国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2015-07-08 11:37

(連載1)安保法制の本質的なところについて

緒方林太郎  衆議院議員
 先日、平和安全特別委員会で4度目の質疑に立ちました。冒頭、山谷海洋政策担当相に対して、歴史認識について聞きました。今回の安保法制は、これまでよりも海外に自衛隊派遣を行うことになり、場合によっては交戦時の現場、周辺にも出ていきます。そういう中、先の大戦に対してどういう認識を持っているのかというのはとても重要だということで、その辺りの認識が曖昧な山谷大臣に伺いました。

 私の考えを述べておきますと、先の大戦は国策を誤った侵略戦争であったと思っています。その反省に立つことは、常に大事なことだと思います。まず、そこはしっかりと押さえたいと思います。その上で日本はきちんと戦後処理をやってきました。したがって、戦争状態や不正常な状態にあった国との関係で現在生じている請求権裁判については、これに応じる必要は無いとの認識です。山谷大臣は「侵略戦争」、「国策を誤った」という言葉について答弁をしたがりませんでしたが、最終的にはそれを認めたということだと理解しました。また、東京裁判については、山谷大臣は以前「受け入れているのは刑の宣告、執行のみであり、裁判全体ではない」という主張をしておられましたが、少なくとも国務大臣としては「受け入れている裁判とは東京裁判全体であり、国と国との関係でそれに異議を唱えることはしない」ということまでは答弁しました。ただ、それは国務大臣としてであり、退任後はまた別のことを言うことを匂わせる答弁でした。

 その後、南シナ海情勢について聞いています。中国が様々な人工物を作っている幾つかの環礁については、あれは満潮時には海に沈む低潮高地だと聞いています。低潮高地は、基本的に領海を有しません。上にどんな人工物(滑走路、レーダーサイト)を作ろうともそれは変わりません。なので、代表的なFiery Cross Reef、Subi Reefについては低潮高地であることを確認してください、と岸田外相に問いましたが、答えは「分からない」とのことでした。

 今後、南シナ海で警戒監視活動に協力を求められるでしょう。その際、現地情勢として「島なのか、低潮高地なのか」を正確に把握していなければ、今後のありうべき活動に差し支えると思います。最後は「南シナ海に領海に属さない地域はある」、こんな当たり前のことしか答えがありませんでした。中国との関係にそこまで配慮するのか、と若干驚きました。その後、哨戒機P3Cを南シナ海に出すことは念頭にあるのか、という問いもしましたが、これは「具体的な計画は無い」とのことでした。これはさすがにそういう答弁だろうと思います。(つづく)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム