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2015-08-24 12:49

中国と韓国にかかると意味が逆になるワイツゼッカー演説

倉西 雅子  政治学者
 ドイツの戦後を語る時、しばしば引用されるのが、ワイツゼッカー大統領による「荒れ野の40年」と称される演説です。この演説において特に注目されたのが、「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる」とする件です。

 ”悪しき過去の行為を直視しない者は、現在の悪しき行為をも見逃す者となろう”と云う意味であり、過去の悪行を正直に認める勇気こそ、現在の悪を防ぐ力となると述べています。過去の悪行とは、ナチスの非人道的行為を指しており、”過去の悪”と”将来の善”とは、事実の自己認定を介して因果関係を構成しています。言い換えますと、過去の悪を認める行為の行く先には将来の善が待っているのです。一般論、あるいは、歴史の教訓として誰もが納得するところですが、中国や韓国にかかりますと、この格言とも言うべき件も、意味が逆になってしまうようなのです。

 中韓の両国が、”南京大虐殺30万人説”や”慰安婦強制連行20万人説”といった過大に脚色された説を持ち出しては、”事実として認めよ”と声高に対日要求を繰り返す背景には、戦後補償や賠償の他に、現在、自らが行っている悪しき行為を隠す意図があるのではないか、とする憶測があります。中国を見ますと、チベットや東トルキスタン等に対する侵略行為のみならず、近年では、覇権主義的な海洋戦略等が、周辺諸国と深刻な摩擦を引き起こしております。韓国もまた、竹島の不法占拠のみならず、日本国に対する侵害行為を重ねてきました。特に韓国では、対日批判に際して好んでこのフレーズが使われるそうですが、現在における両国の悪行を考慮しますと、両国とも、”現在の悪しき行為を見逃させるためには、過去に目を閉じさせた方が良い(真実の実証的追求をさせない…)”を実践しているように思われるのです。ワイツゼッカー大統領の演説は、あくまでもドイツ国民に向けられておりますが、両国は、日本国に対してそれを要求することで、意味を逆転させてしまっているのです。

 ドイツのメルケル首相は、歴史認識問題に利用されることを警戒して、中国の戦勝行事への不参加を表明しているそうですが、同一の文章であるにも拘わらず、全く意味が逆になる国に対しては、細心の注意を払う必要があります。気が付いた時には、窮地に立たされているかもしれないのですから。中韓の要求に従いますと、結局は、現在の悪を容認することにもなりかねませんので、ワイツゼッカー演説は、元の意味に即して素直に理解すべきと思うのです。
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