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2011-04-09 00:20

(連載)日本はクリーン・エネルギーで世界をリードすべきだ(2)

島 M. ゆうこ  エッセイスト
 複数の情報源によると、世界の人口が利用できるソーラー・エネルギーは約81,000から89,000TW(テラワット)であるが、全世界の人類が現在、利用しているソーラ・エネルギーはわずか15TWにすぎない。この数字は、再生可能な太陽熱は無限に利用できることを意味している。『エコロジー技術開発センター』の研究によると、世界の太陽電池の生産は過去10年間で35%以上増加している。

 ヨーロッパは2002年から、毎年5月上旬をソーラー日として、ソーラー・エネルギーをヨーロッパ中に広める運動を展開している。米国では、一部の政治家による根強い原油依存の主張が歯止めになっている。しかし、助成策には、再生可能エネルギーを環境の付加価値分として取り引きできるグリーン電力証書を発行している。また、12州が固定価格買取制度を導入している。更に、27州は太陽光パネルの委託販売業者が、15年から20年間契約で月々25から100ドル程度で、無理のない支払いが利用できるリースまたはローンを提供している。

 日本は、高度なソーラー・エネルギー開発技術を持つ国であり、ソーラー・パネルを製造している大企業も幾つかあるが、大幅に輸出向けであり、国内ではまだ一般に普及していないようである。その最も大きな原因のひとつとして、高い導入経費の問題がある。日本では、太陽光発電を普及させるための努力として、補助金制度や税制優遇措置が導入されているが、中国やヨーロッパに比較すると、大きな進展がないようだ。世界的に電力の需要は上昇し続けている一方、化石燃料の電力には限界があること、原子力発電には潜在的危険性があることを懸念した場合、日本が生き残る最後の切り札は、無尽蔵に利用できる太陽光を最大限に有効活用することだと思う。

 コストの問題を解決するためには、可能な限り低コストでコンパクトな効率の高い太陽光パネルを研究開発するための新技術に力を入れることや、ヨーロッパ各国のように、一般国民の意識を高めるための全国キャンペーンを行うことも、ひとつの方法である。クリーン・エネルギーを奨励する日本のグループや専門家が、政府に提案している共通した助成策の一案には「大幅なエネルギー予算の設定」、「長期低金利融資制度の導入」、「成功しているドイツに学ぶ」、「寛大な補助金の迅速な支払」および「ソーラー・エネルギーの研究開発を日本経済の活性化に結びつける」などがある。今や世界では、風力や太陽熱などの自然のエネルギーを利用した発電の研究と開発の動きが目だってきている。日本は今後、福島第一原発事故の教訓を生かし、安全なクリーン・エネルギーを推進する世界の模範国になることを目指すべきである。(おわり) 
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