国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2013-05-24 15:09

(連載)世界中で消されていくチェチェン人たち(1)

大富 亮  チェチェン・ニュース発行人
 なんだかいろいろな事件が起きまくっている。メモをまとめてみた。FBIが、ボストン爆破事件の容疑者の知人のチェチェン人を射殺した。自宅での事情聴取中に。このチェチェン人、イブラヒム・トダシェフ(27)は、2011年に起こったという別の殺人事件についても事情を聞かれていたらしい。まるでミステリーの導入部のような事件。5月22日のこと。調べていると、またわからないことが出てくる。共同通信の報道だと、「調書にサインさせようとしたところ、刃物を持って暴れだしたので、射殺した」という。何だそれは。そもそも刃物がすぐに取り出せるような自宅で調書とりもないだろう。そして、結果、「射殺せざるを得ませんでした」と言われても、不自然さが残る。アメリカの捜査当局は一体何をしているのだろう・・・。

 ところで、チェチェン独立派の chechencenter.info によると、トルコで、チェチェン支援者のメベット・ウンル氏が何者かに殺害された。ウンル氏はイチケリア・チェチェン共和国(つまり独立派)の名誉領事で、祈りのために事務所を出て、モスクに行こうとしていたところを、来客を装った何者かに銃殺された。犯人は逃亡。5月22日のことだ。トルコはロシアから近いためか、チェチェン難民の数も多いし、反対にロシアのエージェントもたくさん入り込んでいる。それで、過去にこんな暗殺事件がイスタンブールであったのを思い出した。何人ものチェチェン人が、白昼堂々イスタンブールで殺されているが、それらはいずれも未解決だ。今回、トルコで殺されたチェチェン支援者のウンル氏は、もともとチェチェンの血をひいているのだという。

 トルコの難民支援団体イムカンデルは、ウンル氏の殺害について「チェチェンの親ロシア派、カディロフ政権の仕業だ」と声明を出している。トルコには今もチェチェンからの難民が流入し続けている。こんなふうに、カディロフ派は海外に出たチェチェンの難民に対して暗殺攻撃を続けている。

 チェチェンでカディロフに捕えられ、その監獄から出て、生き残って、オーストリアに逃げたウマール・イスライロフという人物は、ヨーロッパ人権裁判所で自分の体験を暴露しようとしたが、2009年の1月、ウィーンで殺害された。オーストリア警察によれば、犯人はカディロフの部下のレチ・ボガチュロフという名前の男だった。ボガチュロフはすぐに姿を消した。逮捕状も出たが、今、ボガチュロフはチェチェン内務省の局長になっている。ロシア政府は、オーストリア政府からの引き渡し要求には、一切協力しようとしない。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム