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2014-06-12 11:18

(連載2)G7サミットの黄昏

中村  仁  元全国紙記者
 世界経済については「成長と雇用の下支えは優先事項である。強固で持続可能かつ均衡ある成長を支えるため、さらなる取り組みを行う」と、宣言文はうたっています。実際はどうでしょうか。6月6日の朝刊1面には、サミットの記事と並んで「欧州がマイナス金利ー欧州中央銀行が初の措置」が報道されています。民間銀行が中央銀行に余っている資金を預けると、逆に金利をとられる異例中の異例の措置です。デフレ脱却のための大胆な措置とみるのか、そこまでしないと経済状況が好転しないほど実態は悪いのか。恐らく後者でしょう。

 朝日新聞は社説で「ロシアや中国との距離を狭め、世界を安定させる共通利益の価値観を広げる。その知恵を絞るサミットへと、再出発してもらいたい」と主張しています。「共通利益の価値観」というこなれていない表現はさておき、ではどう再出発すればいいのでしょうか。毎日新聞は「G7には今後、中ロを建設的な対話に引き込んでいく一層の努力が求められる」といいます。その通りです。そのためにどのような努力が必要なのでしょうか。分らないからこそ先進主要国は困り果てているのです。

 思いつくままに、感想を述べますと、以下のようになります。
・世界は、孤立した大国(中ロ)を含め、いくつかのグループに分裂した状態が続く。まとまりのない国際社会となり、互いに中傷、非難しあう。
・先進主要国も、市場経済化とグローバリゼーションの行きすぎで傷ついている。民主主義も決められない政治、財政危機を招く傾向を強めている。新興国を卒業することを期待されていたタイで民主民主主義が行き詰まり、軍部が実権を握った。中ロはそこを見て、強気にでている。
・日本、米国のゼロ金利に続き、欧州中銀が選択したマイナス金利は、主要国経済の劣化を示している。主要国経済はどこかが狂ってしまっている。
・どこの国も個別的利益をますます優先する。中国はエネルギー不足がさらに深刻になり、海洋権益の拡大による原油の確保に奔走する。ロシアは周辺地域に勢力圏を広げる衝動にかられている。欧米も個別の利害により、ロシアへの制裁で一致できない。

 ほかにもいろいろあるでしょう。先進主要国が共有していると胸を張る自由と民主主義、市場経済自身が病に蝕まれております。まず、みずからの病を克服し、やはりこれが最良、最強の国家モデルだと他国の指導者および他国民を納得させることがとにかく必要だと思います。(おわり)
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