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2014-11-18 12:22

正解は消費税も解散も先送り

中村  仁  元全国紙記者
 安倍首相の解散・総選挙は自民党とって「信を問う」には、最も難しい時期にぶつかりましたね。7-9月期のGDP(国内総生産)速報値が予想外のマイナス成長となりました。成長率の低下はともかく、マイナスはサプライズでしたね。安倍政権とっての正解は、消費増税も解散も先送りなのです。「望外のチャンスがきた」と、野党を喜ばせてしまうのでしょうか。

 わたしは何度もブログで、消費税に関する民自公の3党合意(2012年6月)には、時期の設定に問題があると主張してきました。「2014年4月に8%、2015年10月に10%」という設定です。予算編成が絡みますから、2014年12月には、15年10月の増税実施の是非を判断しなければなりません。8%実施からわずか9か月間で税率引き上げの影響を見極めねばならない難しさが伴います。当時は野田政権で、自民党(谷垣総裁)は「どうせ困るのは民主党政権だろう」という気持ちだったのでしょう。

 それが本当に、今度は自民党が困ることになってしまったのです。7-9月期のマイナス成長は、過度に悲観することはないという指摘もあります。個人消費回復の鈍化、設備投資、住宅投資の落ち込みがあるにせよ、最大の原因は在庫投資の大幅な減少だというのです。在庫投資を除くとプラス成長で、その在庫調整が進展し、10-12月期にはプラス成長に戻るとの予測もあります。そうなるかどうかはともかく、消費増税後の景気判断がもっとも難しい時期が今です。政治空白を作らず、消費税先送り後の財政再建の練り直し、景気てこ入れ策を考えることが正攻法です。「景気が心配になってきたこの時期になぜ、師走の忙しいこの時期になぜ、来年度予算編成に当たるこの時期になぜ」と、思う有権者は多いでしょう。

 安倍政権のシナリオは明らかに狂ってきました。「民主党も消費増税の先送りに転向し、安倍政権にとっての最大の争点が消えてしまった」、「マイナス成長の発表があり、アベノミクス(安倍政権の経済政策)の成果を掲げて、信を問うには無理な時期にぶつかってしまった」、「消費税先送りで財政再建計画が狂い、補正予算の圧縮、大胆な歳出削減を回避できなくなり、選挙がやりにくくなった」、「野党に再編の動きが急で、寝た子を起してしまった」など、三重、四重に誤算が重なってしまいました。「とにかく今のうちに解散」が初めにあり、「その理由、争点は後づけでいこう」という戦術に安倍首相自身が「まずかったかなあ」と、思っているかもしれませんね。
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