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2006-08-31 13:15

昭和天皇の戦争責任を考える

鈴木一恵  大学生
 田島高志教授は、8月28日付けの政策掲示板「議論百出」への投稿記事の中で、靖国問題は日本の国家と政府に直接の関係を持つ特殊な存在であり、また昭和天皇はA級戦犯の合祀を望んでおられなかったから、A級戦犯は靖国神社に祀られるべきではないと主張しています。田島教授の主張は、日中関係悪化と「富田メモ」の報道によって、近年さらなる注目を集めているA級戦犯分祀論を代表するものです。それはあの戦争の責任をA級戦犯のみに押しつけて、すべての戦争責任問題に決着をつけようという考え方ですが、私は、この問題はもう少し踏み込んで考えなければ真の決着にならないと考えています。それは、昭和天皇の戦争責任をどう考えるかという問題があるからです。
 
 第一に、昭和天皇が条約批准権、宣戦布告権、陸海軍統帥権等をもつ大日本帝国の国家元首であった事実があります。帝国憲法下では責任は補弼する大臣にあり、天皇は法的に無答責であるとされていたとしても、政治的責任というものがあるでしょう。それすらないと強弁しても、道義的責任を否定できるものではありません。昭和天皇の戦争責任を問わずに、靖国問題の根本原因である戦争責任の問題に最終決着をつけることができるのでしょうか。たとえ天皇に実権がなかったとしても、天皇が国家元首であったことにかわりはなく、東アジア諸国の2000万人と日本国民200万人を死に追い込んだ道義的責任を否定しきれるものではありません。

 第二に、「富田メモ」によれば、昭和天皇は靖国神社へのA級戦犯の合祀を不快に感じ、そのため靖国神社への参拝をやめたとのことですが、もしそれが昭和天皇の本音であったとしたら、それは、A級戦犯に戦争責任を転嫁して、自らの責任を棚上げするものであり、昭和天皇の発言は自己欺瞞ではないでしょうか。A級戦犯と言われる当時の指導者たちは、天皇のみに責任を負っていたのですからです。

 第三に、実際に戦争で命を犠牲にし、靖国神社に祀られた英霊の立場から考えれば、そして私たちの世代の目から見れば、過去の戦争の責任問題がいまだに解決されていないこと自体が不可解なことであり、それは国民に対して誰も責任を取っていないからであると思います。国家という組織が犯した過ちの責任は、その最高指導者たちが取らねばならず、昭和天皇もまたその一人であったことを無視することはできません。
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