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2018-09-03 12:18

(連載1)台湾の国家承認

緒方 林太郎  元衆議院議員
 今年に入ってから、ブルキナファソ、ドミニカ共和国、エルサルヴァドルが、台湾(中華民国)承認から北京(中華人民共和国)承認に切り換えました。台湾承認国は、もう17ヶ国にまで減っています。「国家承認」とは、どの政府を中国の正当政府と認めるかという事でして、台湾と北京を同時に承認する事は、双方とも受け入れていません。台湾か北京かを選択する事が求められます。

 台湾承認国で多いのは南太平洋の島嶼国、カリブの島嶼国で、それに若干のラテンアメリカの国くらいです。例えば、アフリカでは、20年前くらい台湾承認国は結構多かったのです。記憶しているだけで、セネガル、ブルキナファソ、リベリア、ガンビア、ギニアビサオ、ニジェール、チャド、サントメプリンシペ・・・15くらいあったはずです。しかし、今となってはスワジランドだけになりました。

 私がセネガル在住時、セネガルは台湾承認でした。当時の相場は、台湾を承認すると手付金で大きな国なら100億円、小さな国なら50億円でした(なお、セネガルは「極めて大きな国」に入ります。)。裏金っぽい所がありまして、大体、大統領の私腹を肥やすのに役立っていました。その後、ほぼ3、4日に1回のペースで台湾の援助案件が新聞に出ていました。援助をエンドレスに継続する事が、承認を繋ぎ止める唯一の手法だったわけです。ひどいケースでは、アフリカの某国大統領が台湾に「大統領選挙の費用出して」と依頼し、さすがに台湾が断ったら、スパッと台湾承認から北京承認に切り換えられたという悲しい物語があります(なお、その大統領はその後クーデターで放逐されましたが)。今回、エルサルヴァドルもどうやら港湾開発で巨額の資金を要請したものの、台湾側が断った事がきっかけの一つになっているようです。

 20世紀の内は、札束で頬を叩く競争で台湾が勝っていたのですが、もう北京は札束合戦に負けなくなったという事なのです。馬英九政権の時代は、北京による承認引っぺがしオペレーションは沈静化していましたが、蔡英文政権になってから、これみよがしに北京の引っぺがしオペレーションが強化されています。もう、台湾はこの承認獲得合戦は止めた方が良いと思います。まずもって、新規で台湾承認になる国はもう出て来ないと見ていいでしょう。(つづく)
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