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2006-08-03 16:11

上司を選ぶ喜び

佐島 直子  専修大学経済学部助教授
 防衛庁を退職し、大学の教員となって6年目。少子化の潮流に翻弄され、未曾有の改革を余儀なくされている中堅私立大学の教員の仕事は想像以上に激務である。思うように研究の時間が持てないのがなによりも悩みの種だ。しかし、激増する校務に追われ、「頭にくること」「くだらないこと」がどんなにあっても、この転職を後悔したことは一度もない。
 
 何より痛快なのは、「上司を自分で選べること」である。専修大学では、学長も学部長も公正な選挙で選ぶ。入職後、最初の学長選挙では、そのあまりに厳かな「投票所」の光景に、驚愕したのをよく覚えている。「投票」は、選抜された中立な「選挙委員会」の監視の中で粛々と行われる。ぴっちりと囲われた投票ブースやジュラルミンの投票箱など、「そんじょそこら」の地方自治体の首長選挙などよりも遥かに本格的である。防衛庁時代、どう考えても人望も能力もない人に「お仕えする」苦痛を痛いほど味わった私には、信じられない光景だった。
 
 感動する私に、同僚は、「佐島先生、学部長も学長も『上司』なんかじゃありませんよ。大学では教員は皆平等で、学長や学部長には、ちょっと面倒な仕事をお願いしているだけですよ」と笑った。
 
 そのとおりだろう。そして、大学の「民主的な」諸手続きには、長い教授会や無駄な委員会の乱立など「負」の側面も否めない。実際、学長選挙、学部長選挙にはそれなりの「裏」もあるのだろう。
 
 しかし、国家指導者に求められる強いリーダーシップが国民の審判なしには具現しえないように、真に強固な「大学力」も、自由闊達な議論と民主的な学内手続きからしか生まれ得ない。サバイバル・ゲームと化している大学間の競争の勝者をそんな視点から予想することも無駄ではあるまい。
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