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2014-03-28 11:02

(連載2)フランスでの極右政党躍進に思う

緒方 林太郎  前衆議院議員
 
 ヨーロッパの極右勢力の中でここまで勢力を伸張させたのはフランスの国民戦線が筆頭です。そこで、国民戦線のブリワ氏を市長に選出したエナン・ボーモン市を始め、フランスで極右が強い自治体を見ますと、その多くはいわゆる都会ではなく、いわば「田舎」です。例えば、エナン・ボーモン市は典型的な旧産炭地です。炭鉱が閉山され、製造業もサムソナイト社の工場が撤退し、現在は人口の60%は非課税世帯、失業率は17.2%、新規雇用の機会は稀です。こういった観点から国民戦線の強い地域を見ますと、共通して浮かび上がるのは地方の困窮している地域であり、極右勢力はその不満の受け皿となっていることが多いのです。私事ながら、旧産炭地が非常に身近にある私はエナン・ボーモン市から約30キロ北上したリール市にも1年住んでいたことがあり、日仏両国の閉山された地方のことを肌に感じます。

 そうした状況の中で、極右政治家の動きはどういうものでしょうか。国民戦線のブリワ氏のこれまでの政治活動を見てみますと、1995年以来同市で市議会議員をつとめ、主婦たちが通う町の市場や、午後開かれている高齢者向けのダンス教室にこまめに顔を出し、弱者として困っている人の話ををよく聞いてきたということです。これは、日本の保守系政治家の典型的なドブ板活動を彷彿とさせます。日本の国情からはあまり想像できないかもしれませんが、フランスの国民戦線のような極右勢力が根付いてくると「ドブ板選挙をやって、とても人気がある極右」が生まれてくるのです。(なお、誤解はないと思いますが、「ドブ板選挙」というのはこういう意味です。私は愛情を持ってこの言葉を使っています。)

 この「ドブ板選挙をやり」、「困窮する地方で強い」というのは、今の日本の様々な極右的動きにはないものです。日本では極右的な活動は極めて都市型で、東京を始めとする限られた都市圏でしか流行っていません。また、極右勢力の人は政治の世界に出てきても、基本的にドブ板はやらずに、いわば美しい思想とプロパガンダ(と暴力的な言動)の中だけに留まっています。そこから抜け出さない限りは国民戦線的な広がりは日本には出ないだろうと考えられます。ただ、当面そういう見込みはないとは言え、日本で極右的な勢力がドブ板選挙をやって地方で伸長してきたら要注意です。

 ちなみにフランス政情に関して付言すれば、遠からず内閣改造が予想されています。ジャン・マルク・エロー首相の交代も大いに予想されます。今回の地方選挙の結果もあり、首相の交代如何にかかわらず、改造後はバラマキ・モードに入ると予想する向きが多いようです。(おわり)
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