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2017-01-23 16:22

トランプ大統領就任演説

倉西 雅子  政治学者
 昨日、1月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代アメリカ大統領に就任しました。選挙戦における“暴言”のみならず、大胆な政策転換を打ち出したことで、アメリカのみならず世界各国が戦々恐々となる中での就任式でしたが、その就任演説を聴いてみて、あまりに真っ当な内容に拍子抜けした人々も少なくなかったことでしょう。

 トランプ氏の就任演説を貫く基調は、“国の支配者は国民”にあります。ワシントンの少数者による既得権層のための政治からアメリカ国民のための政治へと転換させることこそが、トランプ政権の使命と訴えているのです。この転換方針は、考えようによりましては、前任者のオバマ大統領以上に大胆な“チェンジ”となります。「本当に大事なことは、どの党が政権を握るかではなく、国民によって政府が支配されているかどうか」であると述べ、政党の垣根をも取り払った国民の政治をも目指しているのですから。当演説では、民主主義の基本原則とそれへの回帰を国民に分かりやすく語りかけており、リンカーン大統領を尊敬する氏の心情をも表しています。

 トランプ氏に関しては不安要素も多く、就任後、民主主義、自由、法の支配といった諸価値を擁護するのか、国際社会が無秩序になるのではないか、あるいは、独裁者として君臨するのではないか、といった懸念の声も聞かれます。日本国を含め、マスコミ報道は至って冷ややかであり、就任演説に対しても、紙面に歓迎ムードの記事が並んでいるわけではありません。しかしながら、一種の焦りさえ感じさせるマスコミの報道ぶりは、案外、同演説が、“国家の支配者は国民”という、民主主義の名の下で世論の主導権を握りたいマスコミが最も恐れており、避けて通りたい“民主主義の本質”に言及しているからかもしれません。

 トランプ政権については、果たして言行一致となるかは今後の政策運営を見なければ分からないのですが、少なくとも、就任演説に対しては、正当な評価があっても良いのではないかと思うのです。
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