国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2014-07-23 10:56

今こそ、ウクライナ紛争の全面停止に全力を挙げよ

飯島 一孝  ジャーナリスト
 ウクライナ東部でマレーシア航空機が地対空ミサイルに撃墜され、乗客乗員298人全員が死亡した事件で、ウクライナやロシアは互いに相手を非難する中傷合戦を展開している。だが、そんなことをしている場合ではない。今こそ、双方が国際社会と一体となり、全面停戦と和解に向け全力を挙げるべき時である。7月18日に開かれた国連安全保障理事会で、原因究明の調査開始と調査団の現場受け入れを求める声明が発表された。これを受け、プーチン露大統領はウクライナ政府と親ロシア派勢力に対し、停戦に応じるよう呼びかけた。撃墜で大量の犠牲者がでたオランダやオーストラリアの強い批判を受け、全面停戦しか道はないと判断したものとみられる。

 一方、ウクライナのポロシェンコ大統領は「ウクライナに対する外部の侵略は欧州と国際社会の安全に対する脅威だ」と述べ、ロシアの関与を非難。また、オバマ米大統領も「親露派はロシアから支援を受けている」と、ロシアを強く非難し、ロシアの責任を追及する考えを示した。さらに、ウクライナ保安庁は親露派メンバーとロシア情報機関幹部との間の交信を傍受、それを公表して、親露派勢力がミサイル発射を実行したと決めつけている。だが、ロシアの通信社電などによると、最新型の地対空ミサイル「ブク」(ブナの意味)による撃墜は明らかだが、どこから発射されたかは不明だとしており、責任追及は専門家がじっくり調査してから行うべきだろう。

 それよりも今直ちにやるべきことは、まずウクライナとロシアの指導者が陣頭指揮して、即時停戦を実現し、親露派勢力の武装解除を行うべきではないか。その上でロシア、ウクライナの責任者と親露派勢力の代表者、それに米欧の責任者らが集まり、国際的な和平会議を開いて具体的な方策を決めることだろう。

 今のように、米国や欧州がロシアに対する経済制裁をエスカレートさせ、ロシアの手を縛る方策を取り続けても、ロシアの反感を買うばかりだ。紛争の過程で300人近い乗客乗員の犠牲者が出たのは誠に残念だが、このまま紛争が続けば、いたずらに犠牲者が増える一方だ。今こそ、国連を中心に国際社会が一致団結して紛争の全面停止に全力を挙げるべきだ。
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム