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2014-06-11 10:05

(連載2)安全保障ー議論と現場感覚

緒方 林太郎  前衆議院議員
 私は、自衛権行使については、日本を守るために過不足なくやるべきだと思っていますし、基本的な考え方はこれまで何度となく述べてきました。そして、自衛権の強化が結果として抑止力となり、実際の戦争を予防する効果があることについても理解があります。

 ただ、その一方で「自衛隊が出ていけば、今よりも確実におぞましい経験をする事があり得る」というのも事実です。そこを目隠ししてはいけません。最近の政権からの提案の中には、ヒロイズムや理想が先行して、少しリアリティに欠けたものが見られるようになっていることを懸念します。そして、内閣官房で現在の自衛権議論をリードしている外務省出身を始めとする(エース級の)官僚の皆様の中にも、そういう所がありはしないかと思います。

 厳し目の途上国の経験がなく、外交官として欧米ばかりを回っていると、そういう「綺麗な議論」だけでやっていけます。しかし、そういう方ばかりで議論する安全保障の議論には何処かリアリティがありません。外務省に奉職している時代、よく「なんで、アフリカ在勤経験のない幹部だけでアフリカ政策を議論しているのだ。バカらしい。」とボヤいていました。また、外務省の人事を司る官房長に殆ど厳しい途上国経験のない方が就いたことがありました。「あなたに『途上国に行ってくれ』と言われたくないと思う人は多いだろうな」と思ったものです。それと同じことです。

 この手の紛争に関する話は、心の中に常に「幾許かの抑制」を持って議論する必要があります。自衛権強化推進派である私でも最近特にそう思います。その「幾許かの抑制」が何処かに行ってしまって、「綺麗な法的議論」だけが横行するのはダメです。最後に古代ギリシャの戦史家トゥキディデスの言葉を一つ。「The young men went off to the war with enthusiasm - because they had never been in a battle.」、直訳すると「若者は熱狂して戦争に出ていった。何故なら、これまで戦いの中にいたことがないからだ。」。経験のなさから来る熱狂には、何処か違和感を覚えずにはいられません。(おわり)
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