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2010-07-30 15:16

消費税の議論を阻害する民主党の「マニフェスト」聖域化

大沼 瑞穂  東京財団研究員・政策プロデューサー
 「消費税を、公約としてもらっていい」と、先の参院選で菅総理が踏み込んだ発言をしたのもつかの間。その唐突な発言や制度設計なき「還付発言」により、民主党政権下では消費税の議論が一気に低迷しています。多くの国民が忘れてしまっているかもしれませんが、自民党政権時代の所得税法の改正により、所得税法の「付則」には、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うための法制上の措置を平成23年度までに講じるよう明記されています。

 自民党税調は、税制改革の議論に着手しました。「付則」とはいえ、所得税法改正なしには、この付則は生きていることになります。先の国会では、ろくな審議もなく、子ども手当てや高校無償化などのばらまき関連予算だけが通り、政治主導や地域主権に関する法案はまだ通っていません。

 消費税の議論は、消費税の議論の枠内で行っても意味がありません。「ばらまいた結果、お金がなくなりました。だから、消費税を上げさせてください」というだけの論理では、国民は納得しないでしょう。まさに政治主導で、地域における消費税の扱い等も含めた、さらに多くの控除をどうしていくのかを含めた、より大きな視点での議論が必要です。消費税の議論は、「消費税を上げるべきか、否か」だけの議論ではありません。

 そのためには、子ども手当てへの所得制限の導入や高速道路無料化の廃止等も含めた議論が必要となってきます。民主党は、予算でも特別枠を設け、その一番トップに「マニフェストの実現」を掲げていますが、このまま「マニフェスト」関連予算が聖域化されていくことこそ、消費税の議論をもまた阻害していく要因にはならないでしょうか。 
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