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2015-04-17 06:47

安倍は中国にすり寄る翁長を戒めよ

杉浦 正章  政治評論家
 首相・安倍晋三は今日の沖縄県知事・翁長雄志との会談で中国国家主席・習近平に教えてもらったあの方法を真似すれば良い。冒頭の写真撮影で向き合った際に靴下の臭いを嗅いだような表情をするのだ。日本中が笑い転げる。翁長の言動を見ると、まさに「沖国(ちゅうごく)国家主席」だ。中国で首相・李克強と会談した興奮もさめやらぬのか、那覇空港で「アジアのダイナミズムを取り入れる。自立の道を歩む重要な局面だ」と「沖縄自立論」まで展開した。李克強は明らかに翁長の立場を理解した上で、対日分断の絶好の機会ととらえて一知事と会談したのだ。翁長はこれに応ずるかのように「沖縄はかつて琉球王国として、中国をはじめ、アジアとの交流の中で栄えてきた歴史がある。福建省に新たな自由貿易試験区が設けられると聞いているが、ぜひ、沖縄との交流も促進させていきたい」と発言している。沖縄が独立国であったことに言及して、巧みに中国に媚びを売ったのだ。この会談を見て、前防衛相・小野寺五典の名言を思い出した。北京で中国要人と会談した鳩山由紀夫が「沖縄県・尖閣諸島は日中間の係争地だ」との認識を示したことについて、「久しぶりに頭の中に『国賊』という言葉がよぎった」と漏らした、あの発言だ。

 その論法を踏襲すれば、「久しぶりに『売国』という言葉が脳裏をよぎった」となる。その鳩山が最近何をしているかと言えば、翁長への大接近だ。「尖閣列島は日本が盗んだと言われても仕方がない」との迷言も吐いた鳩山は、今度は「知事を支える」と明言している。その鳩山に加えて、翁長の基地反対闘争には、共産、社民両党など左翼政党は言うに及ばず、革マル派までが参加している。翁長が共産党とツーカーであることは言うまでもない。さらに注目すべき点は、石原慎太郎がテレビで「反対派に中国の資金が入っている」と警鐘を鳴らした点だ。これを裏付けるように今週の「週刊文春」によると、中国のシンクタンク「中国社会科学院」最高顧問・載汝為が「翁長が知事在任中に琉球独立の流れを作ることが必要だ。共産党幹部の中には翁長知事を『沖縄の馬英九』と呼ぶものもおり、期待は大きい」と述べているのだ。台湾総統・馬英九は就任後に「統一という選択肢を排除するものではない」と中台統一論を述べている。「翁長馬英九論」が中国に存在することは、翁長を“味方”だと思っている証拠で、実に興味深い。

 いくら時代錯誤でも、中国が本気で米軍の最重要基地がある沖縄の「独立」を可能だなどとは考えていまいが、安倍政権揺さぶりにはもってこいの“人材”として、翁長の“すり寄り”を逆用しているのだ。中国は国柄を背景にして極めて長いスパンで国家戦略を考える。今あり得ないと言っても、将来の国際情勢が変化すればありうることになることまで視野に入れる。今まいた種が、将来芽を吹けば良いのだ。その対象が紛れもなく翁長になっている。石原の危惧(きぐ)する中国資金は様々な形で反基地闘争に投入されていると見るべきであろう。また今後は特殊工作員が潜入して、基地闘争で過激な動きを仕掛ける可能性も否定出来ない。公安当局は見張りを一層厳重にするべきだろう。

 こうしてまるで沖縄の「沖国化」を目指すだけあって翁長は、こともあろうに自分の県への領海侵犯を繰り返す中国にこびを売り、反対闘争を有利に運ぼうという、“禁じ手”で対応している。先に官房長官・菅義偉と翁長の会談を政治家と政治屋の会談と書いたが、安倍・翁長の今日の会談も政治家と政治屋の差が際立つものとなろう。翁長のスタンスは目に見えるようである。後で「安倍にこう言ってやった」と反対闘争を盛り上げる口実作りに専念するのだろう。菅を「上から目線」「政治の堕落」などと口を極めて批判したのは、反対闘争扇動につなげる政治屋の思惑があるからに他ならない。政治家としての安倍は、こうした挑発に乗らず、国の安全保障上なぜ普天間の移転が必要なのかをじゅんじゅんと説けば良い。翁長の好きな中国への抑止力が今ほど必要なときはないと、その理由を説明するのだ。「馬の耳に念仏」だけでなく「犬に論語」「兎に祭文」「牛に経文」と思って、辺野古基地の必要性をイロハのイから教えるのだ。翁長が反基地闘争目線なら、安倍は極東の安全保障目線で十分だ。そして上から目線の意味などはさらさらない「粛々」と移転を推進すれば良い。
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