国際問題 外交問題 国際政治|e-論壇「議論百出」
ホーム  新規投稿 
検索 
お問合わせ 
2017-11-25 15:55

(連載2)シンガポールについて

真田 幸光  大学教員
 但し、シンガポールでは、すべての国民に教育機会を与え、国民全体のレベルを上げるというような人材開発が進められているというよりも、国力を増強する為、計画経済の下、優れた人材に優れた人材開発、教育の機会を与え、国力を増強すると言う形での人材開発が推進されている国と見られます。また、上述した「所得格差」はこうしたことを一つの背景として顕在化しているとも言えます。また、シンガポールの歴史の中では、リークワンユー元首相は、「上位の遺伝子を持つ人同士の結婚を推奨した」などと言った話もあり、国家的な動きとして、こうした人材開発が推進されたことを窺わせる話も残っています。

 さて、そのシンガポールの積極的な人材開発でありますが、様々な国際ランキングでは、教育、医療、経済競争力に於いて高位に順位付けされており、国力増強という視点からは、実績を残していると言えましょう。そして、その人材の源となる国民の構成を見ると、この国は日本のような単一民族国家ではなく、多文化主義及び文化多様性がある国であります。

 シンガポールの民族構成を見ると、華人(約75%)、マレー系(約15%)、インド系(約10%)及びその他若干のユーラシア人に大別出来、その大部分の人々は2言語を操る国民であり、共通語及び第2母語として英語を使用していることから、このグローバル時代にはあった人材が存在していることとなります。このように実力のある華人によってリードされ、今日にまで至ったシンガポールは、その計画経済政策姿勢が当たり、現在は経済的繁栄をする国となっていますが、貧富の格差が生まれると共に、やや抑制された市民的自由と政治的権利や制限された言論の自由と言った特徴も見られ、シンガポールを、「準独裁政治体」にある国家と看做すべきであると言った厳しい見方もあります。

 尚、このシンガポールは、国際社会に於いては、東南アジア諸国連合(ASEAN)原加盟国5箇国のうちの1国であり、また、アジア太平洋経済協力(APEC)の事務局設置国、東アジアサミット、非同盟、イギリス連邦加盟国でもあります。そしてまた、上述したように「光と影」を持つシンガポールではありますが、シンガポールの国際社会に於ける影響力、発言力は明らかに増していると認識しておかなければならないと思います。(おわり)
お名前は本名、またはそれに準ずる自然な呼称の筆名での記載をお願いします。
下記の例を参考にして、なるべく具体的に(固有名詞歓迎)お書き下さい。
(例)会社員、公務員、自営業、団体役員、会社役員、大学教授、高校教員、大学生、医師、主婦、農業、無職 等
メールアドレスは公開されません。
ただし、各投稿者の投稿履歴は投稿時のメールアドレスにより抽出されます。
投稿記事を修正・削除する場合、本人確認のため必要となります。半角10文字以内でご記入下さい。
e-論壇投稿の際の注意事項

1.投稿はいったん管理者の元へ送信され、その確認を経てから掲載されます。
なお、管理者の判断によっては、掲載するe-論壇を『議論百出』から他のe-論壇『百花斉放』または『百家争鳴』のいずれかに振り替えることがありますので、予めご了承ください。

2.投稿された文章は、編集上の都合により、その趣旨を変えない範囲内で、改行や加除修正などの一定の編集ないし修正を施すことがありますので、予めご了承ください。

3.なお、下記に該当する投稿は、掲載をお断りすることがありますので、予めご了承ください。

(1)公序良俗に反する内容の投稿
(2)名誉や社会的信用を毀損するなど、他人に不快感や精神的な損害を与える投稿
(3)他人の知的所有権を侵害する投稿
(4)宣伝や広告に関する投稿
(5)議論を裏付ける根拠がはっきりせず、あるいは論旨が不明である投稿
(6)実質的に同工異曲の投稿が繰り返し投稿される場合
(7)管理者が掲載を不適切と判断するその他の理由のある投稿


4.なお、いったん投稿され、掲載された原稿の撤回(全部削除) は、原則として認めません。
とくに、他人のレスポンス投稿が付いたものは、以後部分的であるか、全部的であるかを問わず、いかなる削除も、修正もいっさい認めません。ただし、部分的な修正については、それを必要とする事情に特別の理由があると編集部で認定される場合は、この限りでありません。

5.投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利を含む)およびその他の権利(第三者に対して再許諾する権利を含む)につき、それらをe-論壇運営者に対し無償で譲渡することを承諾し、e-論壇運営者あるいはその指定する者に対して、著作者人格権を行使しないことを承諾するものとします。

6.投稿者は、投稿された内容をその後他所において発表する場合は、その内容の出所が当e-論壇であることを明記してください。

 注意事項に同意して、投稿する
記事一覧へ戻る
グローバル・フォーラム