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2010-10-07 07:26

女性議員の図星の指摘にイラ菅爆発

杉浦 正章  政治評論家
 当選2回の女性議員の挑発にまともに乗った首相・菅直人が、本会議答弁で「イラ菅」を爆発させた。「私も野党時代厳しい言葉を使ったが、これほど汚い言葉を使わなかった」と切り返したが、菅はかつての首相・小泉純一郎に「やるやるといって何一つやらない。これではやるやる詐欺だ」とこき下ろすなど、口の悪いのは抜群。同工異曲ではないか。録画しながら聞いていたが稲田朋美は、「汚い」と言われるほどの言葉は使っていない。むしろ極めて核心を突いた「図星の指摘」であった。相変わらず迫力不足でかったるい総裁・谷垣禎一の質問が眠気を呼んでいただけに、稲田の質問は、自民党の代表質問にしては近来まれに見る勢いがあった。本会議場も沸きに沸いた。若手女性登用の自民党新機軸が図に当たった感じだ。稲田の図星の発言を聞けば、国会審議の問題点がすべて分かる。

 ★「菅首相は政治主導の能力を持っていない。政治主導の自殺行為だ」。たしかに本会議答弁の菅はひたすら安全運転の姿勢が目立った。小沢一郎の証人喚問には「本人が対応することが望ましい」と、代表選の公開討論で主張した小沢国会招致を一転させた。検事総長・大林宏の証人喚問は「国会において検討されるべき問題」とこれも国会に委ね、民主党代表としてのリーダーシップ発揮を放棄した。ビデオ公開については「捜査当局が適切に判断」で検察任せ。政治主導と言うよりまるで“逃げ菅”の「官僚主導」に徹していた。まさに「政治主導の自殺」で正しい形容だ。

 ★「検察に責任を押しつけた卑怯者内閣」。「卑怯者内閣」は政調会長石破茂も使っており、いまや野党や民放テレビの常套句である。菅は検察に判断を委ねたことを「検察当局が事件の性質などを総合的に考慮したうえで、国内法に基づき粛々と判断した。検察当局の判断は適切だったと認識している」と繰り返し発言した。憶面もなく、しかも開き直って虚言の上塗りを重ねており、「卑怯」と呼ばれるにふさわしい態度ではないか。

 ★「中国はぶれていない。その中国に屈し、ぶれたのは日本政府だ」。これも「戦後最大の外交的敗北」と烙印(らくいん)が押された船長釈放を、紛れもなく菅自身が政治判断したとみられるだけに、当然の指摘だ。菅は何かの一つ覚えのように検察による判断とその正統性を繰り返し、野党の失笑を買った。

 ★「フジタの社員解放について、温家宝首相に抗議も要求もしないで、25分間何をしていたのか」。これも日中首脳接触の最大のなぞだ。どうも菅の側に「会ってもらえるだけで、有り難い」という卑屈さを感じた。老巧な中国がそれを逆に利用した用意周到の接触だったのではないか。

 ★「間抜けぶりを挽回(ばんかい)するために、官僚の書いた原稿を読まずに答弁せよ」。菅の答弁はひたすら守りに徹して、事なかれ主義を貫いていた。重要課題では事前に用意した書類から目を離さず、原稿棒読みであった。よほど悔しかったとみえ、菅は「それなら原稿読まずに質問せよ」と切り返したが、この発言で本会議はまるで子供の喧嘩の様相となった。谷垣が「何か言われれば言い返さざるを得ない。総理大臣にまだなりきっていない」と形容したが、まさにその通りだ。この短慮さが今後「高転びに転ぶ」危険を内包している。
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