国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2010-12-09 14:52

(連載)京都議定書の単純延長ならば日本は脱退せよ(1)

高峰 康修  岡崎研究所特別研究員
 11月29日から12月10日までの予定で、メキシコのカンクンで気候変動枠組み条約の第16回締約国会議(COP16)が開かれている。COP16では、京都議定書後の温室効果ガス削減の国際的枠組み作り(ポスト京都議定書)が焦点だが、ポスト京都議定書の議論は京都議定書の単純延長論が勢いを増しつつある。京都議定書延長論に積極的なのは、京都議定書で削減義務を負わない発展途上国、また京都議定書が課す削減義務があまり負担とならないEUである。反対しているのは、日本、カナダ、ロシアである。

 しかし、温室効果ガスの排出量が世界の総排出量の22%を占める中国が削減義務を負わず、同じく19%を占める米国が批准していない京都議定書を延長することは、温室効果ガス削減の実効性の面からも、衡平性の面からも、到底正当化できるものではない。およそあり得ない話だが、仮に米国が批准するとしても、中国やインドといった新興国からの温室効果ガス排出をそのままにすれば、温室効果ガスが劇的に増加することは確実なのだから、やはり衡平性の面で容認できない。

 日本政府は、COP16の開幕日に「いかなる条件であっても、京都議定書の次の温室効果ガス削減期間の設定や延長は受け入れない」と表明した。これは全く正しい。この発言が原因で、世界の500以上の環境団体が参加するNGOネットワーク「CAN」が贈る「化石賞」の1位に日本が選ばれ、不名誉だとする向きもあるが、環境NGOのレッテルなどいちいちまともに取り合うに値しない。

 日本政府は、1日にも記者会見を行って、京都議定書の削減期間(2008~12年)に続く第2約束期間の設定への反対を改めて表明した。南川秀樹環境省地球環境審議官は「不完全な枠組みが続くより、全員参加の公正で効率的な枠組みができれば、地球全体の削減ができる」と述べた。これは、正論だが、いささか迫力に欠ける。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム