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2014-06-03 12:33

(連載1)拉致再調査 薄気味悪い北朝鮮

中村  仁  元全国紙記者
 日本人拉致問題で北朝鮮が全面的な調査を約束し、安倍首相が記者団に「政権にとって最重要課題のひとつだ」と語りました。犯罪者は北朝鮮という国であり、非は全面的に北側にあるのに、被害者の日本側が対等な立場で交渉し、合意文書まで発表しました。拉致被害者は北朝鮮側にいるので、こうしたやり方しかないのでしょう。

 今回の北朝鮮の出方をみると、薄気味の悪さを感じます。手のひらを返したように、これまでの態度を変え、一見、誠意ある態度をみせ、日本側に全面的に協力するそうです。北朝鮮は核のカード、ミサイルのカードなどを持ち、国際社会を困らせたと思うと、態度を改め、譲歩を引き出すということを繰り返してきました。日本に対するカードは拉致問題で、これを握っている限り、日本はすり寄ってくると考えてきたようですね。今回も、ある程度か、かなりの程度か、北朝鮮は譲歩してくるでしょう。カードを全部,切ってしまうと、北側の交渉力はなくなります。拉致カードを使い果たすことはないだろうと思って、今後の交渉に臨むべきでしょう。

 全面的な調査の結果、生存している日本人がいれば、帰国させるといい、行方不明者、日本人配偶者の状況など包括的な情報を提供するといいますから、今回の合意はまず歓迎したいと思います。菅官房長官は「したたかにやっていきたい」といっています。これまでの北朝鮮のやり方を振り返ると、日本側にはしたたかさが必要であるにせよ、官房長官がわざわざそんな発言をするのは幼いですね。こちらの手の内を明かすようなことはしないほがいいでしょう。腹の中でそう考え、黙って交渉に臨めばよいのです。「したたかさが必要だ」は、交渉に直接、タッチしないメディアや外部の識者が言うべき筋の話です。

 北朝鮮の薄気味の悪さは、最初の段階から、日本側の要求を受け入れるばかりでなく、それ以上の条件を北側が上乗せした気配があるからです。気になった点を思いつくまま列挙します。
・今回の措置を北の国内向け放送で公表した。この種の都合の悪い話はこれまで国民に伏せておくのが常だった。
・朝日国交正常化交渉担当大使は、要請があれば、訪日してもよい旨を示唆した。日本側は現時点では招請予定はないとしている。
・日本側は、調査の進捗状況を把握できるよう平壌に拠点を置く方向だ。
・日本側は、警察庁などから専門家を派遣し、調査状況をチェックする方針だ。
・北朝鮮の調査は1年を超えることはないと、日本の官房長官が語った。実際に調査が1年ですべて終了するとは、考えられない。(つづく)
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