国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2015-03-19 11:08

(連載2)著名ジャーナリストの著作権問題

中村  仁  元全国紙記者
 池内さんが腹立たしく思っているのは、生半可な情報を集め、欧米あたりからの見方をまぶして、もっともらしい国際情勢分析を書いたり、しゃべったりする最近の風潮が有害だからでしょう。特に情報源が少なく、分析が不足している中東、アラブ問題で目立つのでしょう。必死になって情報源、人脈を開拓してきた本物の学者ほど怒りが強いのでしょう。

 著作権法には、引用に関する規定があります。条件を満たせば、他人の著書からの無断引用が認められ、著者に直接、引用の許諾を求める必要がありません。「引用箇所を明示する」、「出所を明示する」、「引用部分が従、本文が主である」などです。学問研究、文化の向上のため、自説を補強するために、法的な便宜を図っているのです。池上さんの著書には、その明示がありません。もっともこの法律には翻案権の規定もあります。既存の著作物のアイディアを用いて、あらたな著作物を創造することは認めているのです。池上さんの本は、他人の著書、新聞、雑誌を参考にして、時事問題のまとめ本、要約本を出版したとすれば、著作権法違反にあたらないとの解釈はできるかもしれません。

 一般論はそうであっても、最先端をいく池内さんの著書の内容がどこかに取り込まれていることがはっきりすれば、微妙ですね。学者によっては、引用箇所をいちいち明示するのが面倒なので、巻末に参考文献を列挙しています。池上本はそれすらないのですから、どうなのでしょうか。こんな記事を書く気になったのは、パソコンを使い、他人の著書、論文を取り込むコピー・ペースト(コピペ)がはやっているからです。パソコンによるコピペは指導教官から厳しく禁止されているし、検索ソフトで発見できるケースもあるでしょう。紙(書籍、雑誌)の場合は、甘いと思います。

 池内さんは、ある経済雑誌のイスラム特集にもクレームをつけています。外部の執筆者(仮名)の執筆・編集による特集のなかに、最新刊のご自分の著書からの転用が多数あったというのです。引用の明示もなく、黙認できないと、主張しています。雑誌には自社編集ではなく、この手の外部編集による安直な特集が少なくありませんね。膨大な数の読者を持つ池上さん、著書の執筆方法を著作権法との関係で公開してもいいのではないですか。参考文献や出所を明記したほうがいいではないですか。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム