国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2014-08-27 11:07

(連載2)温暖化抑制で豪雨災害防げ

中村  仁  元全国紙記者
 自然災害の専門家は、一歩、距離を置いて、今回の災害を見つめています。読売の23日の特集で「土砂災害の起きるような場所に、家がたくさん張り付いていた。都市部の住宅密集地が山の近くまで広がっていた」、「気候変動の影響もあって、局所的、集中的に豪雨になる。都市部も無縁ではない。地下街、地下鉄は冠水する危険がある」、「異常気象のもとでは、いままで数百年、住んできたところも危険になった。都市計画のありかたを変えるべきだ」など、耳を傾けたくなる指摘を3人の教授が語っています。

 「異常気象」の話がでてくれば、「地球温暖化とCO2排出抑制」について考えなければなりません。朝日新聞の社説は「猛烈な雨は増加傾向にある。温暖化の影響が疑われる」と、ここまでは指摘しました。産経は「局地的な豪雨による災害が相次いでいる。地球温暖化やヒートアイランド現象の影響がありうる」と主張しました。読売は「生かされなかった過去の教訓」(21日)、「安否確認と被災者支援を急げ」(26日)と、2回も社説を書きながら、温暖化の問題にすら触れおらず、わざわざ社説で取り上げる必要があるのかなと思うことばかりです。

 朝日は温暖化抑止に深入りすると、全基が停止中の原発の稼動に触れざるを得なくなるので、逃げたのかもしれません。読売は社論では「再稼動を急げ」なのに、どうしたことでしょうか。日本は原発の穴埋めを石炭、石油火力でしており、CO2の排出量は増え続けています。原発が部分的に再稼動しても、この勢いは止まらないでしょう。日本の国際公約は後退するばかりで、打つ手はないといった状況です。安倍政権にとっては、不都合な自然災害の多発です。だからといって本質的は問題を素通りしてはいけません。

 自然災害というより、人類の無作為による必然的結果が問われているのです。国立環境研究所は「極端な高温、大雨が長期的に増加している。平均気温があがり、水蒸気が増え、大雨の頻度が増えている」と指摘しています。国連の温暖化対策の交渉では「産業革命以前の基準で、2℃以内の上昇に抑える」ことを目標にしています。世界気象機関は「地球を守ろうとするなら、もう時間はなく、CO2抑制のために、緊急の行動が必要だ」と警告しています。悲惨な災害を目の前にして、もっと本質的な危機に眼を向けるべきでしょう。報道機関は特にそうです。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム