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2019-03-07 11:37

(連載1)米国と中東情勢について

真田 幸光 大学教員
 米国のトランプ大統領の行動は読みにくく、また、常人とは異なるとの声もあります。私もそのように感じることは多いです。しかし、多分、トランプ大統領自身にとっては、「全て論理が通っている。」と思っていると思われ、だからこそ、トランプ大統領は、誰に何を言われようと、彼自身の信念に基づいて行動していると私は見ています。そうした意味では、信念の人とも言えましょう。

 そして、例えば、トランプ大統領が軍事問題の側近として信頼してきたマティス国防長官でさえも、「シリアからの米軍撤退、更にアフガニスタン駐留米軍の大幅削減を検討する。」と言うトランプ大統領の考え方に異論を唱えたことから、トランプ大統領は、マティス国防長官を事実上の解任としました。トランプ大統領は、「絡み合う中東情勢を一旦整理し、今は、イスラエルの意向を受けつつ、先ずはイラン包囲網の確立に全力を注ぐべし。」として動いているように私は見ています。

 こうした中、アフガニスタン情勢について、「米国政府は、”タリバンとの話し合いは、相当に進んで来ている” と見做している」との見方が出ています。即ち、「2018年7月に始まった米国政府と過激派イスラム教徒タリバンの代表による話し合いは、従来の交渉に較べ生産的で、明らかに接近し始めていると見られている。そして、タリバン側の発表でも、この話し合いにおいて、アフガニスタンからの米軍撤退も交渉の対象となっている。」と報告され、アフガニスタンに平和が訪れるのではないかとの期待も出てきています。本当であれば、素晴らしいことです。

 しかし、一方ではまた、「アフガニスタンでは、米国が去り、中国本土が入って来る。」との見方も出始めています。権力構造の空白が起こると新たなパワーが入り込むのは歴史の常でしょうか。即ち、「上述したように、米国のトランプ大統領は、アフガニスタンから米軍を撤退させようとしている。これにより、中国本土がアフガニスタンに対して影響力を強化しようとし、アフガニスタンとの間で、経済協定を締結しようとし、また既にアフガンに軍隊すら送っている。こうした動きには、既に兆候があったとも言われ、アフガニスタンのガニ大統領は、就任後の2014年、最初の訪問国として選んだのは中国本土であったことも偶然ではない。そして、ガニ大統領訪問の後すぐに、アフガニスタンの安全保障担当大統領補佐官が中国本土を訪問、王毅外相と面談したという事実もある。アフガニスタンのヒンドゥ―クシュ山脈(アフガンの北東から南西に延びる、1200キロに及ぶ山脈で、パキスタン西部と国境を接する)の長期的安全保障の確保について、中国本土政府からの支援について話し合う為の訪問であったとされている。」(つづく)
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