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2017-11-11 13:22

北朝鮮の対日攻撃に集団的自衛権違憲論者はどのように対応するのか

倉西 雅子  政治学者
 朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて、自暴自棄に陥った北朝鮮が、日本国に対して直接にミサイル攻撃を加えるのではないか、とする憶測も強ち否定はできない状況となりました。こうしたシナリオもあり得る中、集団的自衛権を違憲とする解釈を支持する人々は、どのように対応すべきと考えているのでしょうか。

 集団的自衛権を憲法違反とする人々の多くは、一先ずは個別的自衛権は認めておりますので、自衛隊のみで対処せよと、主張するかもしれません。しかしながら、この説に従えば、日本国は、北朝鮮を相手として防衛戦争を戦うこととなります。ところが、北朝鮮の主たる攻撃手段は核弾頭を搭載したミサイルですので、自衛隊が敵地攻撃能力を保持しない限り、日本列島は、一方的な核攻撃に晒されます。果たして、違憲論者は、この状況を良しとするのでしょうか。個別的自衛権のみを容認する立場からの論理的帰結は、敵地軍事施設を破壊し得るほどの自衛隊の軍備増強しかあり得ません。そして、この帰結は、中国やロシアといった諸国との間の戦争についても適用せざるを得ません。何故ならば、特に中国は日本国の主要都市に照準を合わせた核ミサイルを既に配備しているとされています。さらに、中ロが軍事同盟を組む場合には、日本国の自衛隊は、中ロ両国の軍事力に匹敵するほどの武力を一国で備えなければならないのです。となりますと、日本国は、膨大な予算を軍事費につぎ込む必要が生じてきます。

 あるいは、もう一つの方法として考えられるのが、政府による憲法の規定を越える超法規的な措置を認めることです。そしてこの超法規的措置とは、違憲論者の云う“憲法に禁じられている集団的自衛権”を行使する、即ち、日米同盟の発動のために採られることとなるのです。

 集団的自衛権違憲論は数ある憲法解釈の一つに過ぎないのですが、違憲を唱える人々は、北朝鮮問題について国民に対して具体的な対応を詳細に語るべきなのではないでしょうか。今日、日本国が防衛、並びに、安全保障上の危機を迎えている中、なおも沈黙を続けているとしたら、本心においては日本国を見殺すつもりだったのではないかと疑われても、致し方ないのではないかと思うのです。
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