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2013-02-15 10:43

プーチン大統領の指導力は著しく低下している!?

飯島 一孝  ジャーナリスト
 プーチン大統領のイメージは「国家安定の保証人」から「経験豊富な大統領」に変わってきたことが世論調査機関レバダ・センターの調査で明らかになった。大統領の指導力が、前回2期8年間務めた頃より著しく弱まってきたことを如実に示していると言えないだろうか。ロシア紙『コメルサント』(電子版)に掲載されたレバダ・センターの調査結果によると、プーチン大統領の魅力について「答えることができかねる」と回答保留にした人が26%、つまり4人に1人にのぼっている。11年1月の調査では、この数字は16%であったので、この2年間に10ポイント増えたことになる。

 さらに、2年前の調査では、プーチン氏の魅力について「決断力があり、意志の強い人物」と答えた人が34%と一番多かったが、今回の調査で一番多かったのは「経験豊富な政治家」で、30%にのぼった。また、今の大統領を「国家安定の保証人」と見る人は16%足らずで、2期目の大統領だった07年の23%に比べ、7ポイントも下がった。今回の調査で目立ったのは、プーチン氏の指導力を評価する人が前回の大統領時に比べてかなり減ったことだ。07年には指導力を認める人が22%であったのに、今回は14%と8ポイント下がっている。グラジダンキン・レバダ・センター副所長は「今後、大統領の指導力が前回の大統領時のレベルにまでアップするとは予測できない」と悲観的だ。

 一方、大統領のマイナス・イメージとして「大資本家と関係がある」と見る人が17%、「贈賄政治家と関係がある」とみなす人も16%いる、との調査結果が出ている。さらに、大統領が幹部を“始末”できないと見る人も12%いて、「汚職・腐敗に弱い」というイメージが浮かび上がった。この調査結果について、オブホフ下院議員(共産党)は「大統領の最も価値ある資質が経験だというのでは年金生活者と同じで、驚くべきことだ」と皮肉っている。また、改革派のミトローヒン・ヤブロコ代表は「大統領のイメージと人気は突然崩れる可能性がある。というのは、プーチン自身が作ったこの体制は突然死する運命にあるからだ」と批判している。

 プーチン大統領は依然としてロシアで一番人気のある政治家だが、その人気の中身が大きく変わり、今や「経験豊富」が一番の魅力だと国民はみていることになる。これでロシアという大国を指導していけるのだろうか。大統領の3期目の前途はますます多難になってきたと言わざるを得ない。
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