手を切ってから来いよ。顔を洗って、出直してこい」(朝日新聞)といわれる始末。連立というのは、根回しの世界の話。数が足りないから記者団に発言すれば成立する話でないことを分かっていない。政治の基本を理解していないことが分かる。

 渡辺の指摘した「官公労働組合」の問題も、枝野発言で共産党と一悶着。評判最悪の同組合について、民放番組で「国家公務員労組が支持しているのは 大部分が共産党で、民主党支持の組合はほとんどない」と発言、激怒した共産党書記局長・市田忠義との間で「取り消せ」「取り消さない」の議論に発展した。少なくとも、官公労働組合ではないが悪名高き日教組出身議員がうようよいて、選挙で支援を受け、北海道教職員組合の不祥事にまで発展した政党の幹事長が言える言葉ではない。「雨後のタケノコ発言」もひどい。「雨後のタケノコのような新党がたくさん出てきているが、大部分はついこの間まで自民党政権の中枢にいた皆さんだ。野党になった途端、民主党の行政改革は生ぬるいだの、遅いだのと批判している」と述べたのだ。これも政治の基本をわきまえていない。連立相手が国民新党だけで足りなくなったら、「雨後のタケノコ」までかき集めなければならないことに思いが至らないのだ。

 そもそも、かつて自民党に小沢一郎、鳩山由起夫、岡田克也などが所属していたことを忘れている。小沢批判は毎度のことだが、狙いが浅はかだ。つまり小沢を批判すれば「反小沢票」をかき集められるという思惑が見え見え。しかし、狙いは外れて、マスコミの反応は「小沢を批判して偉い」というものはなく、「内紛」と受け取られてしまっている。逆効果だ。「ぼくは弁護士出身ですから」が口癖だが、討論を聞いても、発言は長いばかりで、ポイントがずれている。蓮舫とともに民主党パフォーマンスの象徴である事業仕分けで有名になりすぎて、これを活用しようと菅が幹事長に起用したのはいいが、資質が問われる第一の候補になりつつある。発言の軽さは野党時代の癖が抜けない典型だ。衆参424人の議員を率いる幹事長にしては、政治の“読み”が浅すぎる。これを「党内きっての論客」とか呼ぶには抵抗を感ぜざるを得ない。
 
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