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2007-02-06 10:06

連載投稿(1)中国の「歴史認識」について

中兼 和津次  青山学院大学教授
 先日開かれたグローバル・フォーラム主催の「日中対話:日中関係とエネルギー・環境問題」に出席した。あいにく昼から会議があり、午前中の報告を聞いただけで失礼させていただいたが、日中関係にやや明るい兆しが見え始めた今日、こうした「対話」が行われたこと自体、大きな成果だと思われる。中国側の報告者は全員「東アジア共同体」の構築と日中の連携関係を強調していた。基調報告をした蒋立峰日本研究所所長は、「大和」を求めて日中が協力すべきことを訴えていた。 私としても、日中が戦艦「大和」のように攻撃的でついには沈没してしまうことなく、恒久的な、同時に建設的な「大和」であって欲しいと切に願うものである。

 折から日中間で「歴史の共同研究」が始まり、来年6月を目処に共同研究の報告書がまとめられるという。ここでも日中の新しい関係を探る一歩が始まったといえるだろう。どのような成果が出るのか、日韓の歴史共同研究のように、いたずらに対立面だけが際だったものにならないのか、不安と同時に、しかし一面では大いに期待して見守っていきたい。

 中国の学者たちと、とくに公式の場で議論するとき、よく「すれ違い」を感じることがある。私は歴史学者ではないが、たとえば彼らが日本の「歴史認識」を問い質そうとするとき、いつもある種の違和感を感じる。中国は日中のこの100年の関係をある固定した歴史観で見ているのに対して、われわれは一般論として語ろうとする。「日清戦争(中国語では甲午戦争)以来日本は侵略的性格を露わにして・・・」と中国側がいうのを聞くと、ついつい「それでは中国は侵略的ではなかったのですか?」と聞きたくなる。土台、「日清戦争」自体も下手をすれば「小国」日本が「大清」に敗れてもおかしくない戦争だった。また、中国の人が日本の指導者に対して「歴史を鑑みとして」というのは、「日本は中国侵略と戦争責任を認めなさいよ」という意味にほぼ等しいが、われわれが「歴史を鑑みとして」というとき、もちろんそのことも含まれるが、もっと一般的に、たとえば中国によるヴェトナム侵略(1979年)や、朝鮮戦争への関与、より正確には金日成による朝鮮半島統一という軍事的野望への加担に対する反省なども含まれるべきだと考える。(つづく)
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