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2011-12-10 12:59

(連載)野田流政治の限界(1)

尾形 宣夫  ジャーナリスト
 一川防衛相は腹をくくったようだ。自身への問責決議案について、「防衛相として本来の責任を問われる致命的なものではない」と12月6日の閣議後の会見で語った。 今さら「致命的」云々の問題ではないが、安全保障問題に“素人”の防衛相には、問責決議案はまだまだ二の次の問題の認識らしい。もっと重要なのは「大臣のポスト」の問題なのだろう。安保・防衛に無頓着なのは野田首相も同じだが、現政権の問題責任者がこうも無定見な顔ぶれでは、普天間移設問題が動くと期待するのは無理だ。

 最も恥ずべきことは、首相が、「犯す発言」をするような防衛官僚(前沖縄防衛局長)を束ねるべき防衛相の監督責任を問わず、「職責を果たしてもらう」とするだけで、具体的に陳謝していないことだ。一川氏の省内での求心力は弱い。省内は北沢前防衛相の影響力に頼っていることは、首相も分かっているはずなのだが…。

 半面、首相はどんなに野党から口を極めて攻撃されようが、「どこ吹く風」のごとく受け答え、一川氏を擁護しているようだが、内心はそうではあるまい。現段階で防衛相の責任に触れるような言質を与えてしまっては、次は山岡国家公安委員長の問責へと攻撃の矢が放たれ、原発事故関連で辞任した鉢呂経産相に続く閣僚のドミノ辞任につながりかねない。

 となると、消費税増税・社会保障と税の一体改革に突き進む野田政権の戦略は足元から瓦解してしまう。ここは、何としても踏ん張って、国会を予定通り早々に切り上げ、野党攻撃の嵐から身を守らなければならない。防衛相1人を更迭すれば済む話ではないのである。沖縄の怒りは分かりながら、今の難局から身を守る方法は、一川氏の続投以外にない。(つづく)
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