国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2011-11-27 00:46

野田首相は何故、語ろうとしないのか?

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 今年度の第3次補正予算が成立した。総額12兆1000億円、うち9兆2000億円が大震災復興関連だ。復旧・復興に本格的に取り組む予算ができたわけだが、震災から8カ月も経ってしまった。被災地にはもう雪が舞っている。予算ができたといっても、その執行は年明けになる。あまりにも政府の対応は遅すぎる。今さら触れたくもないが、被災地の瓦礫はいまだにうず高く、仮設住宅も万全ではない。何かと不自由な仮設住まいだが、それさえも手が届かず、流浪の生活を強いられている人たちは、数え切れないくらいいる。「フクシマ」に追われて故郷を遠く離れた人たちに、延び延びになっていた統一地方選の機会が回ってきた。が想像するに、日々の生活に追われて、選挙どころではないのではないか。投票率が異常に低かったことも、それを表している。

 3次補正予算が遅れたことを悔やんでも、「今さら何が変わるのか」と被災地の人たちは政治の冷たい仕打ちに冷たい視線を注いでいるはずだ。解せないのは、あれほど3次補正が急がれると言っていた野田首相が、予算案成立を受けて「一言」も国民に語り掛けなかったことだ。TPPや消費税増税では国際会議で大風呂敷を広げ、語ったにもかかわらず、肝心の国内では相変わらず「語らない首相」を続けている。寒い時も暑い時も選挙区の駅頭に立って街頭演説したという首相は、就任以来、公式会見以外に国民に語ることを拒んできた。

 TPPや消費税増税にかかわる首相の言い分は、筆者のWeb(「鎌倉日誌」「徒然日記」)を参考にしていただきたいと思うが、”情緒的”で”観念的”な総論を聞かされることに国民は飽いた。具体的で、この国をどうしようというのか、どうしたいのかをはっきり、直接語ってもらわないことには、国民はますます政治不信を高めるだけである。自ら正しいと信ずるなら、何故、国民に向き合おうとしないのか、理解できない。民主党政権に対する国民の「諦め」に目をつぶるようでは、何のための政権交代だったのか、を自ら認めるようなものではないか。

 はっきりしているのは、野田政権がこのような状態を続けるなら、「消費税」は政策として議論の俎上に上ることはあっても、日の目を見ることにはならないだろうということだ。首相が10月末の所信表明演説で言った「今、私たち政治家の覚悟と器量が問われている」を、そのまま自らに言い聞かせてほしい。そして、「希望の種」をまき、「希望の芽」を育て、「希望の花」を咲かせるよう、国民を勇気づけるのは、ほかでもない野田首相の責任であることを忘れてもらっては困る。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム