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2012-07-17 11:34

ロシアで新政党の誕生ラッシュ

飯島 一孝  ジャーナリスト
 ロシアでは昨年秋以来、反プーチン抗議運動で政党の新規登録が簡素化され、新政党が次々に誕生している。これまでに12政党が新規登録され、既存の7政党を加えると19になった。さらに登録手続きを進めている政党を加えると、今秋までに計30政党に増える見込みという。ロシアは、ソ連崩壊直後の民主主義“開花期”に次ぐ政党乱立時代を迎えつつあるようだ。有力紙『コメルサント』によると、先週新たに国民政党「ロシアの女性のために」、ロシア農業党、ロシア国民党の3党が誕生した。夏に新政党の誕生ブームが起きているのは、州知事が大統領の任命制から直接選挙制に戻り、その第一陣の選挙が10月14日に行われるためだ。

 今回はアムール州、ブリャンスキー州、リャザン州など5州で知事選が行われる。このため各党とも夏休みを返上して支部づくりに懸命だ。新党が増えることについて政治評論家のチェルニャホフスキー氏は「与党『統一ロシア』にとっては有利だ。新政党は基本的に与党に反対票を投じる人を対象にしているので、その分、既存の野党票が減ることになる」と分析している。反プーチン派が要求した州知事の直接選挙制が、かえってプーチン支持派を利することになるとは皮肉である。

 一方、新政党誕生ラッシュで困っているのは、既存政党の選挙関係者だ。すでに州知事選挙の候補者による政見発表のテレビ撮影が始まっているが、政見発表の時間数は増やせないので、新政党が増えると各党の持ち時間が減ってしまうからだ。中央選管が各党の持ち時間の割り振りを検討しているが、持ち時間が減った分はラジオやインターネットで補うしかないのが実情だ。そこで大きくクローズアップされているのはインターネットだ。各党ともネットの有効利用に知恵を絞っているという。

 ロシアの有権者からすれば、民主主義と選挙を考えるいい機会である。与党とは違った草の根民主主義を一から作っていくためにも、大いに議論し、試行錯誤を恐れず、挑戦する必要がある。市民社会の伝統がないロシアにとって、この機会を大いに活用すべきだろう。
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