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2013-07-04 10:09

(連載)省庁の設置法と行政改革(1)

緒方 林太郎  前衆議院議員
 ホームページ上である方の指摘を見ていて、わが意を得たりということがありました。それは行政改革に関して、「設置法を無くしてはどうか」という意見です。「設置法」とは、「○○省はこれこれの事項を司る」と書いてある法律で、省庁の権限の源泉です。これは非常に通なネタなのですが、中央官庁の仕事の仕方を大きく変えることになると思いますし、行政改革としては相当な効果があるでしょう。なお、この省庁の設置法を廃止すべきと強く訴えておられたのは、中川秀直前衆議院議員でした。目の付けどころが非常にいいと思います。

 上記のとおり、今の行政機構の中では、各省庁の権限は設置法で決まっています。そして、それを踏まえて政令で各局、各課クラスまで権限が決まっています。こうやって権限が定められることによるメリットは勿論あります。しかし、逆に権限争いの原因になったり、各課、各局が個別タコツボ化するがあまり、行政の硬直化を惹起したりします。省あって国なし、局あって省なしと言われるような状況は決して稀なことではありません。

 私が官庁に勤めていた当時、結構不毛な省庁間協議で権限争いをしました。時には些細な権限争いで数日忙殺されたこともあります。他省庁との協議の多い部局に勤めていた時は、仕事の2割くらいは権限争い関係だったような気がします。実は日本の役所については「一人として同じ仕事をしている人はいない」という前提に立っています。それは何故かというと、世の森羅万象をすべてきちんと切り分けられており、それに権限が割り振られているということになっているからです。だから、自分の権限の話に他局、他省庁が入ってこようとすると、「俺達のシマに入ってくるな」とばかりに仁義なき戦いが始まるわけです。

 一例を挙げると、経済産業省組織令第36条第3項に通商政策課の所掌事務として「在外公館との連絡に関すること」という規定があります。今一つ、何のことかは分かりません。しかし、在外公館自体は外務省の所掌です。20年以上前に入った規定なのですが、外務省的には歴史に残るバカ法令協議と言われているようです。これは政令レベルで決まっていることですが、権限争いが激しい中、外務省の牙城である在外公館に上手く経済産業省が食い込んでいるという例です。ただし、官僚制と権限というのは古今東西何処にでもある永遠のテーマでして、それに付随する問題はそう簡単になくなるわけではありません。(つづく)

 
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