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2013-03-05 11:22

(連載)韓国の優れた国際政治力・対外宣伝力(2)

酒井 信彦  日本ナショナリズム研究所長・元東京大学教授
 この欧米先進国もコロッと騙されている、韓国人のウソと言ったら、それは何と言っても慰安婦問題である。6年前の2007年、先の安倍内閣の時、首相の訪米に合わせるように米国議会に慰安婦決議が出されて、結局採択された。また同年にはオランダ・カナダ・EUの議会でも同様な慰安婦決議が行われた。そしてその後も、慰安婦関係では韓国の外交攻勢は、ますますエスカレートするばかりである。

 また韓国では、歴史問題について研究し、対外発信をする国家組織を、2006年に作っている。この東北アジア歴史財団は、はじめ中国からの歴史攻勢に対抗するために作られたものであるが、現在は日本に対する攻撃を行う組織となっている。中国は高句麗や渤海を「中国」の地方政権とする歴史研究を「東北工程」として行った。韓国はこの二つの王朝とも、朝鮮人の王朝であるとしているから、脅威を感じてこれに反撃するために設けたものであるが、今や対日の方が中心であり、竹島問題で「独島研究所」という付属研究所を持ち、「東海」名称の普及活動も行っている。なお中国自身では、古くからこの種のシンクタンクとして、中国社会科学院がある。

 日本が決定的に欠けているのは、この中国・韓国の歴史を利用した、卑劣な攻撃に対抗する組織が全くないことである。もう一つは、そこで研究されたものを、対外に発信する能力である。その点においても、日本の外務省の怠惰と無能は、まさに亡国的である。尖閣諸島をめぐる、日本と中国の紛争においては、中国の報道官が日本のニュースに表れて、中国の一方的な主張を日本の国民に、ひたすら垂れ流す。それによって日本国民は、直接中国政府によって洗脳教育されているわけである。

 積年にわたる外務省の怠惰・無能は、それを許してきた自民党政治の責任である。さらに言えば、それを傍観してきた保守運動の責任でもある。安倍首相がやらなければならないのは、遅まきながらではあるが、外務省に積極的に日本の主張を発信させることと、中国や韓国にならって、歴史問題のシンクタンクを設立することである。(おわり)
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