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2006-09-01 18:55

民主主義とは何か?―小国ニュージーランドの挑戦

佐島 直子  専修大学経済学部助教授
 8月中旬から、豪州、ニュージーランド、香港を回った。主目的は、8月25日にニュージーランド・オークランド大学アジア研究所、日本総領事館、そして日本ニュージーランド学会が共催したセミナー『Japan Update』への参加である。セミナーでは、岡部総領事が「日本の経済回復」について詳細なプレゼンテーションをされ、僭越ながら私が「ポスト小泉の外交・内政」について私見を述べた。今回のセミナーは来年に計画している日本ニュージーランド学会研究大会のニュージーランド開催の事前会合とでもいうべきもので、特段の告知努力をしたわけではなかったにもかかわらず、50名を越える関係者の参加を得、活発な議論がなされた。学会創設時からの理事である私には、うれしい驚きとなった。

 日本ニュージーランド学会は、今年で創設13年となる会員130名余りの小さな学会だが、広範な専門分野の会員が集い、様々な角度からこの小さな愛すべき国の越し方、行く末を追っている。18世紀半ばから英国による計画的殖民によって創造された「理想郷・ニュージーランド」は、別名「社会の実験室」と呼ばれる。その果敢な社会制度改革の数々は、我々学会員の知的好奇心を刺激して止まない。そして、その社会システムの多くは、「民主主義の原点」とでもいうべき、独自の伝統的「コミュニティ」に依拠し、維持されている。
 
 ところが、ニュージーランド社会は、ここ数年ですさまじい質的変容を遂げており、それはとりわけ最大都市オークランドのアジア系移民、具体的には中華系移民、留学生の急増に表出されている。今回のセミナーの参加者の顔ぶれをみても、オークランド大学関係者の大半が中華系の方々である。今のところ、こうした「変化」が、ニュージーランドの政治制度、社会制度へ与えている影響は限定的なものにみえる。否、むしろ小国ニュージーランドが試みてきた諸制度は、民主化が急がれる国々から来た人々を啓蒙するところ大である。国際社会との関係でいえば、ニュージーランドが挑戦してきた「善良なる国際社会の市民としての役割」も民主化途上の国々の学ぶべきモデルとなっていくのではあるまいか。
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