国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2012-11-20 09:49

日本は、新しい時代のIT・金融・情報戦争に備えよ

大井 幸子  SAIL代表
 2012年11月、G2(米中)にオバマ大統領と習近平というリーダーシップが確立した。次の10年、G2に挟まれた日本は、どのような戦略を持って生き延びていかなければならないか?日本の死活問題である。21世紀の最初の10年は、米国覇権主義とグローバル化の時期だった。また、米国は、世界同時多発テロの直後から「テロとの戦い」を掲げ、イラク、アフガニスタンへ侵攻した。しかし、2008年9月に自らが引き起こした金融危機(リーマンショック)による財政破綻から高価な戦争には歯止めがかかり、今は勢力をユーラシア大陸から西太平洋側まで撤退させている。G2の間の空間には日本と朝鮮半島がすっぽり入る。

 米中は国内に「分断された社会」という共通の問題を抱える。両大国の国内には、ごく少数の富裕層と多数の貧困層という格差社会がある。そして、超富裕層はすでに国外に脱出している。両国は互いにそのような事情をよく理解し、日本と朝鮮半島の利権を分配することで、利益調整をはかるだろう。こうした「勢力均衡」をベースにしたG2のこれからのせめぎ合いについて考えるとき、日本にとって、金融戦も含め、あらゆる面での安全保障(セキュリティー)の見直しが急務である。

 そもそも、21世紀の戦争のあり方そのものが本質的に変わったのだ。1999年に中国でベストセラーとなった『超限戦』(日本語訳2001年、共同通信)は、21世紀の戦争について明確に述べている。それは、貿易、金融、細菌、資源、ハッカーなど軍事行動以外のすべての「非軍事の戦争行動」を含む戦争である。使用兵器も、大砲だけではなく、通貨、細菌、コンピュータウィルスなど多岐に及ぶ。しかも、米ソ冷戦後、戦争を起こすのは主権国家だけではない。アルカイダのように、民族や国境をまたいで自分たちの利益や要求を他国に強制するテロ行為が増えている。

 21世紀の安全保障(セキュリティ)を考えるとき、これまでの意識を変える必要がある。非軍事面で特に重要なのが、ITと金融である。大きな金融危機の破壊力は何百兆円にものぼり、爆弾よりも威力がある。ビンラディンを追い詰めるのに最も有効だったのは、資金の封じ込めだった。その場合の戦争空間は、資金が飛び交うネット上である。ITと金融では「情報」がキーである。日本ではスパイ防止法も不完備なうえ、情報を守るという意識が薄い。危機意識のない政府と官僚こそが安全保障にとって最大のお荷物だろう。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム