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2019-03-25 16:24

(連載1)英国離脱問題、日本が考えるべき教訓

岡本 裕明 海外事業経営者
 英国EU離脱劇場のシナリオはどこに向かうのでしょうか?EU離脱の行方を決するとされる、3日間で最大3回行われることになった議会投票は、3回戦まで行くことになりました。この歴史的「事件」をやや角度を変えて見ると、なかなか勉強になるかもしれません。英国議会が揉めているのは、議会内が基本的に離脱強行派、穏健的離脱派、反離脱派の3つのグループに分裂し、お互いに譲歩する余地がないからです。離脱強硬派は「英国は何が何でもEUのシステムとはおさらばする」という右派的思想。メイ首相は「そんな無責任なことはできないから、EUと一定の約束事を作ったうえで離脱しよう」とする穏健派。そして、「だから言ったことはない、離脱なんて反対だ」とする反離脱派がおり、お互い全く譲らないのであります。

 これが日本だったらどうなるのでしょうか?例えば、韓国や中国との案件において強硬派、穏健派、左派的反対派の意見が時として入り乱れますが、今のところ政権がうまくコントロールすることで、国民感情を大きく刺激する事態にはなってないと思います。

 英国の行方がどうなるか、実はこの議会投票の結果が答えを生むことはないとみています。下馬評では、離脱するタイミングを延期する3回目の投票が賛成多数で可決されるとみられていました。これを見越し、「とにかく一息」という安堵感から、市場ではすでにポンドが米ドルに対して大きく買われているのであります。ところが、メイ首相が再三警告しているように、仮に数カ月ぐらいEUからの離脱を延長したところで何も変わらない、というのが現実的路線です。(そしてEUにも延長を認めるか、承認する権利があります。)EU側は「交渉はもうたくさん」と思っています。仮にメイ首相を退陣させ、違う英首相がEUに再交渉を望んでも、何ら成果を引き出せない公算が高いと思います。つまり、離脱延期とは「離脱をあきらめる」という、英国のみで決定できる選択肢以外、何ら問題を解決しないと私は認識しています。

 日本は現状、韓国とは厳しい関係になっていますが、中国との関係は改善しています。これはタイミングの選択など、安倍首相が交渉巧者だったからだろうと思います。しかしもっと重要なのは、自民と公明の与党が一枚岩で安定していることが、日本の圧倒的強みともいえるのです。(つづく)
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