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2012-01-31 11:37

今年をどういう年にするか

湯下 博之  元駐フィリピン大使
 新しい年が始まって早や1ヵ月になる。時の経つのが早いことに驚かされる。年のはじめに今年がどのような年になるかに思いを巡らせ、今年こそはと考えたりもしたが、何もしないうちに1月が終わろうとしているように思えてくる。昨年は、とにかくひどい年であった。東日本大震災によりすべてが狂ってしまい、しかも、大震災を機に災いを転じて福となし、日本の復興、発展につなげようという声が聞かれたものの、なかなか行動がとられず、いたずらに時が過ぎてしまった感じがする。

 これでよい筈はないが、今になっても復興、発展のための全体構想も具体策も示されていない。しかも、政党やメディアは、全体構想や具体策を提案して競ったり、具体策の早急な実施を迫ったりすることなく、逆に、選挙だなどと言っている。今選挙などをしたら、貴重な時間が失われ、資金が無駄に使われて、一刻を争う復旧作業や被災者の救済が遅れるばかりでなく、国際社会からも軽べつされるだけであろう。

 今年こそ、時間を無駄にすることなく、挙国一致の体制で、被災者の救済、災害の復旧から始めて、日本の復興、発展に向けて全力で取り組むべき年である。そのためには、先ず政府にしっかりしてもらわねばならないが、野田首相は、党内の支持基盤も弱い上にねじれ国会という逆境の中で、まがりなりにも日本全体の国益のために妥当と思われる政策を掲げて全力でがんばっているように思われる。野田首相にとって代わって日本を救える明白な受け皿もなく、もっと良い具体的な政策を提示している政党もない現状において、日本にとって必要なことは、野田首相の背中を押す形で、早期の復旧、復興、発展を目指しての知恵と行動力を競い合う政治であろう。

 「今年がどんな年になるか」は誰にとっても気になるところである。が、考えてみると、「今年をどんな年にするか」ということこそ、日本人全体が真剣に考えるべきことである。自らは積極的に取り組まず、なり行きに従うという態度では、またもや1年が無為に過ぎてしまうことになりかねない。加えて、国際関係も、米国、中国、ロシアその他の主要国で選挙や指導者の交代が予定されており、また、欧州を中心とする経済困難の影響が懸念される等、予断を許さない。コップの中の嵐のような政争にうつつを抜かす余裕はない。「今年がどうなるか」などと他人事のように言うのではなく、「今年をどういう年にするか」を国を挙げて真剣に考える必要がある。
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